ピコ太郎『PPAP』10周年で子どもの感性を新曲に「“ほんとちょんまげ” という感覚が大事」

「毎月くだらないと言われる曲を本気で作って、1年間リリースし続けたら何かあるんじゃないかな」とピコ太郎

子どもたちの “ウケたい” を面白く

 そんなピコ太郎が10周年に向けて立ち上げたプロジェクト「Tottemo Release 80.8」とは?

「『PPAP』の特徴的な “コン、コン” という音はリズムマシン『TR-808』のカウベルという音なのですが、プロデューサーの古坂大魔王さんがDTM(Desk Top Music)を始めたきっかけのTR-808に敬意を表して、来年8月までの1年間で80.8曲をリリースするプロジェクトを立ち上げましたピ。ところが、やってみたらプレッシャーと仕事の量ですかね、3カ月で古坂さんが痛風を発症しちゃって(苦笑)。

 古坂さんがジャケ写撮影、サムネイル制作、MV撮影・編集、AI制作、編曲……合間にレギュラー番組の出演があって、子どもが7歳と5歳ですから完全に容量オーバーになっちゃいましたピコ。それでも毎月くだらないと言われる曲を本気で作って、1年間リリースし続けたら何かあるんじゃないかなと思っていますピ。10年前は1曲でああなったわけですから」

 さらに、チャリティーライブ「LIVE EMPOWER CHILDREN」の一環で、小児がんと向き合う子どもたちやそのきょうだいの “声” を集め、世界で一番笑顔=ラフになる新曲を制作する「ラフ・ソング」プロジェクトを始動。

「以前から子どもたちの声を曲にしたいという思いはあって、そんな中で出会ったのが12歳の誕生日に『ビーズのおともだち』という絵本を出版し、その3カ月後に亡くなった “わかちゃん” という女の子ですピ。物心ついてからずっと病院で過ごしてきた彼女の世界は、きっと僕らとは時間の進み方が違うけれど、不思議と伝えたいことが全部伝わってくる。そしてもう一人、僕が小児がん治療支援をしたいと思うきっかけになったのが、当時3歳の “あいりちゃん” という女の子。彼女が歌って踊ってくれたパワーを超えるものには、いまだに出会ったことがありませんピ。

 子どもたちと接して感じたのは、彼らは悲しいとかかわいそうと思われたいわけじゃないし、笑いを取りたいわけでもない。純粋に “みんなにウケたい” という気持ちなんですよね。だったら今、一生懸命頑張っている子どもたちに “一緒にやらない?” と呼びかけて、形にできたらどんなに気持ちいいだろうという思いから生まれたプロジェクトですピコ。これはエゴでもいいと僕は思っていて、子どもたちの “ウケたい” という気持ちを面白く表現し、聞いた人も楽しくなるプロジェクトの構想は何年も前からあって、今回やっと実現することになりましたピ」