別所哲也が“映像の万博”を設立へ。「あらゆる垣根を超えて映像のステークホルダーが集う場に」

別所哲也 インタビュー

 世界中で愛されるアニメをはじめ、独自性の強いコンテンツ力を誇ってきた日本の映像文化。しかし、誰もがスマホで手軽に動画を撮影、AIで生成や編集し、SNSで世界中に発信できる今、必要なのは「プロや個人、企業や消費者、国や地方といった、あらゆる垣根を飛び越えて、日本のクリエイティビティーを世界へ放つ“発射台”なんです」と語るのが、自ら立ち上げた映画祭を通して挑戦を続ける俳優の別所哲也だ。

撮影・蔦野裕

10周年を迎えた“ブランデッドムービー”の部門が“誰もが集まれるエキスポ”に進化!その狙いとは

―別所さんといえば、25年以上も前に自ら映画祭を立ち上げ、アジアを代表する国際短編映画祭にまで育て上げたことでも知られています。

「20代のころアメリカで出会ったショートフィルムに衝撃を受け、1999年に手弁当で映画祭を立ち上げまして(笑)。今は『ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(略称:SSFF & ASIA)』の名で、今年で28年目を迎えます。半世紀以上の間には、オフィシャルコンペティションをはじめ、アニメや音楽、地球環境や戦争と平和などさまざまな分野に特化した部門も生まれ、まさに世界中から毎年5000本以上の応募が寄せられています」

ーその中で、2016年に設立された企業・団体のブランデッドムービー部門『BRANDED SHORTS』が独立されるとか。

「今年から、SSFF & ASIAの派生部門という形から独立し、エキスポとして開催することになりました。
 『BRANDED SHORTS』は、コマーシャル作品に限らず、短編映画のように作品性の高い、企業のブランディングを目的とする映像=“ブランデッドムービー”を紹介してきましたが、その中で私が感じてきたのは“伝えたい”という思いの強さでした。企業は、自分たちがどんな思いを込めて事業を行っているのかを伝えたい。地方自治体の方々は自分たちの大切な地域の魅力を伝えたい。
 
 一時期“ステマ”が話題を呼びましたが、今や消費者はそういったものを敏感に察知するようになり、多くの企業が“映像を使っていかに売るか”よりも、商品に込めた思いや事業の存在意義、いわゆるパーパスを物語る必要性を感じているのです。

 『BRANDED SHORTS』を立ち上げて5年目くらいには、ブランデッドムービーのさらなる可能性と、より革新的な場づくりの必要性を感じるようになっていましたが、コロナ禍でのDX加速もあり、プロとアマ、BtoBとBtoC、あるいは都市と地方といった従来の境界線が溶け出しました。今や企業のパーパス(存在意義)を語ることも、地方の魅力を世界へ届けることも、個人が自身の生き方を形にすることも、すべてが等しく“ブランディング”という一つの地平で繋がっている。その波が、社会のあらゆる隙間にまで広がっていることに気づいたのです。」

一『VISUAL EXPO by BRANDED SHORTS』としてエキスポ化する必要性を感じたのですね。

「映像祭からエキスポ型にすることには、主に3つの大きな狙いがあります。

 まずは“体験”から“実装”へのシフトです。会場では上映だけでなく、映像制作会社、広告代理店、XR・AI企業などが出展し、映像を使ったビジネスソリューションを来場者にその場で体験してもらい、直接商談機会につなげることも可能です。

 次に“映像表現の民主化”に対応した場づくり。 企業のPRから個人、地方自治体などあらゆる“ブランディング”の表現が交差する“映像の万博”とすることで、既存の枠組みを超えたイノベーションを誘発したい。

 そして業界を横断する共創コミュニティーを構築すること。プロのクリエイターや、広告・PR担当者、学生や個人のインフルエンサー、さらには普段は“クライアント”側の企業や団体の方々まで、映像を通したブランド発信に興味のあるあらゆるステークホルダーがリアルな場に集い“映像”という共通言語で対話する、共創コミュニティーにして日本最大級のプラットフォームを目指します。

『VISUAL EXPO by BRANDED SHORTS』は“映像とビジネス”の在り方にイノベーションを起こし、日本の企業や映像業界をさらに活性化させたい、映像の力でビジネスの未来を創りたいという私なりの決意の現れでもあるのです」

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