“世界三大ウザい国”モロッコは本当にウザいのか?現地で感じた自分の「ウザいハードルの低さ」

「ウザさ」の裏に隠れている、純粋な気持ち
モロッコといえば、砂漠観光ができることでも有名だ。首都から離れ、サハラ砂漠の方に向かっていくと、また違った空気を感じることができる。モロッコは年間1000万人以上が訪れる観光大国なので、マラケシュやフェズといった大きな街では、観光地らしい客引きコミュニケーションなどの喧騒を感じるのだが、田舎街はかなり落ち着いている。
砂漠に向かう途中にあるティンジルや、ダマスクローズの産地ムゴナといった街では、現地の人々がゆっくりと生活を送る瞬間も見られる。市場で売られている野菜や果物も、観光地のような高めの金額設定になっていないため、値下げ交渉をせずともお安く手に取ることができる。バスツアーに参加すると、このような田舎町を効率よく見て回ることができる。
モロッコは春〜夏にかけて日が長く、夏至付近になると夜の9時まで日が昇っている。1日のうち15時間ほど明るい時間を過ごすことになるので、時間の流れを長く感じるだろう。砂漠の気温も、夏前は30度台で収まってくれる。暑くないといえば嘘になるが、日差しを避けるためにUVカットのパーカーを着こんでも、汗をかきづらいのでありがたい。砂漠観光といっても、移動式のテントに泊まることもできるので、想像より快適に過ごせる。

キャンプ地には様々なツアーに参加した人々が集まり、夜までキャンプファイヤーの焚き火と一緒に歌声が響き渡る。現地ガイドも混ざり、客と現地スタッフという垣根を越えての交流があった。酒を分け合い、どの国の人もなんとか英語を話して会話する。国際交流を楽しんでいると、忘れかけていた“コミュニケーションの本質”を思い出すことができるような気がするのだ。
言語が違うのに交流しようとするなんて、手間のかかることではある。同じ日本人だって、初対面の人と話すのは難しかったりするのだが、砂漠の真ん中で火を囲んでいると、そんな面倒さよりも「今だけのこの時間を存分に楽しみたい」とも思える。
ウザい、という言葉の裏には、上手く交流できないことへの不安や、煩わしさが含まれている場合がある。しかし、場を楽しむという純粋なコミュニケーションの中では、ウザいという感情は巻き起こらない。それにどこまでも続く砂の海では、あまりにも瑣末なことだ。