領域を越えて語りかけるアートたち「フィリップ・パレーノ展 オブジェが語りはじめると」

2020.01.14 Vol.726
 パリ在住の現代アーティスト、フィリップ・パレーノの日本初となる大がかりな展覧会。  パレーノの特徴は、映像、彫刻、ドローイング、テキストなど多様な手法を用い、展覧会を一貫したひとつのメディアとしてとらえていること。つまり展覧会は一連の出来事が展開する空間であり、個々の作品の意味ではなく「オブジェクト」として展覧会の可能性を探っていくと、展覧会はオープンスペースとなり、時に応じて変化するフォーマットとなる。展覧会に訪れることが、空間的・時間的境界や感覚的経験を伴う唯一無二のアート体験といえるのだ。  本展では、パレーノの代表作である白熱光が点滅する「マーキー」や、天井に張りつく風船「吹き出し」のほか、1995年、ワタリウム美術館が伝説のキュレーター、ヤン・フートを迎え、青山の街中に現代美術を展示した「水の波紋」展のために作られた作品「リアリティー・パークの雪だるま 氷の彫刻」を四半世紀ぶりに再現。  最先端でありながら懐かしい、現れては消える不思議なパレーノワールド。不思議な作品たちが語りはじめるとき、パレーノが見ている近未来の風景が我々の目の前に広がるかもしれない。

いつも、いのちが、そこにある「見える自然/見えない自然 ロイス・ワインバーガー展」

2019.07.13 Vol.720

 現在ウィーンを拠点に活動する国際的アーティスト、ロイス・ワインバーガーの展覧会。  ワインバーガーは1947年、オーストリア・チロル地方の山間にある村の農家に生まれ、幼いころは植物や動物の絵ばかりを描いていたという。両親の農家を手伝いながら鉄骨工の仕事にも就いたという彼がアートの分野だけで仕事をするようになったのは30歳ごろからのこと。最初は、自身で荒野の植物や絶滅種の植物を育て各地に植えるというフィールドワークからスタートし、90年代後半にはアスファルトをはがして庭を作ったり、除草剤を取り除いて線路を庭にしたりと、都市において人間が作った“決まりごと”を開放し、独自の表現を展開。それらの活動は、生態や環境にも根本的な疑問を投げかけ、多くの人の関心や共感を得ることになる。  同美術館が1999年に開催した「エンプティ・ガーデン」展に参加し、初めて日本に紹介されたワインバーガーが、それから20年の歳月を経て、改めて「見えない自然」という現在のテーマを発信する。絵画・ドローイングをはじめ写真や立体・彫刻作品、さらには壁画や映像作品など計120点を展示予定。

時代は移り変わっても…色褪せない“現代アート”「マイク・ケリー展 デイ・イズ・ダーン 」

2018.02.22 Vol.703
 1970年代後半よりパフォーマンスやペインティング、ぬいぐるみやサウンドを用いたインスタレーションなど多彩な作品を発表。ポール・マッカーシーやソニックユースとのコラボレーション、音楽活動やアルバムジャケットの制作など、アート以外の幅広い活動も行い注目を集めたアメリカの現代アーティスト、マイク・ケリーに迫る展覧会。  アメリカの大衆文化を通じて、社会の奥深くに潜むさまざまな問題点をあぶり出しそれらをアートのフィールドに持ち込んだケリー。ニューヨーク・タイムズでは「過去四半世紀で最もアメリカ美術に影響を与えた1人であり、アメリカにおける大衆文化と若者文化の代弁者」とも評された。  ワタリウム美術館では今回の展覧会を皮切りに、マイク・ケリーのさまざまな作品を複数回に分けて紹介していく予定。本展では、高校時代の“課外活動”をモチーフとした大作『Day is Done(デイ・イズ・ダーン)』(2004-2005)などを展示。『デイ・イズ・ダーン』は『課外活動再構成#2-#32』の総称。高校のイヤーブックや地域の新聞からとった放課後の“課外活動”のモノクロ写真をもとに物語を映像や写真、インスタレーションで“再生”していく大作シリーズ。ダンスや音楽、シナリオテキストはケリー自身が制作している。ケリーはもともと1日1つの映像で1年間に365作となるマルチメディア大作として構想し、生涯この作品を作り続けたが、計画全体が完了することはなく、今回ここに展示した31作品がすべてとなる。
マイク・ケリー展 デイ・イズ・ダーン 【会場・期間】ワタリウム美術館 開催中〜3月31日(土) 【時間】11〜19時(水曜は21時まで延長) 【休】月(2/12は開館) 【料金】大人1000円、学生(25歳以下)800円、小中学生500円、70歳以上700円 【問い合わせ】03-3402-3001 【交通】地下鉄 銀座線 外苑前駅より徒歩8分 【URL】http://www.watarium.co.jp/

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