小池百合子のMOTTAINAI
「仙台宣言」防災は事前対策と教育がカギ

 3月14日から18日まで、宮城県仙台市で開かれた国連防災会議は、防災に関する国際的な行動枠組みと「仙台宣言」を採択して閉幕しました。参加国は190か国に上り、世界のほぼすべての国が参加したことになります。
 災害が東西南北共通の課題である証左でしょう。

「仙台宣言」には災害による死亡率、被災者数、経済的な被害を抑えることなど7つの指標が盛り込まれました。ちなみに阪神大震災10周年を機に2005年、神戸で同防災会議が開かれた際にも「兵庫宣言」が採択されています。結局のところ、様々な対策が災害の頻度と激甚度の高まりに追いついていないのが実態なのでしょう。

 防災会議の開催直前、南太平洋の島国バヌアツを史上最大級のサイクロン「パム」が直撃しました。 

 首都ポートビラからは壊滅的な被害が報告されていますが、より甚大な影響を受けた被災地からは被害の報告さえ届かないのが災害です。死者数など、被害の陣容は時とともに増えることが多い。

 地図を確かめると、人口24万人のバヌアツはニューへブリディーズ諸島とよばれる83(有人は70)の島々からなりたつ島国です。わが国外務省もさっそく調査団を現地に派遣しましたが、これ以上の被害が拡大しないことを祈ります。

 そんな小さな島国のバヌアツも東日本大震災の際には被災地のマグロはえ縄漁業関係者に500万円近い義援金を寄せてくれていました。バヌアツの船主グループが音頭をとったとか。しっかりお返しをしたいものです。

 環境大臣当時、気候変動の影響による海水面上昇で国家消滅の危機にあるとされたツバルを訪問したことがあります。ツバルも今回のサイクロン「パム」の影響で約4割の人口が被害を受けたと報告されています。4割といっても、総人口9000人、バチカンの次に小さな国です。太平洋戦争時の連合軍側の滑走路が首都フナフティを縦断するように陣取る島国です。週一便の飛行機の離発着時を除き、滑走路で子供たちはサッカーに興じ、豚の群れがのんびりと歩き回っていたりと、牧歌的な島でした。

 村人たちの家屋は高床式ですが、大潮の際にはそれでも床上浸水しました。もともとサンゴ礁の島ですから、いくら堤防を築いても、海水は地中から浸みあがり、なかなか引きもしない。

 防災といっても、各国各地の事情がはなはだしく異なり、対策もテーラーメードでなければいけません。地球規模の共通対策と地域別対応の両面が必要です。問題はコストがかさむこと。事前対策費用と事後の措置費用では、前者のほうが有効であると信じましょう。そのための国民教育が不可欠です。

(自民党衆議院議員)