ピケオーが山内を2RKOで3度目の防衛【1・27 Krush】

山内(右)は1R序盤、前蹴りでダウンを奪った(撮影・小黒冴夏)

ベテランの味!山内が前蹴りで先制ダウン奪うも…

「Krush.84」(1月27日、東京・後楽園ホール)のメインイベントで行われた「Krush−70kgタイトルマッチ」でジョーダン・ピケオーが山内佑太郎を2R2分20秒、KOで破り3度目の防衛を果たした。

 山内は2日前の25日に40歳になった。対するピケオーは27歳。なおかつ日本人には6戦全勝。試合前には「この試合はスパーリングだ」と言い放ったピケオー。この強敵相手に山内がどのような戦いを見せるのかに注目が集まったが、山内は試合開始早々にやってくれた。

 1R、ピケオーがプレッシャーをかけ前に出る。山内をコーナーに詰めパンチを放ったところ、コーナーを背にした山内がドンピシャのタイミングで左前蹴りをカウンターでピケオーの顔面に叩き込むと、ピケオーがダウン。一気に会場のボルテージが上がる。

 すぐに立ち上がり反撃に出るピケオーだったが、山内をコーナーに詰めても一気に攻め込むことができない。山内がまだ何か隠し持っているかもしれない。

 山内も前蹴りを出してけん制するが、ピケオーの重いパンチは徐々に山内にダメージを与えていく。足を使ってかわし、しのぐ山内だったが、ラウンド終了直前、ピケオーはパンチの連打でダウンを奪い返す。

自力で勝るピケオー(右)はパンチの連打で山内を追い込んでいく(撮影・小黒冴夏)

最後はピケオーがパンチのラッシュでKO勝ち

 2Rもコーナーを背負って戦う山内。しかし1Rのそれとは違い、今回はピケオーのプレッシャーが強く追い込まれてのもの。ピケオーはパンチの連打で山内を追い込むが、山内もカウンターでパンチを当て、前蹴りで距離を取ろうと試みるが、ピケオーは構わずパンチの連打。ここでレフェリーがスタンディングダウンを取る。再開後、バックブローを放つ山内だったが、ピケオーはしっかりガードするとまたもコーナーに詰めパンチのラッシュ。ガードを固めしのぐ山内だったが、動きが止まったところでレフェリーが割って入り、スタンディングダウン、試合を止めた。

 ピケオーは試合後のマイクで「とても強い相手だった。まさかダウンを取られるとは思わなかった」と山内を称えた。そして試合後の会見では今後について「K-1が許してくれるのなら、70kgと67.5kgのトーナメント両方に出たい。目標はK-1のチャンピオンになること」と話した。

神保(右)が中島越えを果たした(撮影・小黒冴夏)

神保が中島に3-0で判定勝ち

 セミファイナルも−70kgの戦い。

 昨年6月に行われた「第2代K-1スーパー・ウェルター級王座決定トーナメント」で優勝したチンギス・アラゾフに敗れて以来、7カ月ぶりの復帰戦となる中島弘貴と神保克哉が対戦。中島が29歳、神保が21歳。神保が会見で「オヤジ狩り」と言い放ったことから世代交代マッチの様相を呈したこの試合で勝利を収めたのは神保のほうだった。

 1Rはともに様子を伺うような静かな滑り出し。2Rに入ると中島がロー、ミドルで攻め込むが神保が徐々に手数で上回り、互角の打ち合いを展開。しかし序盤こそパンチの的確さを欠いた神保だったが、中盤以降、着実にヒット。試合の流れは完全に神保に傾いた。

 勝負の3R、前に出る中島にカウンターでパンチを合わせる神保。中島が得意な飛びヒザを逆に繰り出すなど精神的に揺さぶりをかけては、パンチの連打で中島にダメージを与えていく。

 なんとか反撃を試みる中島だったが、この日はパンチ、キックともにスピードも威力も本来のものとはほど遠く、神保に決定的なダメージを与えることができない。

 試合は判定となり、30-29、30-29、29-28の3-0で神保の勝利。三者とも1ポイント差ではあったが、神保が危なげなく勝利を収めたという印象の試合となった。

細越(右)のヒザが松下のボディーにグサリ(撮影・小黒冴夏)

細越が松下破り、次期挑戦者決定トーナメント出場へ

「Krush.86」(3月10日、東京・後楽園ホール)から開催される「Krush−65kg王座次期挑戦者決定トーナメント」への出場権をかけた−65kg fight、松下大紀vs細越貴己の一戦は、判定で細越が勝利を収め、トーナメントに駒を進めた。

 試合前からにらみ合う2人は1Rから激しく打ち合う。序盤こそ松下がパンチでペースをつかむが、細越はボディーブローで反撃。松下が嫌がってガードを下げたところにパンチを打ち込むなど中盤以降は細越が試合をリードする。

 2Rに入ると細越は左右のボディーフックにヒザ蹴りも交え徹底的なボディー攻撃。体をくの字に曲げ防戦一方の松下。細越は上下にパンチを打ち分けダウンを狙うが、立ち続ける松下。ならばと、細越が執ようなボディー攻撃を繰り出すと、松下はたまらずダウン。一方的な展開となる。

 後がない松下は3R開始早々にパンチのラッシュをかけるが、細越がしのぐとボディーへのヒザ。またも動きの止まった松下に、2R同様、細越の厳しいボディー攻撃が続く。体をくの字に曲げ、ダウンをこらえる松下に頭を下げすぎの注意。続く細越のラッシュにレフェリーはスタンディングダウンを宣告。なんとか試合を続ける松下だったが、立っているのがやっと。判定となったが、30-26、30-26、29-26と細越が圧倒し、勝利を収めた。

最後は443が右フック一閃(撮影・小黒冴夏)

443が2ダウン奪い1RKO勝ち

 昨年、2つ目の階級となる−45kg王座が新設された女子。その王座決定トーナメントに出場した443が2度目のkrush参戦を果たした。この日対戦するC-ZUKAはNJKFミネルヴァ・アトム級初代王者。身長で12センチ勝るC-ZUKAに対し、443は懐に入るとパンチ的確に当てていく。右ストレートがクリーンヒットしC-ZUKAがふらつくとレフェリーはスタンディングダウンの判定。反撃を試みるC-ZUKAだったが、ダメージが深く動きが止まったところに443は今度は右フック一閃。C-ZUKAがばったりとダウンしたのを見てレフェリーが試合をストップ。1R2分8秒、443がKO勝ちを収めた。