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「まだまだ大人になりたくない」【36歳のLOVE&SEX】#20

2021.12.24 Vol.web Original

 今年の1月に婚活をしている友達のことを少しだけ記事に書いたのだが「ときめきがなくても生きていける?」【36歳のLOVE&SEX】#2 その彼女と約1年ぶりに会った。なんと、婚活に成功し、入籍をしたらしい。

 失礼な話ではあるが、彼女が本当に結婚をするとは思っていなかった。もっと言えば、結婚したいという気持ちがそんなに強いものだったことも、私は気づかなかった。だが彼女の気持ちは本物で、この一年その強い気持ちを持ったまま婚活を続けたのだった。相手の人も、話を聞く限りでは、これまでの彼女の生き方や趣味を大事にしたまま暮らしていけそうな、とてもお似合いの人だと感じた。

 年明けに一緒にご飯を食べたあの日、いつも通りの時間を過ごしたはずの私たちだったが、あの日から実はお互いに「一年後必ずいい報告をしよう」と決意して、この一年を過ごしていたのだった。

 私もこの日彼女に伝えたいことがあった。転職が決まったのだ。

 大学卒業後に新卒としてソフト・オン・デマンドに入社してから14年以上が経った。この業界のことも好きだし、やりがいを感じる瞬間も多かったし充実していたと思う。

 それでも、辞める理由なんて100個くらいは思いつきそうだ。
体力の限界は何度も感じたし、精神的にキツかったことも挙げればきりがない。職場の人に嫌なことを言われたり、絶対に仲直りできないくらいに喧嘩をしたこともあった。

 はじめてソフト・オン・デマンドに来たのは、2006年4月、大学4年生になって就活を始めたばかりの頃。

 当時の私は何がしたいとか、仕事を通してどうなっていきたいとか、全くイメージができていなかった。あんまり働きたくないし、なにしろ大人になりたくなかった。

 というのも、中学生くらいの頃に、会社員になって量産型の大人になって、死んだ目をした30歳くらいの自分のイメージが唐突に浮かんできたことがあるのだ。何の脈略もなく、ふと頭の中に沸いて出た将来の自分の像は、あまりにも不気味でぞっとした。情熱を注げるものがない、好きなものがない、ただ社会に生かされているそんな人間が自分にとっての「大人」のイメージで、そんな大人にはなりたくないと思っていた。

 そんな中でたまたま参加した、SODグループの新卒説明会。

 説明会では、会社の事業の説明(全く覚えてないけど…)のあと、会社の中を先輩社員たちが案内してくれた。

 会社内は活気があって、人間が生きているエネルギーを感じた。それは私が中学の頃からイメージしていた大人とは全く違っていて、だからここで働きたいと思った。

 入社後は、仕事そっちのけで会社の運動会の準備ばかりしていたり、同期みんなで朝まで会社に残って資料を作ったり、しょうもないことで泣いたり怒ったり、たまに先輩に理不尽な理由でキレられたり、それをネタにして飲んだり、今思えば意味のない時間をたくさんたくさん過ごしてきた。でもとにかくみんなが熱かったし、毎日エネルギーがすっからかんになるくらい忙しくて、楽しかった。

 私にとってやっぱりソフト・オン・デマンドは青春だったし、死ぬ直前に思い出しても原点だったと言い切れるだろう。

 最近の私は中学の頃に持っていた大人のイメージに近づきつつあった。我慢したり、ほどほどにこなしたり、人の顔色を窺ったり。一応仕事をして生活費を稼いでなんとなく社会にぶら下がって生きている。自分自身はそんなつもりなんてなかったけれど、いつからか夢がなくなっていた。何の夢もビジョンもなくただ仕事だけをしている自分は、まるでゾンビみたいだと思った。もうとっくに死んでいるのに、「仕事をしなきゃ」という義務感が私の死体を動かしている。気持ち悪い。

 このままゾンビとして社会をさまよって誰かに殺されるのを待っていていいのだろうか? 私はやっぱりまだ人間として、もっとときめいて生きていたい。だから外の世界に旅に出ようと決めた。もうこの場所には戻らない旅になるだろうけど。

 一通り辞める経緯を報告したあと、私たちはタッカンマリを食べてお腹いっぱいになり、友達は夫の待つ家へと帰っていった。

 一人電車に乗ると、全身からタッカンマリの臭いが漂って、まわりの人に申し訳ない気持ちになった。あと1週間も働けば有給消化になる。人より少し長い冬休みを目の前に、楽しみ半分、どうしたらいいか惑い半分だ。スマホのメモにやりたいことをリストアップしていくが、こんな時期だし旅行もいけないし、今しかできないことが全然思いつかない。とりあえず、6年くらい使っていたMacが壊れているのを1年以上放置していること、会社から支給されているノートパソコンを返却することから、パソコンを買い替えることだけ決意した。せめてやりたいことくらいは思いつくようになりたいものだ。

 年が明けたら、私の新しい旅が始まる。もう36歳だけど、私はまだまだ「大人」にはなりたくない。

女性向けアダルトグッズメーカーの代表へ話を聞いてみた〈前編〉【SOD女子社員・負け犬女の働き方改革】#11

2020.05.22 Vol.Web Original

 この連載では毎回「働き方」をテーマに自分自身を見つめなおしてきた。
 その過程で、同じ業界で働く女性たちの「働き方」を知りたいと思うようになった。
 そこで今回からは、不定期ではあるが、同じアダルト業界(またはその周辺の業界)の女性に「働き方」について考えていること、感じていることを伺い、私自身が勉強させてもらおうと思う。

「なんでこの業界で働いているの?」「なんで女性がアダルトに興味を持ったの?」というところばかりがクローズアップされがちな私たちの職業だが、それを越えた働き方に対する考え方や、生きていく上で大事にしていることなどを、お伝えしていきたい。

「私は世界を変えることができない」【SOD女子社員・負け犬女の働き方改革】#10

2020.05.08 Vol.Web Original

 前回の記事で書いた通り、Twitterをもっと活用しようと日々発信を続けている。
 
 GIRL’S CHは女性向けのAVやアダルトグッズを取り扱っているので、商品の紹介や、自分から見てお客様にオススメできるポイントをお伝えする、という内容の投稿がメインになってきた。

 アダルトグッズは、自分で使ってから感想を書くようにしていて、グッズの写真(たとえば、大きさがわかりやすいように手近な駄菓子と並べてみたり、触感がわかりやすいように握ったり曲げたりして、サイトの写真では伝わらない情報を入れたりする)を添えてアップしている。

 そういった内容をアップしていると、なぜか男性と思われる方からのフォローやリプライ、DMが増えた。

 おそらくこれは、アダルト商材を扱っている女性にとっては、“あるある”なことだろう。

 特に男性向けの商材の場合は顕著で、実際に飲み会で「こんなDMが来て困った」というような話を聞くこともある。

 私もこれまで全くなかったというわけではない。

 ただ、これまでは数が少なかったのでほとんど気にならなかった。

 女性向けの商材を扱っているので、イケメンがメインに写ったパッケージを紹介することが多かったから、男性の目に留まることがなかったのだろう。

 アダルトグッズの場合、男根を模した形をしているものもあるので、男性が見て「エロいものだ!」とわかりやすくなったから、気付かれてしまっただけなのかもしれない。

 とはいえ、私のアカウントをフォローしているうちに、女性向けのアダルトを通して女性の考え方を知ってもらえれば良いと思っているので、ご覧いただく分には大歓迎だと思っている。

 リプライはちゃんとした質問であればお答えしている。

 ただ最近は、欲求不満で出会いを求めている女性、と勘違いされているのかな、というリプライやDMをいただくことが増えた。

 特にそれに関して怒りやショックがあるというわけではなく、「GIRL’S CHのサイトユーザーさん以外からのご連絡が来てしまったな」と思って右から左に流している。

 もしかしたら、私がどういった経緯でこのTwitterを運用されているかご存知ないだけかもしれないので、一度説明させていただこうと、先日このようなTweetをした。

もしかしたら、私のツイートのリプ欄などをご覧になった方が不安になったり不快な気持ちになるかもしれないので、一度書いておきます。
グッズやAVの紹介に対して、「使っているところを見せて」や、出会い目的、その他卑猥なメッセージ等、送らないでください。
当方、GIRL’S CHという女性向けのアダルトサイトの運営に携わっております。男性との出会いや、セックスは求めておりません。
もしかしたら、誤解されている方がいるかもしれませんが、そういうわけなので、送らないでくださいね。

 このツイートをするときに、すごく迷った。

 理由はひとつ、「私が我慢していれば済む話」だからだ。

 わざわざ、他のだれかが傷付くかもしれないような、他のだれかが心配になったり不安になったりするようなことを、言う必要があるのだろうか、と。

 ただ、DMは無視すればいいが、今後リプライや引用RTで、女性がショックを受けるような内容を書かれたら、見ているお客様がショックを受けるかもしれない。

 私がツイートすることで多くの人に嫌われる可能性もあれば、ツイートをしないことで誰かが傷付く可能性もある。

 今のような非常事態が続いてストレスが溜まっているときに、人は傷付きやすくなり怒りやすくなる。

 我々が扱うエロという商材は、もともと非常に刺激が強い、ある意味で暴力性の強い商材だ。

 繊細な人が多くなっている今、慎重に扱わなければいけないからこそ、自分が守るべきは私の発信を見てくれている“女性”(ここではあえてこう言い切らせていただく)だと考え、私はこう続けた。

あと、私は何を送られても気にしませんが、そういった男性からのメッセージに恐怖を感じる女性スタッフもいるかもしれません。
後輩たちに嫌な思いをさせたくないですし、そういう気持ちから仕事や夢を諦めて欲しくないので、未来のために申し上げました。ご理解、ご容赦いただけますと嬉しいです。

 目の前の危機回避をとるか、将来的な利益をとるか、と書くと虫が良すぎるかもしれないが、演者に会うイベントがなくなり我慢しているお客様や、なんとなく私のTwitterを眺めている将来のお客様・新入社員が、5年後も10年後もGIRL’S CHを楽しんでくれることのほうが大切なのではないか。

 最悪これで印象が悪くなったら会社を辞めてしまえばいい。(というと怒られるが)

私は自分でよくわかっている。
私は仕事ができない。
私ひとりでは世界を変えられない。

 自分が優秀ではないことは百も承知している。

 だからせめて、優秀な人が働きやすいアダルト業界を作ることにひとつでも貢献できれば、いつか何かが変わるかもしれない。

 アダルト業界は、どうしたって他の業界と違うと思われがちだ。

 自分自身も、大卒でアダルト業界に新卒入社したことや、人々がこっそり楽しむアダルトビデオやアダルトグッズを堂々と見たり使ったり宣伝することで、他の方から誤解を受けたりした経験があった。

 そういった偏見と闘うことも仕事の一部だと言われればそうかもしれないが、少なくとも私の仕事は、「クリエイターが作ったものをひとつでも多く売ること」だ。

 そして私たちの仕事は、「エンターテイメントを作ること」だ。

 それを達成することによって、社会での存在意義が得られると思っている。

 反対に、どれほど偏見と闘おうが意義のあることを言おうが、市場の広がりがなければ「当たらなかった」「一過性のムーブメントだった」で終わってしまう。

 全てが水の泡なのだ。

 偏見と闘うこと、あるいは、スルースキルを備えていることが、この業界で働くために必要なひとつの要素になってしまってはいけないはずだ。

 私には、長く働くこととスルーする能力しかないが、それでも、何か未来につながることができれば。

「Twitterは仕事に含まれますか?」【SOD女子社員・負け犬女の働き方改革】#9

2020.04.24 Vol.Web Original

 外出自粛をしている。

 これまでは月曜から金曜は会社に通勤し、仕事が終わったらダンスの練習や飲み会に参加し、土日は買い物に行ったり映画を見たり、まったく外出をしない日は半年に1日くらいしかなかった。

 しかし、新型コロナウィルス感染拡大防止のためには、不要不急の外出をしないことが第一とのこと。

「不要不急とは…」といろいろと考えたが、ともかく今は最低限の外出にとどめようと決め、なるべく家にいるようにしている。

 私の場合は仕事も、オンラインで打ち合わせをしたり、自宅で済む作業は家ですることになった。

 たとえばこのコラムを書くため必要なのは、私とパソコン一台だけなので、今この記事も家で書いている。

 一方、個人情報や作品の画像や映像を取り扱うような高いセキュリティが必要な業務は、引き続き会社内で行う。

 今回の件で在宅勤務を初体験している方は多いと思うが、いろいろと問題を感じている人もいるのではないだろうか。

 現に私も、いくつかの問題にぶつかった。

 出社しなくてもいいというのは、単純に移動時間がなくなるので、自由に使える時間が増えてとても良い。

 だが、これまで「家にいる=ごろごろする」を定番に生きている私にとっては、仕事をしようとする気持ちの切替が最初の問題となった。

 とはいえこれは、時間を区切ったり、パジャマから部屋着に着替えて身支度を整えるなど、行動を変えればすぐに慣れることができた。

 次に、在宅でできる仕事と、会社ですべき仕事の切り分け。

 私はTO DOリストがないと仕事ができない人間で、かなり細かく作成する。

 別に自己管理ができている人間だと言いたいわけではない。

 やらなければいけないことが漠然としていると、不安になりパニックに陥るから、自分で自分に指示を出す必要があるからやっているだけだ。

 毎日業務をスタートする際に立ち上げるTO DOリストだが、これまでの「緊急性」「重要性」とは別に「家でできることかどうか」という判断基準が加わった。

 今までのTO DOリストを分解して、再構築しなければならない、困った。

 ただこれも、慣れればそれほど難しくなかった。

 1週間ぐらいは戸惑ったが、徐々に新しいTO DOリストの作り方もわかった。

 リストさえできてしまえばあとは問題ない。

 一番の問題は、「自分が仕事をしているのかどうか」が不安になるということだった。

 社会人になってからずっと、会社に行って仕事をするのが当たり前だと思っていたので、言い方は悪いが、会社の監視下にないことが逆に不安になったのだと思う。

 会社にいて、自分の行動を常に誰かが見ているというのはストレスではあるが、出勤しているというアリバイが作れるという点では、その不安はない。

 私はタイムカードをなんとなく、働いていることの免罪符のように思っていたのかもしれない。

 会社にいることこそが仕事だという、サラリーマンの立場に甘んじていた自分が憎い。

 この2年間何度も、仕事とは成果を出すことが最も重要だと自分に言い聞かせてきたはずなのに、また仕事をすることの意味をはき違えていた。

 特にそれは、Twitterを見ているときに感じた。

 私はGIRL’S CHの公式Twitter( https://twitter.com/girls_ch )と個人のTwitter( https://twitter.com/taguchi_girlsch )で、新作情報やセール情報などを発信しているのだが(GIRL’S CH公式Twitterのほうは複数のスタッフで管理している)、果たしてこれは仕事に含まれるのだろうか?と。

 新作の告知やオススメ作品のツイートは、宣伝の一環ではあるが、Twitterを見て購入してくれる人が何人いるのかは、正確にカウントするのは難しい。

 何十万人のフォロワーがいるわけでもなく、効果があるのかすら疑問だと会社に指摘されたら、言い返す自信がない。

 また、フォロー・フォロワーの皆さんの意見をチェックしたり、検索ワードでサイトや作品のことが話題になっていないかを調べたりもするが、これが一体どんな売上につながっているのかを明確にすることは、それ以上に難しい。

 もちろん、意見をもとにスタッフ内で議論を交わしたりすることもあるが、成果としては非常に数値化しにくい部分だ。

 今までは仕事中にTwitterを眺めることは、会社にいる時間にやっていることだから仕事のうちだ、とタイムカード免罪符を掲げて自分に言い訳していたが、家で見るTwitterは何か違う。

 どうも自分自身に対して、「Twitterをして時間をつぶしている」「さぼっている」という意識がぬぐえない。

 しかし会社で見るTwitterと家で見るTwitterの何が違うのだろうか?

 そこに書かれていることは同じはずで、このように思ってしまうのは、明らかに自分の考え方や価値観の問題だ。

 つまり、Twitterを活用しきれていない自分の問題だ。

 在宅勤務は、自分が臨んでいる業務に対して考え直したり、手法を見直すいい機会だととらえて、自分の手で価値や成果を作っていくしかない。

 SNSの使い方やマーケティングについて姿勢を正して取り組もうと、この数週間はTwitterと向き合っている。

 早くこの問題にも慣れることができるように、毎日しっかり悩みたい。

 というわけで皆さん、ぜひGIRL’S CHや私のTwitterも見てみてください。

 さらに商品も購入していただけると、こんなにうれしいことはありませんが、そこまで高望みはしません。(笑)

SOD女子社員【負け犬女の働き方改革】「これからの人生下降しかしないのではと思った日」。

2019.12.27 Vol.WEB Original

 2019年の年末、私はとある忘年会に参加していた。

 同じ業界の女性陣ばかりで集まった楽しい飲み会、のはずだった。

 もともと内向的な性格で、自分反省会を繰り返しがちな性格の私ではあるが、この日の落ち込みようはいつもと違っていた。

 アダルト業界につとめて今年で13年目。

 13年もいればそれなりのポジションについて、それなりの地位を獲得できているものである。

 具体的なことで言えば、「○○長」と名がつく役職があったり、ひとつの部署を任されたり、最近で言えばTwitterのフォロワーが何万人、ということもそれに含まれるかと思う。

 この日私が落ち込んだ理由は明らかで、自分は13年も同じ会社で仕事をしているのに、何のポジションも何の地位も何の影響力もない、ということに気付いてしまったからだ。

 VHSの登場とともにアダルトビデオが市場に出回ることになって20年以上経つが、実はユーザーの男女比は、圧倒的に男性が多い。

 コンテンツを供給する「AVメーカー」の数で見ても、女性に向けて現在定期的にリリースしているメーカーはSILK LABOと、私がいるGIRL’S CHくらいで、月の新作の本数は10~20本程度。

 それだけで、男性向けのコンテンツが毎月何千本とリリースされる中で、いかに市場が小さいかがわかると思う。

 そういった女性向けの部門でがむしゃらに頑張ってきたつもりではあるが、会社からの評価は低い。

 作品を購入してくれたり、出演者を応援してくれる女性ユーザーはこの数年で何十倍にも増えたが、男性向けの市場規模と比較されてしまうと、元も子もない。

 環境を言い訳にするつもりはないが、男性向けvs女性向けのような構図で見られると圧倒的に我々は分が悪い。

 そんな中で、冒頭の業界で活躍している女性たちとの飲み会があったわけだが、私以外の女性は全員、キラキラと輝いて見えた。

 ある人はTwitterでファンの方から支持される広報として、ある人は子育てをしながら責任あるポジションを担当したりして、またある人は20代ながらも何万人ものフォロワーがいたりもする。

 一方私はどうだろう。

 結果を出せないままもう34歳になってしまった。

 男性向け、女性向けがどうということではない。

 単に私自身が実績を作れていないだけの話だ。

 そう思いたい。

 30歳になってから、急に世間の目が厳しくなったように感じた。

 それまでいかに自分が「20代の女の子」というだけでチヤホヤされていたかを痛感した。

 これほどまでに若い女に価値があったのかと、30歳を過ぎて初めて気づいた。
(改めて思えば、多くの女性作家がそのような文章を残してくれていて、ずっと注意喚起をされていたにも関わらず、だ。)

 そしてそのチヤホヤは、異性からのアプローチという意味でももちろんそうだし、社会からの期待という意味でもそうだったのだ。

 男性が若い女性を好むというのは説明する必要はないだろう。

 一方、女性が活躍することを望む社会からは、結婚や妊娠・出産により仕事から離脱してしまう前に、結果や実績を出して出世コースに乗せたい。

 20代の女性は、そんな正反対のアプローチを、同時に受けることになる。

 だからこそ20代の女性は悩みが尽きないし、チヤホヤされているように感じるのだ。
ところが30代を過ぎるとそうではない。

 男性からは「結婚を焦る女」「旬を過ぎた女」というレッテルを貼られ、急に選択肢から外される。

 社会からは、一人前扱いされて手放される。

 これまで熱心に勧誘に来ていた「男」「社会」という巨大な2つの営業が、急に来なくなるのである。

 営業を受けていた身としては、「あれっ?」と腑抜けになっても仕方がない。
少なくとも私はそうなった。

 30代を過ぎた私は、異性からも会社からも必要とされていない存在なのだ。

 なぜ、20代のうちにそれに気付けなかったのか。

 なぜ、20代のうちに意識的に実績を残していけなかったのか。

 なぜ、20代のうちに会社から必要な存在だと思わせる行動がとれなかったのか。

 きっと今生き残っている人は、それがわかって行動できている人か、無意識のうちにも行動できてしまう「デキる人」である。

 そんな人と「デキない私」が一緒にいたら、それは劣等感に押しつぶされそうになっても仕方がない。

 すべてが自己責任ではあるが、自己責任で済まされるには、現代社会においての人間の能力差は、あまりにも残酷すぎる。

 そもそも20代の勧誘が激しすぎたのだ。

 社会人としてのスタートから、いきなりたくさんの勧誘が来る状況がおかしかったのだ。

 きっと今はそれがなくなっただけ。

 営業がなくなった分ようやくこの30代から、自由に自分の人生を選ぶチャンスがきた。

 自分の人生に何の希望も見いだせず、これから下降しかしないのではと思った夜、私は必死で自分にそう言い聞かせたのだった。

(田口桃子)

田口桃子の連載「SOD女子社員は脱がなきゃだめですか?」第12回「イケメン劇団Rexy『お江戸のおもちゃ』公演終了!」

2019.11.22 Vol.Web Original

 11月7日~10日、アトリエファンファーレ東池袋にて、劇団Rexy第八回公演「お江戸のおもちゃ」が上演されました。

 劇団Rexyは、過去の私の連載でも何度か取り上げているのですが、弊社ソフト・オン・デマンドが運営する劇団で、女性向けセクシーコンテンツの出演者を中心に2015年に立ち上げられました。

 普段AVの中で見ているタレントたちの新たな魅力を発見していただきたいと、王道コメディ、BL、時代劇等様々な作品に挑戦しています。

 中でも劇団Rexyの代表作と言えるのが、第五回公演の「風呂ダンサーズ」、そして続く第六回公演の「風呂ダンサーズⅡ」です。

 銭湯を営む桶川家の家族たちが、本家の父親の死をきっかけに、互いの絆を深め合っていくコメディ作品です。

 何より一番の見どころは、イケメンが全員全裸で踊るというシーン。

 見えるか見えないかというバカバカしい内容なのですが、見えてしまうという事故や怪我の危険性も高く、全員が「絶対に成功させる」という強い気持ちをもって取り組む姿を見ていると、その熱意が胸に突き刺さります。

 男だけでひとつのものを作り上げるというエネルギー、同じゴールに向かって進んでいくパワーは、この作品の何よりの魅力です。

「友情・努力・勝利」のような少年漫画的な世界観にも思えますが、それを女性も男性も楽しめる描き方にできたことで、「風呂ダンサーズ」シリーズは女性向けコンテンツの新しい切り口を提案できたのではないでしょうか。

【田口桃子の「SOD女子社員は脱がなきゃだめですか?」】第6回 「女性が集まって性の話しちゃだめですか?」

2019.08.23 Vol.Web Original

 先日8月18日、「レズノミクス東京~真打ち登場!レズっ娘クラブ東京進出記念イベント~」に出演してきました。

 2007年に関西にオープンしたレズ風俗店「レズっ娘クラブ」が東京店をオープンするにあたって、お店に所属するキャストさん、スタッフさん、そして実際にサービスを体験した方々が勢ぞろいするという豪華トークショー。

 以前私も姉妹店の「ティアラ」さんのサービスを体験しており、この日はその時の体験をお話しさせていただいたわけです。

 サービス体験の記事はこちら

レズ風俗で一生分の女性の愛をもらった話【田口桃子の「死ぬまでモテたい」 第28回】

 ベテランキャストゆうさん・代表御坊さんへのインタビュー記事はこちら

レズ風俗ベテランキャストゆうさん・代表御坊さんインタビュー【田口桃子の「死ぬまでモテたい」 第29回】

 今回は女性限定のイベントで、お盆時期の昼間だというのに、会場には女性客がぎっしり。

 イベントが始まると、お店のキャストさんたち、そのサービスを利用した人たちが、交互に舞台にあがってトークを繰り広げていきました。

 まずはレズっ娘クラブのキャストさんたちから。

 お店のスタッフの方が、「キャストの方はみんなセルフプロデュース能力が高い」「事務所でもいつも素敵」という話をされていた通り、キャストさんたちは一人一人個性がある中にもかわいらしさがある方ばかりです。

 キャストさんの次は、サービスを体験した方々が登壇。私もこちらに参加させていただきました。

 レズっ娘クラブには、エッチなことが一切ないデートコース、ホテルで本格的なレズプレイが楽しめるビアンコースがあります。

 過ごし方は様々ですが、その時間内ではキャストさんが精いっぱい自分に向き合ってくれる時間。

 私と同じようにそう感じている方々が他にもいらして、レズっ娘クラブはただ快感だけを提供するお店ではなく、自分を大切にしてもらえる時間を提供してくれているのだと、改めて感じました。

「女性向け」を排除した理由【田口桃子の「死ぬまでモテたい」 第31回】

2019.05.10 Vol.Web Original

 GIRL’S CH主催のイベント「イケメンフェスティバル2019」について、もう少し。

 イベント本編の様子はこちらから
 http://www.tokyoheadline.com/443950/

 GIRL’S CHでは毎月、新作を購入した方を対象にしたイベントを開催しています。

 対象作品を購入しさえすれば参加費用はかからないのですが、それでも作品の代金が1作品3,000円前後はします。

 イケメンフェスティバルではそのハードルをぐっとさげて、入場料を1,280円(早割だと980円)にしており、普段よりも参加しやすいイベントだったのではないでしょうか?

 今回のイベントは、女性向けのAV・アダルトグッズ・風俗の3つにスポットライトをあてたのですが、あえて「女性向け」についての説明は一切排除しました。

 参加される方によっては、すごく不親切に感じられた方もいらっしゃったかもしれません。

 でも今回はあえて、そういう作りにしてみました。

 以前もこの連載で書いたのですが、「女性向け」についての説明をしだすと、それだけでイベントが終わってしまうと思うんですよ。
(ちなみに、その時の記事はこちら。 http://www.tokyoheadline.com/437564/ )

 今回は風俗を大々的に取り上げることが初めてだったので、当初の構成では「女性向け風俗ってどんなことができるの?」ということを説明するコーナーを入れたりしていたのですが……やめました。

 女性向け風俗の店舗の方と話していても、それぞれの考える「女性向け」だったり「風俗」のイメージが全然違うんです。

 その中であえて定義することは、その定義通りのお店は「女性向けである」、それに外れたお店は「女性向けでない」と言われかねません。

 実はこれ、GIRL’S CHもずっと言われてきていることなのです。

 女性向けAVとは、ドラマものでイケメン男優が出ていて描写はソフトである、という誰が決めたかわからない女性向けAVの定義。

 でもGIRL’S CHのAVはその定義から外れたものもたくさんあります。

 そして定義から外れたものでも、支持してくれるお客様が多くいらっしゃいます。

 AVも、アダルトグッズも、風俗も、定義に沿っているかどうかで判断されてしまっては、みんなが損をしてしまいますよね。

 作り手にとっては、その作品やサービスはウケないと判断してしまうかもしれません。

 お客様にとっても、好きな作品を堂々と好きだと言いづらい環境は嫌なはずです。

 だから、「女性向け」という定義にとらわれず、「好きだから」楽しんでもらいたいと思って、こういうイベントにしてみました。

 定義することより、いろいろな種類の楽しいことをたくさん提供していきたいというのが、GIRL’S CHのスタイルです。

 これからもそんなたくさんの楽しみを作って、参加者それぞれが好きなように楽しめるようなイベントやサービスを展開していきたいと思っていますので、ぜひイベントにも遊びにきてください!

 イケメンフェスティバル2020が、あるといいな~!!

レズ風俗ベテランキャストゆうさん・代表御坊さんインタビュー【田口桃子の「死ぬまでモテたい」 第29回】

2019.04.12 Vol.Web Original

 さて、今回は、前回の記事で私が一緒に時間を過ごした「ゆう」さんと、代表の御坊さんにお話を聞いてみました。

――今回利用にあたってサイトの注意事項を見てびっくりしたんですけど、すごくルールが細かい。男性向けの風俗だったら明言しないようなことも書かれてて、すごくデリケートにやられているんだなと感じました。

御坊「最低限のルールがあればいいかなと思ったので。通常言ったらわかるやろということも、ルールの隙間をかいくぐってやってしまうお客様もいます」

ゆう「告白というのも禁止にして、一線を越えないようにね。何回か会うと好きになったりしてしまう、ハマってしまうという人も少なくないです」

御坊「やっぱり初回より2回目に長い時間とるお客様が多いです。早ければ2、3回目かでお泊りコースとか。金額も高いから勇気が必要なコースですけどね」

ゆう「でもそれくらいハマるということはやっぱり、心と体のオアシスになってるということ。すごいと思います」

――お客様はどういう方が多いですか?

ゆう「私の場合は、もの静かな方が多いですね。言葉じゃなくてお手紙とかで思いを伝えてくれるような方とか」

御坊「全体的にはそういう層ばかりという感じではないんですが。ゆうさんの場合はやっぱり、永田カビ先生の本の影響ですね。この作品を見て、この店がいい、このキャストがいいというお客様が増えてきた」

ゆう「私の場合、年齢層でいうと20代後半から40代くらいまでの間が多いですね」

御坊「キャストによってお客様の年齢層はばらけますね」

ゆう「あとはいわゆる処女のお客様。男性経験、女性経験どちらも無いというお客様が増えましたね」

御坊「年末年始で募集したお客様アンケートでは、女性経験が0のお客様が7割でした」

お客さんにはどういった人が多いのか?
――セクシャリティの自認みたいなのでいうとどんな方が多いですか? 未経験ながらも女性の方に興味があるのか、そういう意識は特にないのか、とか……。

ゆう「割合では出せないですが……まず男性とも女性とも経験がなくて、ただ触れ合いたいとかぬくもりが欲しいというお客様。普通に結婚して子供がいて、旦那とそういうのがなくなってくる寂しいっていうお客様。あとは昔女性経験があって、歳を重ねてもう一度女性との性的な気持ちが湧き出てきたといって来るお客様。それと、結婚してなかったりずっと彼氏がいなかったり。あと、彼氏と別れたばかりでさみしいという方。結婚する前に経験しときたい、願望叶えてから結婚したいというお客様もいましたね。あ、あと鑑賞コースもあるんですけど、それはまた違った客層ですね。男女のカップルで予約して、彼女を気持ちよくさせてほしいというお客様とか」

――割と、特別「女性同士」ということに強い思いを抱いている人は少ないような印象ですね。どうしても女性じゃなきゃだめ、というような人は少ないんでしょうか?

ゆう「女性じゃなきゃダメって方もいますね。男性がダメ、とか」

御坊「レズヒアンじゃなきゃダメってお客様も」

ゆう「そういう場合は、キャストの過去の男性経験のことですら知りたくないっていう方も多いですね」

――ゆうさんは今現場監督もされてるそうですが、具体的にどういうことをされているんでしょうか?

御坊「新人が入ってきた時の講習ですね。それ以外でも、実際に現場で働いてみてこういう時どうしたらいいですか?っていうことの相談を受けてもらってる。僕にはわからないことなので」

ゆう「例えばデートでどんなことをしたらいいかとか、ホテル事情とか。ここはお風呂が大きいとかきれいとか、メンバーカードがあって使いやすいとか。悩み相談ももちろん受けます」

――話を聞いてると、本当に、利用客に合わせてオーダーメイドでやってるんだなっていう感じが強いです。男性キャストがくる女性向け風俗の場合、流れは決まっているというか。最初にこれがあって次これがあって……そういうのが、お店だったり男の子だったり、全部一緒なことが多いんですよね。カウンセリングシートで、最初にしたいことされたくないことを書いたり。

御坊「店のマニュアルにそういうのがあってそれに合わせて流れ作業みたいな感じですか? それはうちの店ではないですね、プレイのマニュアルはないです」

ゆう「基本的なルールはあります。お店に連絡を入れるとか、連絡先の交換禁止とか。でも接客については、意外と細かいようでないですよね。あとはキャスト同士でどうだったとかしゃべるくらい。キャスト自身の経験とお客様の要望を聞きながら一緒に作ってって。だからこそ、個人個人の良さがあると思います」

――例えばお客様がこうしてる間バスタオル出しておく、とかそういうのも?

ゆう「そんなんは無いですね。そこは基本で知ってることでしょ? みたいな」

御坊「ホテルによって置いてるものや数も違いますし」

ゆう「いっぱい話したいという方は、話す時間を長くとったり。あと、ビアンコースをとってるのに一切しないという方もいます。一緒に映画を見てお揃いのパジャマを着て過ごすとか。お客様それぞれの利用方法があると思います。やったことないことを一緒にやるとかね。海に行ったことないから一緒に行くとか、工場見学行ったりとか、苦手な食べ物を克服したりとか、お酒飲みたいお客様だったらその方にあわせてお相手させてもらうとかもあります」

10年やって変わったことと変わらないこと
――10年やっていて一番変わったことってなんですか?

ゆう「人間力ですかね。もともと人見知りしない明るい性格だったんですけど、いろんな人と接することで、やっぱりタフになりましたね」

御坊「筋肉ついたな」

ゆう「特に右手が(笑)」

――逆に変わらなかったことは?

ゆう「女性が好き。女性を喜ばせることが好き、ってことは変わらないですね」

――あと何年続けていきますか?

ゆう「それはわからないですね。ほんとは10年でやめようかと思ってました」

御坊「大阪万博までやな(笑)」

ゆう「2025年? 長っ!(笑)。元気な限り、あと本業が忙しくならないうちは続けたいですね。お客様からも、(わたしが)おらんようにならんでくれって言ってくださってるので」

女性同士だから分かる部分が大きい
 今回こちらのお店を利用して、さらにお話しをお伺いして、スタンダードなお店ながらも非常に独創的だなと感じました。

 ルールの表記や、伝言欄、当人にしかわからないブログの書き方などに、キャストとお客様を守るためのこだわりが強く表れているように思います。

 それとともに、女性向け風俗について、男女キャストでの違いというのも大きく感じました。

 インタビューの中でも書いた通り、男性キャストの場合は、マニュアル通りという印象が強いのですが、女性キャストの場合はオーダーメイド。
女性だからこそいろいろ察して対応する能力が高いということ、女性同士だから分かる部分が大きいということの両方が影響しているように思います。

 そういった意味で、レズ風俗は女性にとって、性的な快楽だけでなく、コミュニケーション欲求を満たす役割を果たしている、重要にして特殊な業種なのかもしれません。

 レズ風俗の利用料金は、決して安くありません。

 今回私が利用したコースは、ホテル代等含めると4~5万円ほどかかります。

 それでも、金額に見合った貴重な体験をさせてくれて、とても満足度が高かったです。

 女性は大切にされなければならないし、そのためには、利用者にとっても働く側にとっても、金額は高くてもしかるべきだと感じました。
今後女性向け風俗には様々なサービスが増えることが予測されますが、利用者も運営側も、性的な欲求を満たす以上に、女性を大切に扱うことを重視したサービスになることを願っています。

レズ風俗で一生分の女性の愛をもらった話【田口桃子の「死ぬまでモテたい」 第28回】

2019.03.22 Vol.Web Original

 前回までの、「レズ風俗で受けた衝撃」を確かめたくて、ついに関西の老舗店に乗り込むことにしました。

 2007年に大阪にオープンした、キャストも利用者も女性同士の女性向け風俗「レズっ娘クラブ」、今回お邪魔したのはその姉妹店「ティアラ」です。

 ティアラは永田カビ先生のコミック『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』に登場したことでも話題になりました。

 女性のお客様なら、レズビアンの方はもちろん、ノンケであってもバイセクシャルであってもパートナーがいても、18歳以上なら利用ができます。

 今回は、実際にお客さんとして利用してどんなことを感じるのか体験してみたくて、予約からしてみることに。

 まず、こちらのお店のホームページには、注意事項がたくさん。テキスト量がとにかく多いのです。

「こんな人は利用して良いか?」「こんなことはできるのか?」ということから「禁止事項」まで。「初めての方へ」のページにはQ&Aが100個も!
「ルール違反があったらもう利用はできない」ということも書かれていたので、それらひとつひとつに目を通しました。

 私はサイトの予約フォームより予約をしたのですが(予約は電話でも可能)、予約フォームには「キャストへの伝言」という項目が。

 こちらのキャストさんは、キャスト個人のSNSはやっていません。最近では、男性向け女性向け問わず、風俗のキャストさんがTwitterなどで日常をつぶやいたり自撮りを載せたり、DMやリプライで交流する人が多いのですが、それがない。

 指名するキャストさんに事前に要望や思いを伝える機会は、私たちにはこの「伝言」しかないのです。

 今時、顔も性格もわからない人と、たった一度の伝言を通して何が伝えられるのでしょうか? そして、その一度の機会で何を伝えたらいいのか。

「これ以上書いたら引かれるかも」とか「当日はちょっと気が変わっているかも」とか、さんざん頭を悩ませた挙句、思いにしたため、勇気を出して送信ボタンを押しました。

 こういう世界に慣れているほうの自分ですが、伝言を含めこの応募フォームの入力をするのに、たくさん脳内でシュミレーションをして、思いを膨らませていたので、珍しくボタンを押すことに緊張してしまいました。

 それから1日もたたず、今回指名した「ゆう」さんのブログに更新が。

 名前も詳細も書かれていないブログだけど、ああこれは私宛だ、と感じることができる、不思議なお礼ブログです。

 私が悩んで書いた伝言を彼女が受け取ってくれた喜びに、当日まで何回も見返すことととなったのでした。

 さて、今回私が体験したコースは、デートコース60分+ビアンコース120分。

 その名の通りデートコースは二人で出かけるコースで、ビアンコースはホテル内でのプレイになります。

 勝手に、背の高いボーイッシュでクールな女性をイメージしていたのですが、待ち合わせに現れたゆうさんは、明るくてよく笑う、関西弁のかわいい女性でした。

 合流してからまずは飲食店へ。

 今回のデートコースは60分だったので、軽くランチをしました。

 初対面の女性と話すのが苦手な私ですが、ゆうさんは前から知っている同級生に会ったような感覚。

 すっと同じ目線にあわせてくれて、でも警戒しない程度の近さを保ってくれたので、とても話しやすい方でした。

 これまでの女性経験の話から、好きな食べ物の話、お酒の話など、質問もしてくれるし、私が話し出すとしっかり聞いてくれるので、60分間ですぐに打ち解けることができました。

 ランチを食べ終わると、そのままホテルへ。

 ホテルに入ってからは、お風呂の準備や部屋の調整をしてくれて、至れり尽くせり。

 さっきまで同級生だったのが、なんでも世話をしてくれるお母さんのように。

 その後のベッドではさらに雰囲気が変わり、いきなりエッチなお姉さんに。

 さすがキャスト歴10年のベテラン、時間いっぱいを使って、翻弄させられました。

 このお店では、時間内で最後の着替えや準備をしなければなりません。

 15分前にアラームが鳴ったら、名残惜しいながらも終了し、準備をして部屋を出ます。

 一緒にいたのは3時間でしたが、その中でいろんな顔を見せてくれたゆうさん。

 友達と過ごす楽しい時間だったり、私が忘れていた親の愛だったり、情熱的な恋人になってくれたり。とても濃密な時間を過ごすことができました。

 過去の、友達、家族、すべての人間関係に不安のある自分にとって、ゆうさんは私に欠けていた人間関係を補ってくれる役割を果たしてくれたように思います。

 彼女が自分だけを見てくれるこの時間は、「自分という存在はもっと大切にされてもいいはずだ」ということを思い出させてくれる、かけがえのない時間になりました。

 きっとそう感じるのは、私だけではないはずです。

 そしてビアンコースでは存分に楽しませてくれるところもやはり魅力です。ただの癒しではない、楽しい時間を作ってくれるところが、10年もの間お客様に支持されているところだと思いました。

 終わってからすぐ、「今日はありがとう」のブログが更新されました。
「予約ありがとう」と同じく、具体的なことは少ししか書いてないのに、二人にしかわからない秘密のブログ。

 他の人のブログを見ても、何のことだかさっぱりわからないのに、自分宛だとこんなにもうれしいものかと。

 予約と利用以外では一切キャストさんと連絡がとれないということに、利用前は物足りなさを感じてしまうのではないかと思っていたのですが……。
実際にはブログを通して、思い出やキャストさんとの秘密の関係を再確認できる良さがあります。ブログに書かれる、ということで日常と切り離すことができるのも良い部分だと思いました。

 いかがでしたでしょうか。男性向けの風俗ではないような配慮、システムが導入されていると感じ、私にとっては改めて男性と女性の違いや、生きづらさについて考えさせられた出来事でした。

 さて次回は、そんなゆうさんと、代表の御坊さんにインタビューさせていただきます。

その先の話をしよう【田口桃子の「死ぬまでモテたい」 第27回】

2019.03.08 Vol.Web Original

 前回、前々回と、レズ風俗に行った話を書きました。

 前々回:http://www.tokyoheadline.com/434840/

 前回:http://www.tokyoheadline.com/436319/

 そんなレズ風俗界をけん引している、レズっ娘クラブさんの「レズっ娘東京電撃作戦」というイベントへ行ってきました。

 イベント内容はSNSでの投稿禁止なので詳細はお伝えできないのですが、そこで感じたことを書かせていただこうと思います。

 まず、このイベントは「レズビアン」「レズ風俗」というキーワードを、みんな理解しているという前提でスタートしていたのが、とてもよかったです。

 女性向けAVもそうですが、こうしたイベントを開催するときや、記事を書くときは、まずは知らない人に向けて「〇〇とは何か」という前提を説明しなければならないことが多い。

 でも、毎回その説明からスタートしていたら、全然話が進まないんですよね。

 女性向けAVで言うと、いつまでも「実は女性にも性欲がありまして…」「女性向けAVがありまして、男性向けとはこう違っていて…」という説明から始めていては、全然GIRL’S CHの話までたどり着けないわけです。

 話はそれますが、女性に性欲があることを知らない、または、性欲がないという考えって、どういう理屈なのでしょう?

 だって、考えてみてくださいよ。

 女性に性欲がなくて、性行為を行うとしたら、それってセックスがすべてレイプってことですよ。
(逆に、男性がすべてそういう思想でいるとしたら、性暴力がなくならないのもうなずけます。)

 話を戻しまして。

 私はいつもその「前提の説明」にもやっとしていました。

 私たちが語りあうべき、考えるべきことは、もうその先にあるはずなんです。

 どういう方法で性欲を満たせばいいのか、自分の性欲と社会生活との折り合いをどうつければいいのか、というような意見交換が全くできないままでは、話が何も進展しません。

 コンテンツでいうと、女性向けAVのスタートは確かにドラマものでソフトな作品だったかもしれないけど、現在はドラマ以外の内容や、男性が責められている描写などのハードな作品もあり、細分化が進んでいます。

 以前この連載でも書いたように(http://www.tokyoheadline.com/431908/)特にGIRL’S CHでは作品のハード志向という傾向も見られます。

 大声で言いにくいことかもしれないけど、もっと発信していかなければ、女性の性産業のことは全然伝わっていかないし、私たちももっと踏み込んだ議論を意識しなければならないなと感じました。

 もうひとつこのイベントを通して感じたのは、偏見との闘いについて。

 同性愛は差別と闘っている、風俗やAV業界の人は偏見を持たれている。

 という風に思われる方がいるかもしれませんね。

 あくまで自分のケースですが、AV業界で働くことになんの負い目もないですし、世間からの偏見に打ち勝つぞ!という気持ちは全くありません。(偏見を感じる…つらい…という思いがそもそもないため)まあ私なんてただの会社員ですし。

 まわりに言えなくて苦しんでいる人、理解されなくてつらい思いをしている人も当然いらっしゃると思います。

 ただ、このイベントに出演されていたキャストさんたちは、自分の仕事や性を謳歌しているように、私には見えました。

 これも先ほどの前提の話と同じで、差別や偏見に苦しんでいるという思い込みは、彼ら彼女らの本当の気持ちを知る、邪魔でしかないと思うのです。

 もう前提の話はやめましょう。もっとその先の話を、みんなで少しずつしていきましょう。

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