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【今月の“人”】木下富美子前都議

2021.12.13 Vol.748

 無免許運転による人身事故をめぐり、東京都議会で2度の辞職勧告決議を受けていた木下富美子都議(55)が11月22日、辞職した。

 木下氏は同日、都庁で記者会見を行い、小池百合子東京都知事とも面会して辞職を決断したことなどを明かした。

 辞職を決めた理由としては4カ月ぶりに姿を見せた今月9日の都議会の委員会を挙げた。再選後初めての登庁となった木下氏は出席する意向を示したが、他の都議は「参加を認めれば議員として認めることになる」と出席を拒否し流会に。「十分に仕事をさせてもらえない理不尽な現実に悩んだ」と説明した。また「「齢(よわい)85に至る父の安全が脅かされる状態になった」との発言も。

 9日には議会を欠席していた3カ月分の議員報酬を「NPOなどに寄付した」と語り、寄付した先については「答えられない」としていたのだが、この日も「板橋区ではない、女性や子供たちの支援をする団体などに寄付をした」と答えるのみ。

 事故の際に支援している区議に「今回の件で免許停止になった」と嘘の説明をしていたことについては「その時は混乱していたとしか言えない」などと語った。

 辞職がここまで遅くなった理由についてはこの日も「“続けてほしい”という声があったのも確か」と語っていた。

【今月の“人”】アンドリュー・クオモ(ニューヨーク州知事)

2021.08.08 Vol.744

 米東部ニューヨーク州のジェームズ司法長官は8月3日、同州のクオモ知事(民主党)が退職者を含む州職員ら複数の女性に日常的にセクハラをしたと認定する捜査報告書を公表した。

 クオモ氏は2011年に就任し現在3期目。昨年春の新型コロナウイルスの感染拡大期の記者会見が連日全米に報じられ、知名度を高めた。捜査に対し、セクハラを否定。3日も「報告書の内容は事実と異なる」とするコメントを出した。

 報告書によると、同氏は2013〜2020年、若い女性職員らの体を触ったり、キスをしたり、抱き着いたりしたほか、不適切な発言をした。また、被害を告発しようとした少なくとも1人に側近と報復したとしている。

 これを受けバイデン米大統領は3日、クオモ知事について「辞任すべきだ」と述べた。

【今月の“人”】立花隆(評論家・ジャーナリスト)「プロレスというのは知性と感性が同時に低レベル にある人間だけが楽しむことができるもの」と発言

2021.07.12 Vol.743

「田中角栄研究」「宇宙からの帰還」などで知られる評論家でジャーナリストの立花隆(本名・橘隆志=たちばな・たかし)氏が4月30日に急性冠症候群のため死去していたことが6月23日に分かった。80歳だった。

 昭和49年に「文芸春秋」誌上で発表した「田中角栄研究−その金脈と人脈」が田中内閣の退陣につながり注目された。その後、田中氏の裁判に通い詰め、「ロッキード裁判傍聴記」全4巻を刊行。平成以降は自然科学に関心を移し「サル学の現在」や「立花隆・100億年の旅」など、人類や宇宙の根源に迫るテーマについて、各分野の研究者に取材した作品を次々に発表した。

 その一方、1991年に大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した『プロレス少女伝説』(井田真木子著)について、ほとんどの選考委員が同作を推すなか、立花氏は「プロレスというのは知性と感性が同時に低レベルにある人間だけが楽しむことができるもの」などという理由で反対。当時のプロレスファンから顰蹙を買った。

【今月の“人”】トム・ムーアさん

2021.02.09 Vol.738

 英国で新型コロナウイルス対策に尽力する医療従事者らを支援しようと、約3300万ポンド(約47億円)の寄付を集めた退役軍人のトム・ムーアさんが2月2日に亡くなった。100歳だった。新型コロナに感染し、1月31日に入院していた。

 ムーアさんは99歳だった昨年4月、100歳の誕生日までに歩行器を押して英南部の自宅にある幅25メートルの庭を100往復すると宣言。自身の挑戦と引き換えに寄付を募った。当初は1000ポンドを集めることを目標としていたが、懸命に歩く姿がメディアで取り上げられると、国内外で賛同者が急増。150万人以上から約3300万ポンドが集まった。英王室のウィリアム王子らも寄付したという。

 ムーアさんが募金を呼びかけた昨年4月は、英国で厳しい外出制限を課す「ロックダウン(都市封鎖)」が初めて敷かれていた。国内で不安が広がる中、ムーアさんの行動は「希望の光になった」(英メディア)と称賛され、同年7月にはエリザベス女王からナイトの爵位を授与された

 ムーアさんは生前、新型コロナの感染拡大を戦時中と同じ深刻な状況だと認識し、「私たちは今、戦争をしているようなものだ」と指摘。逼迫(ひっぱく)する医療現場の最前線で奮闘する医師や看護師に敬意を示し、「彼らが今以上に良い仕事ができるように必要なものを補給してあげなければならない」と語っていた。
 ムーアさんの訃報を受け、ジョンソン首相は声明で「ムーア氏は真の意味で英雄だった」と表明。「大戦の暗黒の日々に自由のために戦い、(新型コロナという)戦後最も深刻な危機においても私たちを団結させた」とたたえた。英首相官邸はこの日、半旗を掲げ、女王も哀悼のメッセージを贈った。

【今月の“人”】羽田雄一郎元国交相

2021.01.11 Vol.737

 立憲民主党の羽田雄一郎参院幹事長が昨年12月27日に急逝した。53歳だった。同党の福山哲郎幹事長は28日夕、国会内で記者会見し、羽田氏の死因が新型コロナウイルス感染症だったことを明らかにした。

 福山氏によると、羽田氏は24日の深夜に38.6度の発熱があり、翌25日、都内のクリニックに27日午後からPCR検査を受ける予約をした。25日、26日は都内の自宅で過ごし、27日に秘書の運転する車でPCR検査を受けるクリニックに向かったが、途中で呼吸が荒くなった。羽田氏が「俺、肺炎かな」といった後、会話が途切れたため、秘書はその場で救急車を手配したが、搬送先の東大病院で死亡が確認された。羽田氏には糖尿病、高脂血症、高血圧の基礎疾患があったという。国会議員の新型コロナ感染が確認されたのは6人目で、死亡したのは初めて。

 羽田氏は、父の羽田孜元首相の秘書などを経て平成11年の参院長野選挙区補欠選挙で初当選し、当選5回。旧民主党政権の野田佳彦内閣で国土交通相を務めた。

【今月の“人”】高田賢三(デザイナー)

2020.10.09 Vol.734

 世界的デザイナーの高田賢三さんが10月4日、新型コロナウイルスに感染し入院先のパリ郊外の病院で死去した。81歳だった。

 高田さんは 兵庫県姫路市生まれ。神戸市外大を中退後、文化服装学院で学んだ。1960年、新人デザイナーの登竜門「装苑賞」を受賞。1965年に渡仏し「KENZO」ブランドを設立、パリコレクションで注目を集めた。

 多様な文化や民族衣装などを学び、デザイナーとしてのオリジナリティーを磨き、時代の寵児となった。

 1993年に「モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン」 (LVMH) にブランドを売却。いったん現役を退いた後、独立デザイナーとして復帰。2004年のアテネ五輪の日本代表ユニホームのデザインを担当。今年1月にパリでインテリアの新ブランド「K3」を立ち上げた矢先だった。

 またフランスで「フランス芸術文化勲章シュヴァリエ位」(1984年)、「レジオン・ドヌール勲章シュバリエ位」(2016年)、日本では1999年に「紫綬褒章」を受章している。

【今月の“人”】李登輝(台湾元総統)

2020.08.08 Vol.732

 台湾の民主化を進め、初の直接選挙による総統を務めた李登輝元総統が7月30日、入院先の台北栄民総医院で死去。97歳だった。
 李氏は終戦前から台湾に住む「本省人」として初の総統に就任。中国大陸由来の国民党政権による一党独裁体制を内側から変革し「台湾民主化の父」と呼ばれた。中国からは「台湾独立派」と批判された。

 1971年に当時の総統、蔣介石の長男、蔣経国に抜擢され、国民党に入党。1988年1月、蔣経国の死去により総統に昇格した。
 2000年までの12年間の総統在任期間に、憲法を6回改正し、1949年の中台分断以降、改選されていなかった立法院(国会)の全面改選を行うなど民主化を推進。1996年の総統選を直接投票とし、自ら初の民選総統に当選した。また、中国全土の統治を前提とした政治体制から、実効支配する台湾に合わせた体制への改編を進めた。

 中国は一連の改革を台湾独立の動きとみなし、1996年の総統直接選に合わせ弾道ミサイル発射など軍事演習を実施、米国が2個空母打撃群を派遣し「第3次台湾海峡危機」となった。

 流暢な日本語を使い、「22歳まで自分は日本人だった」と語るなど親日家。

 日本との関係では、2001年に心臓手術で訪日する際、ビザの発給が政治問題化した。2016年夏までに計8回訪日し、2007年には実兄が祭られている靖国神社に参拝。台湾も領有権を主張する尖閣諸島をめぐっては、台湾内で批判を受けながらも「日本の領土だ」と公言し続けた。

 8月1日に台北市中心部の台北賓館に追悼会場が設置され、炎天下にも関わらず大勢の市民が長蛇の列を作った。

【今月の“人”】ジャイル・ボルソナロ(ブラジル大統領)

2020.07.10 Vol.731

 ブラジルのボルソナロ大統領は7月7日、新型コロナウイルスの検査を受けた結果、陽性だったことを明らかにした。

 ボルソナロ氏は5日から体調を崩し、6日に38度の発熱や疲労感などの症状を訴え検査を受けていた。7日に自ら首都ブラジリアの大統領府前で記者団に感染したと明らかにし「熱は下がり気分はいい」と述べた。当面は公邸でテレビ会議などを通じて公務をこなす。

 ボルソナロ氏は新型コロナ感染症を「ただの風邪」とし、しばしば公の場にマスクをせずに現れることで知られる。7日も「ウイルスの心配も必要だが、経済のギアを入れていかなければならない」と経済優先の持論を展開。最初のうちは記者団の前でマスクを着用していたが、最後には「私の顔をみれば良好なことが分かる」と述べ、マスクを外した。

 ブラジルでは新型コロナの感染者は160万人、死者は6万人を超え、ともに世界で2番目。

【今月の“人”】木村花さん(プロレスラー)

2020.06.09 Vol.730

 女子プロレス団体「スターダム」に所属していたプロレスラーの木村花さん(22)が5月23日に死去した。団体が公式ツイッターで発表した。死因などは遺族の意向もあり、詳細は明らかにはされていない。

 木村さんはフジテレビの恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演し、番組内の言動などに対してSNS上でいわれなき誹謗中傷を受けていたことが分かっている。

 木村さんは23日未明、自身のインスタグラムで「愛してる、楽しく長生きしてね。ごめんね」と猫と一緒の写真を投稿していた。

 WWE参戦中のカイリ・セインがこれらの投稿に気づき関係者に連絡したが、間に合わなかったという。
 木村さんの死を受け与野党はネット上の誹謗中傷について「ルール化が必要」との認識で一致し、規制についての検討が始まっている。

ヘンリー王子【今月の“人” 2020.3.6〜4.9】

2020.04.10 Vol.729

 英国のヘンリー王子(35)と妻のメーガン妃(38)は3月31日をもって英王室の公務から退いた。

 夫妻は当初、公務引退後はカナダに移住し、財政的に独立して王室から距離を置く方針だったが、計画には狂いが生じている。

 夫妻は1月中旬に公務の引退で王室と合意した後、すぐにカナダでの新生活をスタートさせたが、わずか2カ月ほどで米ロサンゼルスへの移住を決めた。これはカナダ政府が2月下旬、夫妻の警備を打ち切る方針を決めたことが大きい。

 しかしトランプ米大統領は3月29日にツイッターに「米国は警備費用を出さない」と投稿。カナダ政府と同様の判断を示したことから英王室ジャーナリストは「夫妻はどこにも居場所がなく、しばらくしたらロスも離れざるをえなくなるだろう」と予測している。

 また夫妻は経済的自立を目指し、女王から与えられた称号を基にした「サセックスロイヤル」の商標登録を申請し、ブランドビジネスの展開を狙っていたが、王室は夫妻にサセックスロイヤルの使用を認めなかった。ここでも思惑通りに事が運ばず、早くも「王室復帰」がささやかれている。

【今月の“人”】緒方貞子さん(元国連難民高等弁務官)

2019.11.11 Vol.724

 日本人として、また女性として初の国連難民高等弁務官を務め、難民支援に貢献した国際協力機構(JICA)元理事長の緒方貞子(おがた・さだこ)さんが死去した。92歳。東京都出身。

 緒方さんは昭和2(1927)年生まれ。曽祖父は犬養毅元首相、祖父は芳沢謙吉元外相。外交官の家庭に育ち、米国、中国、香港などで幼少期を過ごした。4歳のとき、五・一五事件で曽祖父を亡くした。

 1976年、女性初の国連日本政府代表部公使に起用され、上智大教授や国連人権委員会の日本政府代表などを歴任した。
 1991年1月、第8代国連難民高等弁務官に就任。2000年末までの任期中に、イラク・クルド難民の大量流出、ボスニア紛争、ルワンダ難民問題などに対応した。高等弁務官事務所の財政再建にも取り組んだ。

 退任後、アフガニスタン復興支援政府代表を務め、2003年に新たに発足したJICAの初代理事長に就任。約8年半の在任中、アフガンや南スーダンなど途上国支援に尽力した。

 緒方さんは日本人女性の国際社会進出の先駆け的存在。UNHCR時代の部下で、緒方さんを「仕事上の師」と仰ぐ国連軍縮担当上級代表(事務次長)の中満泉さんは、「いつも難民の人たちの利益を第一に考えている信念の方だった。私だけでなくて国連には、緒方さんから影響を受けた人がたくさんいて、みんな尊敬している。大きい人です」と語った。

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