プロレス転向の鈴木悟がデビュー戦「谷津選手のようにはならない。なってたまるか」

強烈なミドルキックを叩き込む

タッグマッチの試合形式で公開練習
 ボクシングとシュートボクシング(SB)の元日本王者で、8月に42歳にしてプロレス参戦を発表した鈴木悟が10月17日、川崎市多摩区の「プロレスリングHEAT-UP」道場で公開練習を行った。

 鈴木はプロレスリングHEAT-UP「10・31 とどろきアリーナ大会」のタッグマッチ「鈴木秀樹、渡辺宏志 vs 鈴木悟、飯塚優」でデビューを果たす。

 この日はパートナーの飯塚と組み、兼平大介、近藤“ド根性”洋史組とタッグマッチでの5分のエキシビションマッチを行った。

 攻撃では得意の打撃の中にボディースラムといった投げ技も交え、飯塚とのサンドイッチキックを見せるなど非凡な動きを見せる。ディフェンスではボクシングやSBではなかった胸元へのチョップに悶絶。ブレーンバスターで投げられる場面もあったが受け身もしっかり身につけており、スムーズな動きを見せた。

ボディースラムも見せた

パートナーの飯塚は「十分戦える。もしかしたら鈴木秀樹選手から一本取れる」
 練習後の会見では「あと2週間。まだまだ至らないところもありますが、今できる時点での最高のパフォーマンスを見せたい」と話した。

 鈴木は現在、こちらで週2~3日合同練習に参加し実戦形式のトレーニングを積む一方でジムで体作りに励む日々を送っている。パートナーの飯塚は「自分の武器を持っていて、すごい高い所からスタートしているので、十分戦えると思う。もしかしたら本当に鈴木秀樹選手から一本取れるような試合になると思います」とこの3~4カ月での鈴木の成長度合いを評価。そして今後の課題として「クラシックなプロレスのレスリングがまだちょっとできていないところがあるので、そこを伸ばしていけば完璧なレスラーになれると思う」などと話した。

必殺技の「SSC」を見舞う鈴木

必殺技「Suzuki Satoru Cyclone」も完成
 鈴木はボクシングでは第48代、第50代日本ミドル級、SBでは第4代日本スーパーウェルター級王者に君臨。当時に比べ、見るからがっしりした体つきになった鈴木だが「鈴木秀樹選手はでかいじゃないですか。会見で見て負けていられないなと思って、今は90キロくらいに増やしています。これくらいの身長があってこの体重だとレスラーとしてはまだ華奢に見えちゃうので、100キロを目指しています」と鈴木秀樹にパワー負けしない肉体への改造も急ピッチで進んでいるよう。

 またデビュー戦に向け用意したという必殺技「Suzuki Satoru Cyclone(SSC)」も完成。これはロープやコーナーにつめた相手のボディーにパンチを連発で打ち込む技。このSSCにジャンピングニーパット、ミドルキックは頑強な鈴木秀樹にも十分通用しそうな威力を見せていた。

練習後、汗だくで会見

「名前があるからゲストで出ているというようには思われたくない」
 鈴木はプロレスラーとしての目標として「プロレスの難しさ、奥深さを感じている。日々練習して上手くなっているのは感じているので、いろいろなことを吸収してどんどん上手くなりたい。それが直近の目標。 “強さ”というものももちろんだが、それはその先にあると思う。そして行く行くはしっかりしたプロレスをする中で、お客さんを盛り上げていけるようなレスラーになっていきたい。(今回の試合では)“また次に出て”と言われるようになりたい。バックボーンがあって、名前があるからゲストで出ているというようには思われたくないんです。ちゃんとプロレスの実力をつけて、プロレスができるから出ているという立場になりたい」と話した。

 プロレスにおいては他の競技から転向してのデビュー戦では過去さまざまなドラマが生まれている。例えば“日本アマレス界重量級最強の男”という触れ込みでプロレス入りした谷津嘉章は、時の外国人エース、スタン・ハンセンとアブドーラ・ザ・ブッチャーにボロボロにされ、いまだに語り草になっているほど。

10・31大会でタッグを組む鈴木悟(左)と飯塚優

入場曲は小柳ゆきの「愛情」
 鈴木自身はこの試合は見ていないとしながらも「そうはさせない。谷津選手のようにはならないです。なってたまるか、という気持ちはあります。若いころならそういうものも甘んじて受けて、その先の成長につなげるということもあるかもしれないが、もうおっさんなんで、そんな先のことは考えていない。そんなものは許さないよという頑固さを出していきたい」と話した。

「見るのも勉強」ということで、これまで多くの団体の大会に足を運んで観戦も重ねているという鈴木は18日には新木場1st RINGで行われる「ベストボディ・ジャパン プロレス」を観戦の予定。

 またデビュー戦はボクシング、SBとともに歩んだ小柳ゆきの「愛情」で入場するという。