〈赤ペン瀧川×山口ヒロキ対談 前編〉瀧川「AIが実写の作品と融合したときにすごい革命が起こりそうな感じがする」 8・29からアップリンク吉祥寺で「generAIdoscope」公開【AI映画の現在と未来】

静止画でも一目瞭然の昨年の3月(左)と9月(右)の段階での画質の違い

山口監督「去年の前半ではできなかったことが後半になってどんどんできるようになってきた」

山口「各カットの1フレーム目だけ作るイメージです。『グランマレビト』の場合はMidjourneyというツールを使っているんですけど、Midjourneyだけだと画質が悪いので、このLeonardoAIという別のAIを使ってアップスケールをかけて画質を良くする。さらにフォトショップで自分の気になる部分を直す、といったことをやり、できた画像を使います。キャラクターについては一発では思ったようなものはできないので何百回も生成をし直します」

瀧川「その指示は文章で伝えていくんですね」

山口「そうですね、プロンプトを打ち込みます。ここが気に入らないというところを何度も自分で直して、生成することを繰り返した結果、やっと出来上がるという感じです」

瀧川「キャラクターによると思うんですけど、1キャラクターを作って満足がいくところまで仕上がるのにどれくらい時間がかかるものなのですか?」

山口「グランマレビトの場合は結構一つずつこだわっているのと、この後、何十分もこの人たちを動かすことを考えて、1キャラにつき半日くらいかかりました」

瀧川「それでも半日なんですね」

山口「去年の前半ではできなかったことが後半になってどんどんできるようになってきて、最近は全然誰でもできるようになっているので、今年に入って動画を作る人がすごい増えてきています。動画を作るツールでキャラクターを動かしていくんですけど、当時の生成AIだと動かしている間に顔が変形していっちゃうんです。別人の顔になってしまう。でも去年の年末から今年にかけて一貫性が保てるようになってきました」

瀧川「脚本があります。絵コンテを作ってカメラ割りが決まりました。1枚ずつの画像を作りました。で、動かします」

山口「動かして、それでワンカットが出来上がります。キャラクターも動かすし、カメラワークも。その静止画一枚に対してこのキャラクターがどう動くかとカメラワークがどうかということとかを全部プロンプトで入れます。去年の3月の段階では2秒しか作れなかったんですが、今は40秒とか、もっといけます」

瀧川「40秒っていったら普通の映画のワンシーンは十分撮れますよね」

山口「撮れますね。そういうふうになってきた。スローモーションじゃなくても生成してくれるようになったのも去年の後半ぐらいからです」

瀧川「すごいですね。半年くらいでそんなに性能がアップしちゃうんだ」

山口「結構2~3カ月おきにどこかのAIツールが次のバージョンを出すんですよ。それの競争になっているので、世界中でどんどん加熱していっている」

山口「去年の3月だと紙芝居の絵がちょっとだけ動いているっていうものでした」

瀧川「今、動画を動かすところまで来ました。その次のステップとしては何が必要ですか?」

山口「動画のままだとまだフルハイビジョンが出せてなかったんです。最近はフルハイビジョンが出せるツールが増えてきました。なので、ここでもう一回、アップスケーラーという別のAIを使って、1920×1080の画素数にアップするという作業をして、画質を上げます」