レスリング存続 野球・ソフトとスカッシュは落選

 国際オリンピック委員会(IOC)総会で8日、2020年東京五輪の実施競技の残り1枠にレスリングが選ばれた。

 候補となっていたのはレスリング、野球とソフトボール、スカッシュの3競技。投票でレスリングは過半数を越える49票を獲得。野球とソフトは24票、スカッシュは22票だった。

 存続が決まった9日未明、女子55キロ級五輪3連覇の吉田沙保里ら関係者が詰めかけた、東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンターは歓喜の渦に包まれた。

 同センターのレスリング道場で、吉田はともに五輪金メダリストの伊調馨、米満達弘らとともにレスリングのプレゼン映像を食い入るように見守った。発表までは手を合わせて祈る姿も見られたが存続が決まり、「心のどこかで信じていた。決まった瞬間は『やったー』という気持ち」と吉田は安堵の表情を浮かべた。

 吉田は東京五輪は37歳で迎えるが「私も東京まで頑張りたいという気持ちになった。日本国民のみなさんに生で見ていただきたい」と語った。

 レスリングは2月のIOC理事会で除外の危機に陥った。しかしその後の7か月間に、IOCの意向に沿って、ルール改正や女子階級の増加、女性理事の登用など改革に着手。結果的に国際レスリング連盟(FILA)にはびこる古い体質を一掃し、競技の質をよりアクティブな方向へと導くこととなった。

 レスリングが中核競技を外れた要因は、女性進出の遅れなどFILAの体質の古さにもあるが、他方では、テレビ視聴者数やインターネットのアクセス数の少なさも大きな比重を占めたとされる。しかし今回の結果は、わずか15人で構成され、商業路線への偏重とも映る理事会のやり方に対し、「伝統も重視すべきだ」と多くのIOC委員が声を上げた格好だ。
 実施競技入りがかなわなかった野球・ソフトボールは米大リーグ機構(MLB)の全面的な協力を得られなかったことが響いた。

 スカッシュは12年、16年の失敗から、全面ガラス張りのコートを準備し、エジプトのピラミッドの前でプレーするなど、話題性のある演出でアピールしてきたが、またしても朗報は届かなかった。