都医・尾﨑会長、新型コロナワクチン助成終了に「そもそも子どもや高齢者をどうしていくのか」

 東京都医師会は10月14日、都内で「少子超高齢化に必要なワクチン政策」をテーマに定例記者会見を行った。尾崎治夫会長は「今日はワクチンの話をしたいと思います」と切り出し「これからの少子超高齢化社会の中で大事なことは生まれた時、子ども、成人、高齢者すべてがなるべく病気にかからないようにすること。特に注意したいのがお子さんの感染症と、高齢者が感染症をきっかけに体が弱っていくこと」と述べた。

都内で定例記者会見を開いた東京都医師会の尾﨑治夫会長

「10月から65歳以上の高齢者と、基礎疾患のある60~64歳の人を対象とした新型コロナワクチンの定期接種が始まった。以前は新型コロナ感染症で肺炎を起こし、症状が悪化して亡くなられていく方が多かったが、今は感染によって発熱したり食事が摂れなくなったりし、衰弱していく中で持病が悪化して入院する方や亡くなられていく方が多くなっている」として

「インフルエンザ、新型コロナワクチン、肺炎球菌、帯状疱疹、RSウイルス感染症。主に65歳以上の高齢者はこれらの感染症をきっかけに体調を崩し、持病が悪化して亡くなることもある。フレイルや認知症のきっかけになってしまうことも多いので、この5つのワクチンをしっかり接種して感染症を予防していきたい」、「お子さんについても、小児科の先生がいろんなワクチンを接種しているのは予防の観点から。ワクチン接種することによって、今までいろんな感染症を起こしていたお子さんが感染しにくくなっているので、麻疹や風疹のワクチンも大事」などと訴えた。

「これからの医師の役割は病気になった人を治すというより、病気になる前の予防に力を入れていくことによって、この少子超高齢化社会をうまく生き延びようと考えている。その中でワクチンというのは非常に大事になる」と尾﨑会長。定例会見では麻疹・風疹ワクチン、8月25日より男性に9価ワクチンが適用拡大されたHPVワクチン、成人や高齢者に対するインフルエンザ、新型コロナ感染症、肺炎球菌、帯状疱疹、RSウイルス感染症ワクチンおよび成人のワクチン手帳の作成について解説した。

 さらに尾﨑会長は、新型コロナワクチンの定期接種への国の助成が終了し、都が区市町村に1回あたり1000円を補助することに対し「当初考えていたのは23区と多摩地区のすべての自治体で無料、あるいは3500円程度の費用で接種できないかということ。東京都の場合は予算を新たに組むためには補正予算を編成する必要があるが、補正予算が10月からのワクチン接種に間に合わないということで、限られた予算の中で1000円を助成していただけた。結果として23区で3500円程度と言っていた自治体が無料になり、財源がない自治体が多い多摩地区はほとんどの自治体が6500円程度になった」と言及。

「そもそも日本の国の中で子どもや高齢者をどうしていくのか。感染症をきっかけに持病が悪化して入院し、入院した時にフレイルや認知症が出てくれば、自宅に帰った時に介護で相当な費用がかかるという悪循環になる。その前に5つのワクチンやお子さんの麻疹・風疹、HPVワクチンなどに国が予算を組んで国民を守る、子どもや高齢者を守ることが確実に医療費の削減につながっていく。それに対してどれだけの費用を出して、予防できるかを真剣に考えていただきたい」と注文をつけた。

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