〈赤ペン瀧川×山口ヒロキ対談 後編〉山口「AIはあくまでツールにすぎない」 瀧川「色眼鏡をかけまくった状態で見てもいい。きっと驚く。僕がそうだった」【AI映画の現在と未来】

上映後にトークイベント。3人の監督が日替わりで登場してゲストと語り合う
今回、AIで製作した映画を見るのは初めてという人も多いと思うのですが。
山口「あんまり気にしなくてもいいのかもしれないですね」
瀧川「生成AI映画って聞くと、やっぱりちょっとなんて言うんだろうな、すごい色眼鏡で見られますよね」
山口「今回は3人の監督のオムニバスなんですが、それぞれが今までやりたかったけどできなかったことができるので、それを作ってみたというだけなんです。曽根剛さんは普段はカメラマンで映画監督。アニメとか絵は描けないんだけど、あえて普段出来ない表現としてアニメを選択した。安達寛高さんは小説家で映画監督。この安達さんの作品はサルと白人男性の話で、サルがいっぱい演技しなきゃいけないんで絶対にこれまでだったら作れない。でもAIならできるということで今回この物語を選んだそうです」
SFだけじゃなく動物も親和性があるということですね。
瀧川「ジョン・ファブロー監督の2016年の映画で『ジャングル・ブック』という作品があって、これは主人公の少年以外は全編CGIアニメーション。すでにファブロー監督がそういう作品を作っている。それなのに人間以外は全部、生成AIと聞くと急に“えっ?”ってなるけど、全編CGIを受け入れているなら、それは問題なくない?って思います。確かに動物とかを自由自在に動かせて、壮大なジャングルの中で暴れ回らせることができるというのは、なるほど、それはいいかもしれないと思います」
山口「そういう可能性が広がる。クリエイティビティが解放されるみたいな感じで、今までできなかったことができるようになりますよね」
見終わってから“これAIで作った作品だったんだね”というくらいの軽い気持ちで見るほうがいいかもしれないですね。
山口「どういう気持ちで見に来ていただければいいですかね。AIだってことは気にせずに真っ白な気持ちで見てもらって…」
瀧川「でも、どんなもんだ?って色眼鏡かけまくった状態で来てもらっても、きっと驚くと思います。僕がそうでしたからね。“AIで作った映画? どんなもんじゃい?”と思って見たけど“そうか。これは…”と思いましたもん。こんなことができるんだったら、この道具によっていろいろな人がいろいろなものを作れる。それはすっげー豊かになるなというふうに思ったので、とても良かったです」
上映後にアフタートークが予定されていて、3人の監督が日替わりで登場してゲストと語り合うとのこと。そこでAIでの映画製作の実情を伝えられて、偏見が薄れていくといいと思います。
山口「そうですね、どうやってこの映画を作ったかの工程とかを詳しく話せればと思います」
瀧川「時間は長めに取っておいたほうがいいですよ。同じ質問が来て、同じ話を何度もすると思うんですけど、長めのほうが絶対面白いです。見た人は多分聞きたいことがいっぱい出て来ると思うので」
山口監督ら3人の監督によるオムニバス映画『generAIdoscope:ジェネレイドスコープ』は8月29日からアップリンク吉祥寺にて金土日に上映される。また、この対談後、赤ペン瀧川の9月5日の回のアフタートークへの出演が決定した。
原作・監督:安達寛高(モンキーズ・オデッセイ)、曽根 剛(AZUSA)、山口ヒロキ(グランマレビト)/8月29日(金)よりアップリンク吉祥寺で公開
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『グランマレビト』ウェブサイト( https://gaumapix.jp/grandmalevit )