佐藤健「山田孝之ほどハードに生きている人はいない」。山下監督は故・首くくり栲象に敬服

 映画『ハード・コア』初日舞台挨拶が23日、都内にて行われ、俳優の山田孝之、佐藤健、荒川良々、山下敦弘監督が登壇した。

 同作は作・狩撫麻礼、画・いましろたかしの伝説的コミックの実写化。現代社会の片隅で生きる純粋すぎるアウトローたちを描く。

 主人公・右近を演じた山田は「この作品は山下監督とだいぶ前に作ろうと話をして、ちょっとずつ進み、やっと公開を迎えたので感慨深いですね」。山下監督は「山田くん、この映画を一緒に作ってくれてありがとうございました。こういう世界の隅っこを描いたような映画で、こんな景色を見ることができるとは思わなかった」と映画化の話が持ち上がってから8年近くを経て、公開を迎えたことに感無量の様子。山田も「僕がこの原作を知ったときは絶版していたので、そういう漫画を映画化するって、普通は手を出さないところですけど。すてきな作品なので、こうして映画にすることで1人でも多くの人に知ってもらえたのは本当に良かったと思います」と思いを語った。

 そんな山田と兄弟役を演じた佐藤は「全然似てないと思いきや、やっぱり兄弟だなと思うような2人。それほど似せようと意識してはいなかったんですが出来上がった映画を見たときに、あれ、似てるなと思ってうれしかったです」と笑顔を見せた。兄役の山田について「表情から(思っていることを)読み取れたことはない」と言う佐藤に、ふと山田が「さっき横から見ていたんだけどカッコいいなあ、と思って。最近、髪が伸びて、上にあげているじゃないですか。下ろしているところしか見てなかったから。男前だなぁと」。

 この日は、タイトルにちなみ“ハード”にまつわる質問が登壇者に投げかけられた。どういう生き方がハードだと思うかという質問に、佐藤は「隣で山田孝之くんを見ていたら自分がハードな生き方を語れるとは口が裂けても言えないなと思います。この人くらいハードに生きている人はいないんじゃないかと。同じ職業だから分かるんですが、役に入り込む深度が、ちょっと次元が違う。本番中に気を失ったりしてるし、台本に“慟哭する”と書いてあって、本当に慟哭したせいで救急車を呼ばれたりしてるんですよ。そこまで僕は行けてない」と驚きのエピソードを明かし感服すると、山田は「行かなくていい」と苦笑。また勤労感謝の日にちなみ、ハードだと思う職業は、との質問に山下監督は「(今年、病没した)首くくり栲象さんは、自宅の庭でずっと首くくりのパフォーマンスをしていた人で、僕は栲象さんのことはすごく尊敬しています」と、異才のパフォーマーを悼んだ。

 ハードな撮影を乗り越えた面々だが一番ハードだった人は、との質問には全員が“ロボオ”を指名。佐藤は「真夏の炎天下で、ロボットのような着ぐるみを着て映画の撮影をする職業があるとしたら、とてもハードだなと思います」と、ロボオを演じている、ロックバンド・オシリペンペンズの石井モタコをねぎらっていた。

 同作は全国公開中。