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2019年に上演された二人芝居が待望の再演。EPOCH MAN『夢ぞろぞろ』

2021.02.12 Vol.738

 EPOCH MANは虚構の劇団に所属する俳優・小沢道成が2013年から始めた演劇プロジェクト。

 小沢が作・演出も務めるその作品は、人(特に女性)の心の中をえぐり出すような作風で、問題を抱えた人物が前進しようとした時に生まれる障害や苦悩を丁寧に描いている。

 今回は2019年に上演された田中穂先と小沢道成による二人芝居の待望の再演。

 登場人物は寂れた駅の風変わりな売店で働く厄介な60歳の女性と、その駅から毎日仕事に通っていたものの、ある日突然電車に乗ることができなくなった青年の2人。夢を持たない2人による、やがて輝くための、もしくは諦めるための、とある駅で起こった愛しい数日間の物語が描かれる。

 小沢は今回の再演にあたり「純粋な再演をやってみたい気持ちはありますが、おそらくそうならない気がします」とコメント。初演時とは小沢本人も社会も演劇を取り巻く状況も大きく変わった。そんななかで小沢は今回、どんな作品を見せてくれるのか。

あの舞台が帰ってくる! ミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT』

2021.01.13 Vol.737

 2012年に福田雄一上演台本・演出によって日本初上陸したミュージカルの再演が決定。新しい年のスタートを笑顔でいっぱいにする!

 本作は、イギリスの国民的コメディグループであるモンティ・パイソンの大ヒット映画『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』を、メンバーのエリック・アイドルらが自らパクったブロードウェイミュージカルの日本版。神のお告げを受けたアーサー王は従者パッツィを連れ、家来となる円卓の騎士を集めて、聖杯(ホーリーグレイル)を探す旅に出る。しかし、次々にハプニングが発生。彼らの行く手を阻む。

 面白すぎると2015年にも再演されていて、今回で3回目の上演。出演は、アーサー王に山田孝之、ランスロット卿を賀来賢人、ロビン卿に小関裕太、ガラハッド卿に三浦宏規、パッツィに矢本悠馬とフレッシュで豪華なメンバー。新しいアーサー王たちの旅にワクワクが止まらない。

お芝居は不要不急です ONEOR8『グレーのこと』-2021ver.-

2021.01.12 Vol.737

 本作は2017年に浅草の劇場・九劇のこけら落し公演のラストを飾る作品として上演された。

 それまではありふれた日常的空間を舞台に、そこで暮らす市井の人々のなんてことのない日常を淡々と描く作品が多かった作・演出の田村だったが、この作品では「現世とあの世の間にあるグレーな世界」というこれまでとは趣の違う舞台を設定。そこに集まった裁判官のような者たちが死者が来世に何に生まれ変わるべきかを話し合っていくなかで、根源的でありながら“グレーなこと”があぶりだされていくというお話で、田村にとっても挑戦的な舞台だった。今回は「-2021ver.-」とあるようにブラッシュアップした形での再演となる。

 また新型コロナの感染予防として、客席については全席自由席にし、客同士の間隔が空けられるように配慮。また新たな試みとして公演の配信も実施。初日16日の14時の回が生配信される。

お芝居は不要不急です「OFFICE SHIKA PRODUCE『秘剣つばめ返し』」

2021.01.11 Vol.737

 劇団鹿殺しの丸尾丸一郎が脚本・演出を務め、2017年NHKラジオドラマ「劇ラヂ!」シリーズで発表され話題となった、丸尾丸一郎版“巌流島の戦い”『秘剣つばめ返し』が松島庄汰、佐伯大地のW主演のもと舞台化される。

 今作の佐々木小次郎は、勇気“以外”の全てを持つ孤高の剣客。岩流と自らの剣を称したのも臆病者の大口で、恋心を抱くたら姫とは口も利けない男。一方の宮本武蔵は六十戦無敗の剣豪にもかかわらず、女好きで自由奔放な性格のため、士官先は見つからず、その日暮らしの生活を送っていた。小倉藩の陰謀が渦巻く中、天下無双を決める小次郎と武蔵の決闘がついに始まることになるのだが…。さまざまな説がある小次郎の人物像や宮本武蔵との世紀の一戦を丸尾独自の目線で描く。

年末年始もステージ三昧で!二兎社公演44『ザ・空気 ver. 3 そして彼は去った…』

2021.01.02 Vol.736

 あるニュース番組の内容が次々に改変させられる異様な状況を描いた『ザ・空気』(2017)、 国会記者会館の屋上を舞台に、日本独自の“記者クラブ制度”に着目し、メディアと政権の癒着に迫った『ザ・空気 ver.2 誰も書いてはならぬ』(2018) に続く“空気”シリーズの第三弾が上演される。

『ザ・空気』、『ザ・空気 ver.2』ともに各演劇賞でさまざまな賞を受賞するなど高く評価された。

 本作の舞台は再びテレビ局。政治評論家の横松は、BSニュース番組「報道9(ナイン)」にゲストコメンテーターとして登場するため、某テレビ局にやって来た。ところが、ある「ゆゆしき事態」が発生したために、出演が難しくなってしまう。不本意ながら、普段は使われていない9階の会議室で待機することになった横松の前に、番組のチーフ・プロデューサー・星野が現れた。彼女が思いがけない人の名前を口にしたため、横松は動揺する。さらに、この部屋にまつわる「怖い話」を聞かされて……。

 二兎社初参加となる佐藤B作があくの強いコメンテーターを、同じく初参加の神野三鈴がプロデューサー役を務める。

 前2作同様、混迷を深める社会状況や現実の政治とシンクロさせ、今の日本の“空気”をリアルに体感できる作品となっている。

年末年始もステージ三昧で!KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『セールスマンの死』

2021.01.01 Vol.736

 2019年4月からKAAT神奈川芸術劇場芸術参与を務める長塚圭史が2018年11月に上演し、高く評価された『セールスマンの死』がKAAT神奈川芸術劇場10周年記念プログラムの一つとして待望の再演を果たす。今回は主人公の老セールスマン、ウィリー・ローマンを演じる風間杜夫、妻リンダ・ローマンを演じる片平なぎさら初演時のオリジナルキャストが多く集結した。

 同作はアメリカを代表する劇作家アーサー・ミラーの作品でピューリッツア賞を受賞するなどミラーの代表作。家庭の崩壊、若者の挫折感など第二次世界大戦後「アメリカン・ドリーム」に影を落とした人間疎外、そして平凡なアメリカ市民の夢と挫折を鋭く描いている。フレデリック・マーチやダスティン・ホフマン主演で映画化もされており、日本でもおなじみの作品だ。

 普遍性に満ちているからこそ、70年以上経っても色あせることなく上演されている一方で、見る側のとらえ方は時代によって微妙に変化するもの。2021年の日本でこの作品はどのようにとらえられるのかも興味深いところだ。

浅丘ルリ子が六角精児と朗読劇 「世の中の人々に届けるべき」

2020.12.28 Vol.736

 浅丘ルリ子と六角精児が朗読劇『ななしのルーシー』に挑戦する。リチャード・コネルによる短編小説『レピュテーション』が原作で、デマや嘘に惑わされやすい民衆の姿や、“世論”の脅威と脆さを描きながら、独自のユーモアとサスペンスを加えて、喜劇に仕上げた作品だ。

 浅丘は、自身にあて書きされた不遇な過去を持つ元女優ルシアを演じる。「同じ原作から生まれた『群衆』という映画を見たことがあります。ゲイリー・クーパーが演じる粗野な野球選手が大騒動に巻き込まれるという内容で、戦前に作られた白黒映画ですが、これが今見てもとても面白いのです。今回の台本はゲイリー・クーパーが演じていた役がルシアという女性に置き換えられています。繊細ですが強い反骨精神の持ち主で、高い知性を感じさせる役どころです。ですが、決して自分の信念を曲げないという性格には大いに共感しました。また、この物語が持つメッセージは、いまの世の中の人々にこそ届けるべきだと思っております」。

 ルシアを大騒動へと巻き込む新聞記者を演じる六角精児は「この作品には、デマを信じた人たちの群衆心理が描かれています。(社会にまだ情報が少ない頃の話なので)デマを信じざるをえない悲しさも描かれているんですけれども、今の世の中だって何が正しくて何が間違っているのか分からないことが多いじゃないですか。少なくとも大多数が考えていることが、必ずしも正しいことではないと思うんです。僕も、このテーマは今やるべきなのではないかと」と語った。

 今回の舞台は途中休憩を挟んだ二部制で、二部では朗読劇に出演する妹尾正文も加わって、トークショーを行うという。浅丘は「3人でいろんな話をしたり、六角さんはギターが弾けますから、みんなで楽しく歌を歌ったり…20分ぐらいですけれども、細かい内容はいま考えています」。

 チケットの一般発売は2021年1月16日から。

年末年始もステージ三昧で!青年団第82回公演『コントロールオフィサー』+『百メートル』二本立て公演

2020.12.24 Vol.736

 青年団が大晦日から東京オリンピックを控えた日本を舞台としたスポーツがテーマの短編作品の二本立て公演を行うこととなった。

『コントロールオフィサー』は水泳のオリンピック代表を決める日本選手権終了後のドーピング検査控室を舞台とした作品で、2016年に三重県の津あけぼの座の開館10周年記念公演の一つとして書き下ろされたもの。2019年2月の「平田オリザ・演劇展 vol.6」でも上演され大きな反響を呼んだ。この上演をきっかけに陸上競技をテーマに描いた『百メートル』とともに米ニューヨーク公演や北米ツアーを行う予定だったのだが、新型コロナウイルスの影響でやむなく中止に。国内での公演も延期されていたのだが、今回ついに上演されることとなった。

『コントロールオフィサー』はドーピング検査室で尿が出るのを待っている男たちのどうしようもなく情けない物語。『百メートル』は代表を決める決勝前の緊張する密室空間を描いた物語。オリンピック前に見られて良かったとしみじみと思わされる作品だ。

【演劇・ミュージカルに復活の兆し】good morning N°5『ただやるだけ』

2020.11.12 Vol.735

「good morning N°5」は女優の澤田育子(拙者ムニエル)と藤田記子(カムカムミニキーナ)がただただ「面白いことがやりたい、というか、面白いことしかやりたくないッ!!」という思いで2008年に立ち上げた劇団。

 作・演出を担当する澤田が描く世界は、愛情とくだらなさ、そして華やかさが満載。加えて、この2人、もともと小劇場界では一癖も二癖も…どころではない女優として名をはせる存在とあって、とにかくはちゃめちゃ。そして2人の顔の広さもあって、客演陣もとにかく豪華。

 今回の作品も「世界平和を願いながら、愛とくだらなさが全力でメチャクチャに交差する全力投球型ド派手なヘンテコリン世界。バカバカしくも号泣必至(?!)」とのこと。

 今回は劇団結成13周年記念公演として劇団初のロングラン公演を敢行。当初は全30ステージに日替わりゲストを呼び、華やかなロングラン公演とする予定だったのだが、ご時世柄、日替わりゲストは断念した。しかしレギュラー出演者自体が入江雅人、音楽も担当する中村中ら豪華な布陣となっているので、華やかさについては心配ご無用。

 なお11月1日からMotionGalleryにてクラウドファンディング( https://motion-gallery.net/projects/gmn5_cf )を実施。上演作品DVD、グッズなど全て今後一般販売の予定のないものがリターンとなっている。

【演劇・ミュージカルに復活の兆し】新宿梁山泊『唐版・犬狼都市』

2020.11.10 Vol.735

 新宿梁山泊は今年6月に花園神社特設テントで『唐版・犬狼都市』の上演を予定していたのだが、新型コロナウイルスの影響で、延期に。その公演が本多劇場グループテント企画として、11月14日から下北沢駅前の線路街 空地に特設紫テントを立てて上演することとなった。

 本作は澁澤龍彦の「犬狼都市」に想を得て描かれた唐十郎の珠玉の名作。東京の大田区の地下にあるという犬の町「犬田区」を舞台とした物語。そこに生息するしがない人間のドラマが展開される。

 新宿梁山泊の役者陣に加え、小劇場界で活躍する宮原奨伍、オレノグラフィティ、実力派俳優・松田洋治ら豪華な客演陣を迎えて送る。

 同作は状況劇場で1979年に初演。場所は新宿西口公園に建てられた状況劇場の紅テントだった。当時の状況劇場の客は新宿という街が生み出す猥雑な空気につかりながら唐の作る幻惑の世界の一員となっていた。

 開発されてしまった下北沢という街にはかつての新宿のような空気は望むべくもないが、その中で新宿梁山泊はどのような世界を見せてくれるのか…。

 新型コロナによる感染症対策として、テント演劇の定番である桟敷をなくして全席指定席のみとし、客席数も通常よりも大幅に減らし、また入場時に検温、50分に1回はテント全面で換気するなど、万全の対策を取っての公演となる。

どんどん舞台に活気が戻ってくる予感 劇団鹿殺し『ザ・ショルダーパッズ』

2020.11.01 Vol.734

 新型コロナウイルスの感染拡大防止による劇場の休館で3月の東京公演が中止となってしまった鹿殺しが劇場に帰ってくる。

 3月の大阪公演はなんとか実施したものの、他の劇団同様、そこから長く沈黙せざるを得なかった彼らだったが、8月には劇団活動の「再起動」を宣言。11月に劇団公演を実施することを発表した。

 今回の「ザ・ショルダーパッズ」は男性の衣装は2枚の肩パットのみで行われる。このスタイルは2004年の劇団公演を皮切りに、ライブハウスでの音楽劇、PLAY PARK2012、福岡演劇フェスティバルなどさまざまな公演・会場で上演されてきたもので、劇団鹿殺しの伝統表現の一つの集大成といえるもの。シンプルな肉体と、想像力の翼のみを武器に演者と観客、双方の世界を無限に解放することに挑戦していく。

 今回は宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」と江戸川乱歩の「少年探偵団」の2作品をそれぞれ上演。この名作を丸尾丸一郎が戯曲化し、菜月チョビによる「ザ・ショルダーパッズ」ならではの演出で作品世界を美しく立体化するという。

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