INTERVIEW 中川翔子 

みんな大好きサブカルネタ満載のカオスムービー『ヌイグルマーZ』
60962.jpg大槻ケンヂ率いるパンクバンド・特撮の楽曲を元に書き下された小説『縫製人間ヌイグルマー』を原作に、史上かつてない特撮ヒーロー映画が誕生した。しょこたんこと中川翔子が『電人ザボーガー』の井口昇監督とタッグを組み、映画初主演に挑む注目作。特撮+ヒーロー+ゾンビ+カワイイファッション…みんなの“好きなもの”がぎゅっとつまった素敵すぎる世界観をしょこたんが語る!
撮影・宮上晃一 ヘアメイク:リョータ スタイリスト:遠藤幸子 衣装協力:ワンピース 2万4150円 MILK(03-3407-9192)
しょこたん、特撮ヒーローになる


「私、ずっと特撮ヒーローになりたいという夢を抱いていたんです。まさか大人になって叶うとは思いませんでしたけど(笑)」と、何度も“幸せ”と語る中川翔子。歌手をはじめ声優やイラスト、漫画家など多彩な活躍を続ける彼女が、満を持して挑んだ映画初主演作。その役どころとは、普段はロリータファッションに身を包んだダメ少女だが、ひとたび愛する者に危機が訪れると、宇宙生命体が憑依したぬいぐるみ・ブースケと合体し、縫製ヒーロー・ヌイグルマーに変身するという主人公。

「普通、戦隊もので女子の役割というとイケメン男子たちを支えるヒロインだったり、仲間の1人だったりしますよね。でもこの作品では、女子が立ち上がって女子を守るんです。イケメンも出てくるんですけどたいして役に立ちません(笑)。夢子=ヌイグルマーは、ヒロインじゃなくてヒーローなんですよ。セーラームーンとかプリキュアとか、強い女子キャラに通じるものがあるんです。それを実写でやることができたというのが本当にうれしくて。ヒーローが女子ということで、あちこちピンクがいっぱいなのもかわいいし。夢子の衣装でロリータ服を着ることができたのもうれしかったですね。実は10代のときにあこがれがあったんですけど、ずっと着る勇気がなくて。ギリギリ20代のうちに着ることができて、良かったです(笑)。撮影初日に事務所の社長から“28歳でこれを着るのか!?”と言われたんですけど、関係ないです(笑)。あと何といっても、女子同士の友情が描かれているのが、共感度高いですよね。女子同士って一旦食い違うとすごく大変だけど、お互いを認め合った時にはその絆が一生ものになる。そういうことも感じさせてくれるんです」

 女子+特撮。新しいのに懐かしい。

「最近の特撮はCGもすごいですけど、やっぱり昭和の特撮の、実際に人が入っていたり動かしたりする、あの手作り感と少し切ない感じが好きなんですよね。本作でもブースケは、実際に人が手を入れて動かしているので、昭和特撮ならではのけれん味を醸し出してくれています」

 彼女の特撮好きは筋金入りだ。

「子供のころ祖父に毎週のように後楽園のヒーローショーに連れて行ってもらい、夢中で見ていたのが始まりだったんじゃないかと思います。ヒーロー役の人たちの全身タイツ姿に真剣にあこがれていました。中学生になり本格的に特撮オタクになると、ヒーローショーはもちろん握手会やサイン会にも通いました。あまりに熱狂的に追っかけていたので、私のことを覚えてくれた方もいて…今回実は、当時私が追っかけていたスタントの方がゾンビ役で参加してくださっているんです。あまりにも通ってくるから覚えていてくれたって(笑)。大人になって、子供のころにあこがれていたヒーローがゾンビになって、それを自分が倒すというのも、不思議な運命を感じましたね」

 今回、変身後のヌイグルマー役はアクション女優の武田梨奈が演じているが、中川も得意のヌンチャクアクションを披露している。

「あのヌンチャクシーンは、夢子が“ダメ子”で終わらないために、絶対にかっこよくやらなきゃと思って気合を入れてやりました。私は戦隊ものも好きなんですけど、今回は『宇宙刑事ギャバン』のような、1人で戦うヒーローの、愛と強さと責任感、そして哀愁を胸に抱きつつアクションに臨みました。同時に、これまでいないタイプのヒーローであるヌイグルマーらしさも出したかったんです。ロリータ服でヌンチャクを振り回し、ゾンビを倒すシーンなんてこの作品以外では見られないと思います。あのピンクのふわふわのヌンチャクは、実は私が中学生のときに手作りしたものなんです。十何年も振ってきたヌンチャクと一緒に映画に出ることができたなんて…感激ですよ! 今回アクションを指導していただいたのだって、それこそ私が小さいころから見てきた作品でアクション指導をしてきた方だし。私が抱き続けてきた特撮という夢がこんなふうに形になるなんて…運命としか思えないです」


これだけは譲れない!“○○愛”


 ヒーローVSゾンビによるアクションシーンもツボ。

「今回は倒す側でしたけど、個人的にはゾンビになってみたいんです。ピーター・ジャクソン監督の『ブレインデッド』というゾンビ映画が大好きなんですけど、広場のゾンビを芝刈り機でミンチにしていくというシーンが大好きで、あれはやってみたいかも…。でも実際は、ゾンビってかわいいから殺したりできないと思うんですよ。だから噛んでもらって、自分もゾンビになりたいです。アメリカは土葬だからゾンビというカルチャーがあるわけですけど、日本って火葬じゃないですか。ちょっともったいない気もするんですよね。死してなお生き続ける貪欲さって、かっこいいと思うんですよ。できることなら私も、ただ死ぬんじゃなくてゾンビか化石になりたいなと思います。ゾンビで妄想するのも好きですね。ゾンビが好きな人ってみんなそうだと思うんですけど、日常生活で“今ゾンビが出たら…”ってシミュレーションしません? 例えば歩道橋を渡っているとき、今前方左右の階段からと背後から、同時にゾンビが現れたら、まず前方のゾンビを1体ヒジで抑えつつ右サイドをけり倒して…とか。今回、劇中で高円寺の街にゾンビが現れるんですけど、いつも妄想していることが実際の光景になってしまって、それを目の当たりにしたものだから撮影が終わってからも本当に街中でゾンビが出てくるんじゃないかと思わずにいられなくなって。しばらく大変でした(笑)」

 全部好きなもので構成されているんです、とうれしそう。

「夢子も私も、これだとなったら一直線。夢子はロリータ服に目覚めたら自分で作っちゃうし、私もヌンチャクを作ったし。それで世間から浮いても、自分が興奮できればそれでいいんですよ。興奮できる趣味を持っていないって、本当にもったいないことだと思うんです。それを改めて夢子に教えてもらった気がします。でも思えば今回、みんな“これが好き!”となると一直線に熱中する人たちが集まっているんですよ。井口昇監督もずっと特撮が好きで、映画監督になってからもその夢を描き続けているすごい方ですし。ただ今回、なぜか乙女スイッチが入ってしまったみたいで、ツイッターで女の子言葉になってましたね。ヌイグルマー/キルビリー(一人二役)を演じた武田梨奈さんとはジャッキー・チェン話ですごく盛り上がりました。こんなにジャッキーの話で盛り上がることができる女子は初めてでした。今回、片目が眼帯で隠れているので、すごくアクションもやりにくかったと思うんですよ。ヌイグルマーを演じられるのは彼女しかいないと思います。でもサンタクロースを見たと真剣に言っていたのでやっぱりちょっと変わってるかなと思います(笑)。『海賊戦隊ゴーカイジャー』の市道真央さんと共演できたのもうれしかったです。市道さんもアニメキャラの誕生日を一人で祝ったりしたことがあるそうで、やはり変わってるかなと。二次元愛好同士、仲良くなれてうれしかったです」


“好きなもの”がパワーをくれる


“ちょっと変わってる”ことは素敵なこと。今の彼女は、多くの人にそれを教えてくれる存在。

「私は、10代のころから“自分なんかが…”が心の口癖というネガティブな人間だったんですけど、そんな過去があったからこそ今回、主人公の夢子を演じることができたと思うんですよ。そのネガティブさや過去のダメな日々が経験値となった、私の夢の結晶がまさに本作なんです。私にとってアニメや特撮は、幼いころに出会ってからずっと好きなもので、大人になった今も毎日摂取しないといけないくらい重要な栄養源になっているんですけど、今回の作品を通して、ブレないでずっと好きでいようと改めて思ったんですよね。本気で好きなものがあれば、いろんなことがダメでも、輝ける瞬間がきっと来る。好きでい続ければ、思い描いた形じゃなくても、違う形でも、いつか夢が叶う日が来るから。今のことを、過去の自分に教えてあげたいなと思います。ヒーローに熱中しているときだけが幸せだった10代のころの自分に、プレゼントできる映画になったなと思います」

 そして今“好き”がどんどん増えている、と語る。

「去年、洋楽も好きになったんです。Yesとか…これは“ジョジョ”の影響が大きいんですけど(笑)。あとミニー・リパートンにも癒されています。アニソンしか聞かないと決めていた時期もあったんですけど、好きなものを増やすほうがいいですもんね。ブレないのもいいけど、ブレないものが増えていくほうがもっといい。やっとそういうふうに思えるように心がほぐれてきたんです。特に去年は、新しいお店に行ったり新しいことに挑戦するのが、すごく楽しい年でした。映画にももっと出たいと思いますし、料理本も出してみたいし、もっといろいろなアニソンを歌ってみたい。新しい“好き”を今年も見つけていきたいと思います」

 最後に読者にメッセージを!

「この映画に出てくるのは完全無欠なヒーローじゃなくて、みんなどこか抜けていたり足りなかったりする人ばかり。でもだからこそ、何かに好きなものに向かって突き進んだとき、すごく輝くことができるんだと思わせてくれる映画です。男子はもちろん、女子や悩める10代にも絶対おススメの特撮映画です!」
(本紙・秋吉布由子)
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『ヌイグルマーZ』
宇宙から来た綿状生命体が宿ったテディベア・ブースケと、ブースケと合体することで“ヌイグルマー”へと変身する主人公・夢子が愛する者と地球の平和を守るため立ち上がる!

監督:井口昇 出演:中川翔子、武田梨奈、市道真央他/1時間39分/キングレコード、ティ・ジョイ 配給/1月25日より新宿バルト9他にて公開 http://ngz-movie.com/http://ngz-movie.com/
©2013 ヌイグルマーZ/フィルム・パートナーズ