これもみんな、愛。『究極の愛について語るときに僕たちの語ること』コエヌマカズユキ

 ジャーナリストとして活躍する一方、夜は新宿のゴールデン街のバー「月に吠える」のマスターとして働く著者による、いろいろな愛の物語について綴った本。新宿ゴールデン街で出会った人、またそんな人たちに紹介してもらった人、さらにはインターネットで知り合った人などに取材をして書き上げた6つの物語が紹介されている。

 ざっとあげると「車椅子の男と風俗嬢のカップル」「レズビアンの女」「お見合い結婚をした夫婦」「植物状態の妻を介護しつづける男」「ネット上でしか恋愛できない女」「ラブドール愛好家」。ヘビーなものから、ライトなものまでさまざまだ。赤裸々に語られるその物語は特別で異常な愛に映るかもしれない。しかし、著者の偏見を持たない目で彼らと対峙し、聞き出し、書き上げられた作品には、何か普遍的でシンプルな愛を感じることができる。見た目や職業、価値観、性的指向は人それぞれだ。

 この世に普通の人はいない。みんなどこかしら特殊だ。いや、特殊なことが普通なのだ。そう考えると、この本に登場する人たちの恋愛は彼らにとってごくごく普通の恋愛であると言える。ピュアすぎて、不器用すぎて、読んでいるこちらの胸が痛くなる話もある。しかし、読み終えたあと、共感できる気持ちが芽生えている事に気づく。



【著者】コエヌマカズユキ【定価】本体1400円(税別)【発行】青月社