THE RAMPAGE 浦川翔平が世界にひとつだけのビアグラスを作る!最高の乾杯を目指して灼熱の工作〈BUZZらないとイヤー! 第104回〉

「はい、クルクル回し続けて!」

 最初に溶解炉からガラスを巻き取るのは中村さんの担当。適正量を巻き取るのは長年の経験が必要だからです。中村さんは真っ赤な溶解炉に吹き竿を差し込んで、グラスに適量なガラスを巻きつけて取り出し、クルクルと回しながら翔平さんに手渡します。

 翔平さんは中村さんにアシストしてもらいながらガラスの先端を細かい黄色のガラスの上に置くようにしてつけると、ベンチに腰かけて、ゆっくりと優しく息を吹き込みます。すると、ガラスがふわっと膨らみました。

楽器を吹くように息を吹き込んでいきます

 少し温度が下がったガラスをグローリーホールで再度焼いてやわらかくし、道具を使ってつまんでねじると、透明なガラスのなかにオレンジ色のきれいならせんができました。「こういうことか、なるほど。結構いいらせんじゃないですか !すげぇ」と、翔平さん。

ガラスが冷えるとビール色になるそうです。

 右の手のひらに紙リンを広げてアツアツなガラスを転がして形を整えると、2回目の巻き取り作業です。今度は翔平さんも加わって、中村さんに見守られながら真っ赤なガラスを巻き取り、息を吹き込んで、コロコロと転がして成形。今度は吹き竿に近いほうに重曹を振って泡のようなデザインを作っています。

 ガラスを焼いてやわらかくして息を吹き入れる。その工程を何度か繰り返してイメージのような形に成形していきます。大きさが整ったところで、ガラスの吹き竿に近いほうをジャックで軽く挟むようにして吹き竿を回転させて細くしていき、節を作ります。「力が入りすぎるととうまく回らなくなるから、軽く、そっと置くように。(右手は)添えるだけ」。この時のガラスは約500度。翔平さんからも「あちー!」の声がもれます。

手の上で熱~いガラスを転がします。先ほどよりも少し大きくなりました

 そして、難しいというグラスの足を作る作業へ! 引き足というグラスの下部にあたる部分を引っ張って作る手法で、「職人になって10年ぐらいしないとさせてもらえない」(中村さん)少しレベルの高い技術なんだそう。今回は中村さんの腕をお借りして10年をショートカット。グラスの底から真っすぐに引き出されていく足に、翔平さんもBUZZらないとイヤー!チームも「こうやって作るんだ!」と感心しきりです。

真っすぐに引きだして……

 適当な高さが出たところで改めてグラス部分に息を吹き込んで整え、足の先をやわらかくして、知らない間に中村さんが用意していた台座に接着。台座に木の板のようなパドルという道具を水をつけて当てて回転させながら整えていきます。ここまでくるとグラスの形が見えてきました。翔平さんの表情に笑顔が戻り、“通しリハ”を終えた時のような不安そうな表情はどこかに行ってしまいました。

 いよいよ作業も大詰め、飲み口を作ります。ポンテ竿という道具を台座の部分に取り付けて、先ほど作ったくびれのところにヤスリをかけて吹き竿を軽くトントンと叩きます。するとパンッ!という心地のよい音がして、グラスがきれいに割れて外れました。「これは気持ちがいい!」と翔平さん。この細い部分を広げて飲み口を作っていきます。

クビれた部分に鑢を当てて、竿をとんトンと叩くと……
「パンッ!」とかわいい音がしてグラスに飲み口部分が爆誕

 吹き竿をポンテ竿に持ち替え作業を進めていきます。ガラスを焼き直して柔らかくし、飲み口になる部分に道具を軽くあててポンテ竿をコロコロと転がしていきます。飲み口があっという間に広くなっていきます。

左手でポンテ竿をコロコロ回転させ、道具の角度を調整しながら飲み口を広げていきます

 手直しすること数回こと。「めっちゃ、いいんじゃないですか! 描いてたグラスです」と満足げな翔平さん。想像していたよりも足が長くなりましたが、グラスの底には色ガラスが走り、飲み口もきれいに仕上がりました。翔平さんは自然とグラスに引き寄せられますが、「待って、それ500度!」のツッコミを浴びて、「……危ないっ!」と苦笑いです。

「待って、それ500度!」

 スタートから約1時間弱。かわいいグラスが出来上がりました。後は徐冷炉にグラスを入れてゆっくりと温度を下げていって、翌日には完成です。「……これでビールを飲むところを撮影しないと! また包丁を買った時のようになってしまう」と、ニヤリ。そういえば去年の夏休みの宿題は、自分で買った包丁で魚をさばいて寿司を握る、でしたね。