「WSOF‐GC」日本大会 小見川と中村が判定、渡辺久江がKOで勝利

気迫で上回った小見川(右)(荒木理臣)

 米国の総合格闘技イベント「WSOF‐GC」日本大会が7日、東京・TDCホールで開催された。
 昨秋、開催が発表された同大会。「WSOF‐GC」はかつてK-1で活躍し、日本でも人気のレイ・セフォーが代表を務める「WSOF」とは別組織ではあるが、バイスプレジデントオブオペレーションズを務めるジェイソン・リリー氏が昨年の会見時には「WSOFはアメリカ国内をメインに行われているローカルなイベントで、WSOF-GCは世界からファイターを集めて、グローバルな形で発展させていくイベント」などと説明。微妙な関係で、今年になってセフォーがメディア上で「係争中」と発言するなど日本のファンの間でも混乱が生じていたが、WSOF-GCが「両社は別会社で、独自の経営をしています。しかしながら、株式の持合等を通じて非常に密接であり、いわばファミリーの様な関係にあります」とその関係を発表。大会当日を迎えた。
 試合はオープニングファイトを含む10試合が行われ、メーンは「WSOF‐GCヘビー級タイトルマッチ」。第1試合からセミファイナルまでの8試合は日本vs世界の図式で行われた。
 結果からいうと小見川道大と中村優作が判定、女子の渡辺久江がKOで勝利を収め日本勢は3勝5敗と厳しい現実となった。
 PRIDE、UFC、戦極といった国内外のメジャー団体で活躍した小見川道大はテディ・バイオレットと対戦。2度のローブローにもひるむことなく戦い続け2‐1の判定で勝利を収めた。試合後は感極まった表情で「クソみたいな試合をしてしまい申し訳ございません。まだまだ俺はやります。命果てるまで頑張ります」と挨拶した。

渡辺(右)がブランクを感じさせない動きを見せる(荒木理臣)

 第1試合で登場した猿丸ジュンジはジェロット・ブルックスと対戦。ブルックスはプロで7戦7勝、アマでも負け知らず。米国のMMA団体のフライ級チャンピオン。内藤のび太の持つ修斗世界フライ級王座に挑戦し、敗れた猿丸にとっては再挑戦に向け大きな実績となる一戦だったが、1Rからブルックスのレスリング力の前に得意の打撃を封印される。2R終盤、グラウンド状態でパウンドとヒジを落とされ続けたところでレフェリーが試合を止めた。
 元修斗ウェルター級環太平洋王者の児山佳宏は「WSOF‐GC」中国大会で行われたライト級王座決定トーナメントに参加したが、準決勝で敗れ、雪辱を期しての日本大会となった。相手のカミール・レブコフスキーは打撃を得意とし、現在8連勝中の選手。児山は序盤からタックルからテイクダウンに成功するなど主導権を握ったが、タックルにノーモーションの右アッパーを合わされ、1R4分50秒、KO負け。これでWSOF‐GC2連敗となった。
 約5年ぶりの復帰戦となった渡辺久江は韓国のイ・イェジと対戦。イェジは現役女子高生で2人の年齢差は「19歳」。イェジは昨年、DEEP女子フライ級王者のしなしさとこと対戦し、好勝負を繰り広げたものの、渡辺はキャリアの差を見せつけ終始試合をリード。ケージに追い詰めるとイェジの右ローに右フックを合わせ2R3分、KO勝ちした。

最後までパンチを出し続けた中村(右)が辛勝(荒木理臣)

 中村優作は昨年「VTJ」に連続参戦し2連続KO勝ち中。世界への足がかりとして、今回WSOF‐GCに参戦した。対戦相手のローレンス・ギグリオが得意なグラップリングの展開を許さず、打撃戦を展開。微妙なジャッジとなったが2‐1の判定で勝利を収めた。
 日本人ファイターのトリを務めたのは郷野聡寛。一時の低迷から脱した郷野は昨年、中国の立ち技団体「英雄伝説」の-72kgアジア王者となり、年末にはシュートボクシングに参戦し、日本スーパーウェルター級王者の坂本優起を破るなど、ただいま絶好調、のはずだったのだが、前日の計量で3ポンドオーバーでクリアできないほどのバッドコンディション。
 序盤からプレッシャーをかけ続けるミロスラヴ・ストロバクに対し、郷野はサークリングでチャンスをうかがう。パワフルなテイクダウンが得意という触れ込みのストロバクの攻撃を持ち前のディフェンス力でしのぐ郷野だが、劣勢は否めない。2Rになってパンチをかいくぐってタックルにいく郷野に、ストロバクは体勢を入れ替えケージに押し込むと強烈なヒザを叩き込む。今度は右ストレートを放った郷野だったが、前傾したところで見切ったストロバクが右アッパー一閃。前のめりにばったり倒れた郷野に追撃のパウンドを落としたところでレフェリーが割って入り、2R2分42秒、KOでストロバクが勝利を収めた。
 メーンのヘビー級タイトルマッチではエヴゲニー・エロキンとブランドン・キャッシュが対戦。
 エロキンが序盤から打撃で圧倒。あわや秒殺という場面を2度しのいだキャッシュだったが、ローキックをカットされた時に足を痛め、やや戦意喪失気味。足を引きずり後退するところにエロキンが右フック一発。レフェリーが止め、1R1分47秒、TKOでエロキンが初代ヘビー級王座に就いた。

【写真①】猿丸(下)が無念のTKO負け【写真②】中島(左)は0-3の判定負け 【写真③】児山(下)は主導権を握っていたものの… 【写真④】川口(手前)は1RTKO負け 【写真⑤】郷野(左)はこの後ゆっくりと崩れ落ちた 【写真⑥】メーンはエロキン(右)が圧勝(荒木理臣)