広い世界が、見えてくる 山口晃展 「室町バイブレーション」

2016.10.26 Vol.677
 大和絵風などと評される画風で注目を集めている画家・山口晃の新作個展。  全国各地での展覧会はもちろん、2013年には画家のユニークな視点から日本美術を読み解いた『ヘンな日本美術史』で小林秀雄賞を受賞、本年は山梨県立富士山世界遺産センターのシンボル絵画として5.4×7.7メートルもの壁画を制作するなど、目覚ましい活躍を続けている。  本来は西洋絵画の素材である油絵具を使いながら、日本の伝統的絵画のスタイルを継承した山口の作品は、日本と西洋、古典と現代が同次元に存在する、時空を超越した世界を生み出していく。本展では、室町(から明治以前の)絵画と20世紀以降の現代美術の流れに共振性をみる、という観点で制作した作品を発表。複数の、一見まったく異なるモチーフが山口の中で共振し、立ち現れた絵画や立体、インスタレーションが会場内で展開する。 【時間】11?19時【休】日月祝【料金】入場無料【問い合わせ】03-3268-2500【交通】地下鉄 市ヶ谷駅5番出口より徒歩5分【URL】 http://www.mizuma-art.co.jp/

芸術の秋は、巨匠の名作も現代アートも楽しむべし 蜷川実花展「Light of」

2016.10.12 Vol.676
『六本木アートナイト2016』初日の21日に、六本木に新たにオープンするギャラリービルcomplex665ビルに、小山登美夫ギャラリーが北参道から移転。新たなギャラリースペースをオープンする。  六本木での第一回目の展覧会は蜷川実花展。本展では今年、新作写真集を発売した「Light of」シリーズを展示。本シリーズは、花火や野外フェスなど暗闇できらめく光を、画面からあふれんばかりにとらえ、その場にいる人々の一瞬を見る者にも伝えていく、美しくも力強い鮮烈な作品。閃光を享受する人々が放つのは熱狂か欲望か、それとも陶酔か。一方で、闇に浮かび上がった花火に向かって伸ばされる多くの手は、まるで光に救済を求めているかのようにも映る。  光を感じれば感じるほど、濃さを増す暗闇。光をとらえると同時に闇からも目をそらさない、蜷川のまなざしに視線を重ねてみては。 蜷川実花展「Light of」 【時間】11?19時【休】日月祝 【料金】入場無料 【問い合わせ】03-6434-7225 【交通】日比谷線 六本木駅出口1Bより徒歩3分 complex665ビル 2F 【URL】 www.tomiokoyamagallery.com  ※10月21日よりオープン

芸術の秋は、巨匠の名作も現代アートも楽しむべし「デトロイト美術館展 〜大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち〜」

2016.10.07 Vol.676
 アメリカを代表する美術館・デトロイト美術館の選りすぐりの名作たちが集結。6万5000点以上に及ぶ同館のコレクションのなかから、日本初上陸の15点を含めた全52点を展示する。  その顔ぶれは、名作《自画像》に加え日本初上陸となる晩年の作品《オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて》も出展するゴッホやゴーギャンらポスト印象派の作家たちの他にも、ドイツ人館長ヴィルヘルム・R・ヴァレンティナーの時代に収集された、カンディンスキーら20世紀のドイツ絵画、さらにはモディリアーニやピカソといった20世紀のフランス絵画の名作を紹介する。まさにヨーロッパ近代絵画を語る上で欠かせない作家の傑作が勢揃いする。  同館は、アメリカでゴッホやマティスの作品を初めて購入した公共美術館でもある。2013年、市の財政破たんのため存続の危機に陥りながらも、国内外からの資金援助により美術品を売却することなく存続。危機を乗り越えた今も、6万5000点以上の作品を所蔵している。市民はもちろん世界中の美術ファンからこよなく愛される名美術館の選りすぐりの名画を堪能して。 デトロイト美術館展 ?大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち? 【時間】9時30分?16時30分(金曜および10/22は20時まで。入館は閉館の30分前まで) 【休】10月21日(金) 【料金】一般1600円 、高大生1200円、小中生600円 【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル) 【交通】JR上野駅 公園口より 徒歩3分 【URL】 http://www.detroit2016.com/

街がまるごと!アートの祭典

2016.09.24 Vol.675
 街歩きすれば、それはもはやアート鑑賞。今年は3日間の開催となり、秋の夜長をアート三昧で楽しむことができる『六本木アートナイト2016』、さいたま市内各地でアート作品の展示やイベントが繰り広げられる『さいたまトリエンナーレ2016』を紹介!

美術館が、特別な空間になる。『森のファンタジー —マクロレンズの視点—』

2016.09.13 Vol.674
 自然の美しさを、独自の感性と観察眼によりマクロレンズ一本で表現する、磯重吉(いそ しげよし)の写真展。カラー作品43点を展示。自然の隠れた魅力を森の中に探し求めた作者が、マクロレンズ一本で表現したカラー作品43点で構成。 「森のオーロラ」は枝先のクモの糸を、光と風との戯れが作り出す一瞬の自然美を、「妖精・葉精」は葉っぱたちを人の顔に見立てたユニークな視点で表現。独自の感性と観察眼で撮り貯めた自然のファンタジー2部作にして、作者が30年の歳月をかけた“樹”を巡る3部作の完結編となる。  マクロレンズを通してとらえた、知らざる自然のワンダーな世界を楽しんでみては。 『森のファンタジー —マクロレンズの視点—』 リコーイメージングスクエア新宿 9月28日(水)〜10月10日(月・祝) 【時間】10時30分〜18時30分(最終日は16時まで) 【休】火曜 【料金】入場無料 【問い合わせ】03-3348-2941 【交通】地下鉄 大江戸線 都庁前駅A1出口より徒歩5分 新宿センタービルMB(中地下1階) 【URL】 http://www.ricoh-imaging.co.jp/

美術館が、特別な空間になる。篠山紀信展「快楽の館」

2016.09.10 Vol.674
 1960年代から、日本の写真界の第一線で活躍を続けてきた写真家・篠山紀信による、ユニークな企画の写真展。篠山本人のアイデアにより今回の作品はすべて、展覧会場でもある原美術館で撮影されたもの。一般的に写真展というと、展覧会場とは別の場所で撮った写真を展示するのが通例だが、本展では出品作品はみな、同会場で撮影されたもの。そのうちのいくつかは、まさに撮影場所に展示されていたりもする。同じ空間で、写真の中の“過去”と鑑賞者のいる“現在”が交錯し、幻惑的であると同時にどこか倒錯した鑑賞体験を味わうことになる。  原美術館の建物は1930年代に個人邸宅として建てられており、日本近代建築史の観点からも貴重な建築物となっている。その独特な空間を舞台に“快楽の館”を作り出すため、全作品の主題をヌードで一貫。カラー、モノクロ合わせ約60点を展示する。  本展は巡回展示が行われず原美術館だけで開催される。ここだけ、今だけという密やかさも、より耽美を醸し出す。“快楽の館”へと変貌した、原美術館へ足を踏み入れてみては。 篠山紀信展「快楽の館」 原美術館 開催中〜2017年1月9日(月・祝) 【時間】11〜17時(11/23を除く水曜は20時まで。入館は閉館の30分前まで) 【休】月曜(9/19、10/10、1/9は開館)、9/20、10/11、年末年始(12/26〜1/4) 【料金】一般1100円、大高生700円 【問い合わせ】03-3445-0651 【交通】JR 品川駅より徒歩15分 【URL】 http://www.haramuseum.or.jp/

【時を超えて、伝えられるもの】写大ギャラリーコレクションより 東京工芸大学同窓会90周年記念写真展「90 years」

2016.08.24 Vol.673
 東京工芸大学は、小西写真専門学校(旧制専門学校)として1923年に創立。1926年に校名を東京写真専門学校に改称した際に同窓会が発足。その創設90年を記念し、創設から現在までに同校が輩出した写真家たちの作品を、写大ギャラリーのコレクションの中から選りすぐって展示する。  本展では、文部科学大臣が選出する文化功労者に選ばれた渡辺義雄(1928年卒)、田沼武能(1949年卒)、細江英公(1954年卒)といった昭和を代表する写真家たちの作品から、本城直季(2004年卒)や、高木こずえ(2007年卒)といった木村伊兵衛写真賞も受賞した気鋭の写真家まで、同窓会90年の歴史の中で生まれた才能の数々を一挙紹介。  1975年に細江英公の発案により同校に開設された写大ギャラリーでは、国内外の著名な写真作品など約1万点のオリジナルプリントを所蔵。その中には、同校出身作家の作品も、もちろんオリジナルプリントで所蔵している。  出展作品の豪華さもさることながら、日本の写真表現の90年、そして時代の流れとしての90年を、楽しんでみては。 【時間】10〜20時【休】会期中無休【料金】入場無料【問い合わせ】03-3372-1321(代)【交通】地下鉄 中野坂上駅1番出口より徒歩7分【URL】 http://www.shadai.t-kougei.ac.jp/

【時を超えて、伝えられるもの】岡本太郎の沖縄

2016.08.20 Vol.673
 芸術家・岡本太郎が、返還前の沖縄を撮影した写真作品の展覧会。写真と合わせて、当時の貴重な記録映像も上映する。  前衛的な絵画や彫刻作品のイメージで知られることの多い岡本太郎だが、彼はパリ留学時に写真も学んでおり、写真家としても大きな評価を得ている。その主なテーマの一つが、東北や沖縄に残る“忘れられた日本”の光景だった。  1959年11月、返還前の沖縄に降り立った太郎が見たものは現代日本人がどこかへ押しやり、失ってしまった日本の姿だった。「これこそ、オレたち自身なんだぞ、日本そのものなんだぞ」。清冽に生きる沖縄の人々に、日本人の、そして自分自身の根源を見出した太郎は、夢中になってシャッターを切った。彼が残した写真は、太郎の目が見た光景、太郎の心をとらえた光景を、今に伝えてくれる。その光景を前に、岡本太郎の感動をぜひ追体験してほしい。 【時間】10〜18時(入館は閉館の30分前まで)【休】火曜【料金】一般620円、小学生310円【問い合わせ】03-3406-0801【交通】地下鉄 表参道駅 より徒歩8分【URL】 http://www.taro-okamoto.or.jp/

夏は現代アートでリラックス「12 Rooms 12 Artists UBSアート・コレクションより」

2016.08.07 Vol.672
 民間企業の現代美術コレクションとして世界で最大規模を誇るUBSアート・コレクションから厳選した現代アートが東京ステーションギャラリーに集結。歴史ある駅舎を展示室とする東京ステーションギャラリー独自の空間を12の部屋の集合に見立て、その一部屋ごとにUBSアート・コレクションから厳選した12作家を当てはめる。精神分析学者ジークムント・フロイトの孫としても知られるルシアン・フロイドや、コンセプチュアル・アートの第一人者エド・ルーシェイを軸に、映像、立体など約80点を展示。フロイド、ルーシェイの他、日本の荒木経惟や小沢剛、デイヴィッド・ホックニー、スーザン・ローゼンバーグ、リヴァーニ・ノイエンシュヴァンダーらの作品が並ぶ。  常設の展示施設を持たず、世界各国のさまざまな施設に収蔵されているUBSアート・コレクション。企業コレクションならではのフットワークの軽さで、アートシーンを敏感にキャッチして収集された、豪華な作品群は必見。 【時間】10〜18時(金曜は20時まで。入館は閉館の30分前まで)【休】月曜【料金】一般1000円、高大学生800円【問い合わせ】03-3212-2485【交通】JR東京駅 丸の内北口 改札前(東京駅丸の内駅舎内)【URL】 http://www.ejrcf.or.jp/gallery/

夏は現代アートでリラックス 風能奈々展「線でつなぐ遊びと名前をつけること」

2016.08.07 Vol.672
 イマジネーション広がる光景を“紡ぐ”アーティスト、風能奈々の個展。風能は、幼いころから魅了されている物語や神話に登場する動植物や人、風景やおまじないの道具などのモチーフを一見、織物だったり磁器だったりと多様な質感で描いていく作家。その重層的ながら透明感のあるマチエール(画肌)は、とても印象的だ。織物を一針一針紡いだような立体的かつ繊細な筆致や、素材を塗り重ねていくことで得られた磁器のような光沢感、マスキングによって浮かび上がる模様など、いくつものレイヤーが作り出す視覚効果が、一つの画面の中に、複雑な空間を作り出していく。  今回の個展では、大小さまざまな新作ペインティングを展示。これまでの作風とはまた違う遊び心を感じさせる作品や、新たな手法を取り入れた作品など、新境地に立った作家の姿を見ることができる。繊細かつユニークな表現で紡がれた、物語性あふれる幻想の世界を楽しんで。 【時間】11〜19時【休】日月祝および夏季休暇(8/14〜29)【料金】入場無料【問い合わせ】03-6434-7225【交通】地下鉄 北参道駅 徒歩2分【URL】 http://www.tomiokoyamagallery.com

杉戸洋 − 青木淳 展

2011.03.07 Vol.500

 美術家・杉戸洋と建築家・青木淳。アーティストと建築家のコラボが生み出す、表現の広がりを楽しめる展覧会。その青森県立美術館で4月23日から開催される開館5周年記念展「はっぱとはらっぱ 青木淳×杉戸洋展」の、さきがけとして行われる。  建築も美術も完結することのない“テストピース”だと言う2人。本展では、日常で誰もが目にするものを使って、ギャラリーを“スタディー空間”にする、ユニークなインスタレーションを披露する。作品は完成すればおしまい、ではなく、使う人や見る人によって、常に少しずつ生まれるもの…そんな作り手の思いを共感できるはず。

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