鈴木寛の政策のツボ 第八回

ph_column9900.jpg

文部科学副大臣としての2年間を振り返って

 政権交代以降、約2年連続して文部科学副大臣を務めさせていただきました。

 文部政策については現在までのところ、昨年の高校無償化に引き続き、小中学校の35人以下学級の開始、スポーツ基本法の制定をはじめ、マニフェストをほぼ行程表通り実現しました。2回の通常予算、見直しを含め5回の補正予算、計7回の予算編成に携わり、コンクリートから人への理念を実現することができました。

 ソフトパワー立国の原動力となる人づくり、知恵づくりを充実させるという観点から、今年度の文部科学省予算として5兆5428億円を確保いたしました。歴史上初めて国土交通省予算(5兆3770億円)を文部科学省予算が上回りました。政権交代の理念が実現したといえます。その結果、上記のマニフェスト項目に加え、奨学金事業総額も1兆円を超え127万人が受給できるようになりました。10年減らされ続けてきた大学関係予算も増加に転じ、若手研究者の予算やポストは1.4倍、科学技術研究費1.3倍の2666億円としました。大学付属病院も赤字経営から黒字に転じ、医療人材の人員増ができました。文化・スポーツ予算も一応過去最高額です。

 政権交代前に比べ、公共事業費は3割削減する一方、文教科学費は5%増、社会保障費1.6%増と、2回の予算編成で劇的に予算配分構造を改革しました。国債発行額を増やさずに社会保障水準を維持し、教育を充実させました。これこそ、本当の構造改革であり、政権交代の最大の成果です。もしも、政権交代していなければ、社会保障水準を引き下げるか、国債発行を大幅増額しデフォルト不安がより深刻化してしまうかのどちらかだったでしょう。

 さらに熟議や新しい公共なども始めるなど、新しい社会づくりへのさまざまな芽を出すことができました。特に、熟議は文科省が後援・協力しているもので140カ所を超えました。新しい公共を支える個人寄付優遇税制もできました。充実した2年間でした。これからも引き続き政策面から教育現場をサポートしていきたいと思います。

(参議院議員)