東銀座の行列すし店 “登龍門”で2人目の卒業生 小林航大さん「同じことをいつも通りに」

左から、小林航大さん、坂上暁史さん


 東銀座の行列すし店「鮨 銀座おのでら 登龍門」(以下、登龍門)で、新たな卒業生“昇り龍”が誕生した。同店からの“昇り龍”は、現在、ニューヨークで握る佐藤亮平さんに続く2人目。

 同店は2022年のゴールデンウイーク直前にオープンすると同時に行列店となったすし店。ミシュランの星やマグロの初せりなどでその名を知られているONODERA GROUPの新業態で、若手職人がカウンターに立つのが特徴。若手職人にとっては道場ともいえる店で、利用客の胸を借りながら、すしを握る技術に磨きをかけるとともに、コミュニケ―ションの取り方を学ぶ。その一方で、客は本店が提供するものと同様に準備されたネタをリーズナブルな価格で、一貫から楽しめるとあって、毎日カウンターが埋まっている状態だ。

 2人目の“昇り龍”となった小林航大さんは登龍門の立ち上げメンバーのひとり。親方で世界統括料理長の坂上暁史さんが小林さんのネームプレートをはめ込むと、小林さんは目じりを下げ口角をあげて、喜びを噛みしめた。

ここ数日でラインアップに登場したという新しい赤身の漬け。絶妙なつけ具合、そして甘味……豊潤な味わい。以前の漬けよりも数が多く出ているという。

 この日小林さんは、取材陣に「私の一年間です」とすしを提供。松皮造りにした気仙沼の真鯛、美しく包丁が入れられた小肌、最近メニューに投入して好評だという昔からの漬け込み方をした和からしで食べる赤身の漬け、とろたく巻を振舞った。

「ネタのチョイスに関してはこれだというのを選ばせていただきました。この一年間当たり前のことを当たり前にできるように考えてきましたので、あくまでもベーシックなものを選びました。そして、同じことをいつも通りにやっています」

 6月からは本店で握り手として勤務し、登龍門特別アドバイザーも兼任する。登龍門には新たな若手が加わり変わらず3人体制で提供する。

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