ニュースのの真髄 参院8会派で首相問責を可決 自民は”自己否定”賛成

 参院は8月29日夜の本会議で、野田佳彦首相に対する問責決議を自民党や新党「国民の生活が第一」など野党の賛成多数で可決した。問責決議を受ける首相は現行憲法下で3人目。民主党政権での首相としては初となる。国会は9月8日の会期末を待たずに事実上「休会」となり、解散含みの展開で推移しそうだ。

 民主党は問責決議案の提出によって、「近いうちに信を問う」とした3党合意は破棄されたとしている。
 問責決議は「国民の多くは今も消費税増税法に反対している。国民の声に背く政治姿勢を取り続ける野田首相の責任は極めて重大だ」と強調した。

 決議をめぐっては、28日に問責案を提出した自民、公明両党と、7日に別の理由で提出した「生活」など他の中小野党7会派が対立。最終的に中小政党の修正案に自民党が同調した。首相問責決議は平成20年6月に福田康夫首相(当時)、21年7月の麻生太郎首相(同)を対象としてそれぞれ可決された。両氏は約3カ月以内に内閣総辞職や衆院解散に追い込まれた。

 問責決議の可決で、今国会中の衆院解散・総選挙に弾みをつけようとした自民党だったが、すでに決議案を提出していた「国民の生活が第一」を中心とする中小政党に主導権を握られた。

 自民、公明両党は3年間の民主党政権運営を批判する内容の問責決議案を作成した。自公両党は参院議院運営委員会で過半数を占めておらず、決議案の本会議上程には他の野党の協力が必要だった。各党に賛同を求めたが、中小政党は「われわれの案を棚ざらしにして、自分たちの問責に同調しろというのはご都合主義だ」と反撃に出た。

 自民党は早期解散に追い込むため何が何でも問責決議を可決させようとしたが、公明党は、消費税増税に反対論の根強い支持母体の創価学会を説得してまで通した増税法や社会保障・税一体改革の3党合意を批判する中小政党案には乗れず棄権した。
 自民党の丸山和也参院議員も棄権し、「消費税増税法に賛成し3党合意もしたのに、これらへの反対を理由とした問責に賛成するのは自己矛盾で、茶番だ」と批判した。

 谷垣氏は本会議終了後、記者団に「小異にこだわっていたら大きな目的は達成できない」と可決の意義を強調したが、自民党幹部からも「党にとってマイナスになってもプラスはない」と落胆の声が出た。9月の総裁選に大きな影響を及ぼすのは間違いない。