【短期集中連載】〈日本で最も歴史の長いプロ格闘技・シュートボクシング40年史〉第13回 シュートボクシングが誇る双子の王者によるS-cup決勝が実現する!?

 来る11月24日、東京・国立代々木競技場第2体育館で創立40周年記念興行「〜SHOOT BOXING 40th Anniversary〜S-cup×GZT 2025」を行うシュートボクシング。プロ格闘技団体として同じ名前では史上最長となる40年という長い歴史を振り返る。(文/写真・布施鋼治)

左が兄、右が弟。本当にソックリな山田ツインズ。あなたは見分けがつく?

見た目はほぼソックリだがファイトスタイルは異なる2人

 地上最強のツインズ(双子)の誕生だ。

 シュートボクシング(以下SB)40周年を記念して開催される『S-cup世界フェザー級(58kg)トーナメント』(11月24日・国立代々木競技場第2体育館)に兄・彪太朗(こたろう)と弟・虎矢太(こやた)の山田ツインズ(いずれもシーザージム)が揃って出場する。

 ふたりは二卵性双生児。かつてSB黎明期には香取兄弟というツインズが活躍し、いずれも日本チャンピオンになっている。現在彪太朗が第7代SB日本フェザー級王者ならば、虎矢太は第15代SB日本スーパーバンタム級王者に君臨しているので、史上二組目のツインズ・チャンピオンということになる。

 双方とも格闘技歴はSB一筋。自宅からSBの総本山として知られるシーザージムまで目と鼻の先ということもあり、8歳からジムに揃って通い始めた。
「アニマル浜口トレーニングジムも近くにあるので、向こうに行っていたらレスラーになっていたかもしれないですね」(虎矢太)

 小学校から高校までは地元の同じ学校に仲良く通った。「勉強? これは自信を持っていえるけど、僕のほうが頭はいいです。僕は真面目といえば真面目なのでテスト前になると徹夜で追い込むほうだけど、虎矢太は『明日はテストだから早く寝る』というタイプだったんですよ」(彪太朗)

 見た目はほぼソックリだが、ファイトスタイルは異なる。彪太朗は「客観的に見てパンチ力や格闘センスは虎矢太のほうが上」と弟を持ち上げる。「僕はそのパンチをもらって倒れたくないので、根性がつきました。だから我慢とか根性は僕のほうが上です」

 その分析は正しく、彪太朗のKO率は33%なのに対し、虎矢太のそれは66%。倒すことに関していえば弟のほうが上だ。しかしながら勝ち星は兄のほうが3つ多い。チャンピオンとして、ふたりはシーザージムになくてはならない貴重な戦力になっている。

 先日、トーナメントの組み合わせが発表となり、彪太朗はジョシュー・アブサロン(フランス)と対戦することになった。アブサロンはISKA世界スーパーフェザー級王者だが、彪太朗は「(ネットにあがっている)試合映像が全然ない」とこぼす。「サウスポーという情報しかありません(苦笑)。ただ、背がちょっと高そうなイメージはある。あと、彼が持っているISKA王座は61kgなので、一つ上の階級の選手だなと」

 一方、虎矢太のほうは初戦でRIZINからの刺客メイマン・マメドフ(アゼルバイジャン)と拳を交わす。RIZINでは体幹の強さを生かし2連勝中。寝技のないSBルールには初挑戦となるが、要注意な存在だ。
「パンチだけでなく、パンチからハイキックに繋げるスピードが速く、1Rからブアッと来る勢いもある。RIZINで活躍してるヴガール・ケラモフ選手も彼のインスタに応援コメントを残している。ケラモフ選手のようなトップとも普段練習をしていることで当然気持ちも体も強いでしょう。一切油断できない相手ですね」

 続く準決勝も順調に勝ち抜けば、格闘技のワンデートーナメントでは史上初と思われる双子による決勝戦が実現する。彪太朗は「虎矢太との決勝のイメージもバッチリ」と胸を張る。「実際に虎矢太に出そうと思っている攻撃はずっと隠し通している。もしかしたら虎矢太のほうも隠してるかもしれない。今回のS-cupは特別な大会ですけど、いつも通り戦えば自分は優勝できると思っています」

 彪太朗は「弟に勝ち上がってきてほしい」と願うが、決勝の対戦相手として意識しないといえば嘘になる。「同じトーナメントの反対側に弟がいるというのは現実。もし決勝戦で当たったらどういうふうになるんだろうと考えてしまうこともありますね」

 世にも稀な双子対決は実現するのか?
(第14回に続く)