【インタビュー】門脇麦「駒をやっている時は明るくいられる」大河ドラマ『麒麟がくる』でヒロイン



 明智光秀はどんな男だったのかーー。大河ドラマ『麒麟(きりん)がくる』(NHK総合など、19日スタート)が、その疑問に、ひとつの見方を提案してくれそうだ。これまで、織田信長や本能寺の変の周辺でのことしか知られていなかった明智光秀が、どう育ち、どう考え、どう生きたから、そうなったのかを、長谷川博己が約1年をかけて、ていねいに描く。
 
 ヒロインの門脇麦が演じるのはオリジナルキャラクターの駒。光秀の物語を綴っていくうえで重要な役割を担う。

「新しい光秀像を描きたいということで、動かしやすいキャラクターなのだと思います。光秀の側面を掘っていけるようなキャラクターを演じられるのはすごくうれしいこと。光秀の物語という意味でも、大河ドラマの構成という面でも、何か新しさを吹き込めればと思いました」


「力を合わせて頑張りましょう」


 
 駒は堺正章演じる医者・望月東庵の助手。

「幼い頃に両親を亡くしている戦争孤児の女の子。東庵先生とはおうちも寝室も一緒で、尊敬している師匠であり、心から頼れる父親のような存在でもあり。ただ東庵先生は賭け事が好きですぐお金を使ってしまうので……ちゃんと監視もしていなければいけないんです。だからなんか私、いつも東庵先生に対してぷりぷりしてるんですよ、またこんなことやって!って(笑)。なんだか不思議な関係性ですよね。だから毎回、堺さんとのシーンは楽しいです」

 堺と岡村隆史とのシーンが多い。岡村は三河出身の農民の菊丸という役どころだ。岡村については「お芝居されているときの感覚が独特で、ご一緒していて面白いです。音とか間に対してすごく敏感で、ものすごくアイデアを持たれている」という。

「堺さん、岡村さん、私、3人はオリジナルのキャラクターなんです。堺さんが言うんですよ、“我々はオリジナルキャラクターなので、ちゃんとしていないと居なくなってしまうので、力を合わせて頑張りましょう”って(笑)」


「とにかく明るく」



 大河ドラマのなかでオリジナルキャラクターを演じるのは難しそうだ。歴史上の人物ならば資料にあたれるが、それがない。

「とにかく明るくと言われています。戦争孤児という背景もあるけれど、そういう過去の話をする時にも明るく。そのなかから哀しみや彼女が背負ってきているものが見えたらいいなとお話をいただきました。具体的に何かをイメージすることはないですが、とにかく明るくと心がけています」
 
 衣装にも助けられる。明るい色の着物に袖を通せば、明るく、のスイッチが入る。

「気丈に振舞って演じていると日常も明るくなります」と門脇。「撮影が長くなったりすると疲れたりもするんですけど、駒をやっている時はずっと明るくいられる。一本、線を高く保っていられる感じがします」。

 12月から予告映像が公開されている。そのなかで駒は本作のタイトルである「麒麟がくる」というセリフを祈るように、また麒麟の出現を予言するかのようにつぶやく。第1話のワンシーンだ。「セリフで題名を言うってあまりないですよね。すごく素敵なシーンになっていると思います」。

「駒は麒麟の話だったり少し不思議な話をするシーンが結構あるんです。長谷川さんとも、シャーマンというかそういう人に見える時があるよねって。それが面白く映ればいいなと思っています。なんかふわっと出てくるみたいな」

 その長谷川が演じる光秀の傍で演じている。「すごく素敵です」と門脇。

「(織田)信長も光秀も今まで描かれてきた人物像と違います。今は、なぜ光秀は最後にそういう人物になったのかというところを描いている途中で、誰も見たことがない、でも見たかった光秀を見ている気がしています。これからいろいろな人が出てきて、いろいろな人に影響されて、光秀はその道を歩いていくと思うんですが、その様をずっと隣りで見ていられる事がうれしいです」


十兵衛(のちの光秀)への届かぬ恋



 駒は光秀の妹分ながら、身分の違う光秀に対してひそかに思いも寄せる。

「切ないシーンが多いんですよ、届かぬ恋なので。でもこの恋心が十兵衛(のちの光秀)を支えていきたいという気持ちになって、パートナーとかそういう関係性ではなく、医療の方向で支えていく関係性に変わっていくのかなという気がしています。片思いはすごく切ないので、早くそういう関係性になりたいです(笑)」

 初回放送は19日。

「長谷川さんの殺陣がすごく美しいんです。戦国時代の見どころのひとつは殺陣だと思います、自分はそこには一切関わらないのですが(笑)」

 初回から見ごたえがありそう。知らなかった光秀、豪華なキャスト陣、重厚な物語。そして、最先端の放送技術を駆使した映像。『麒麟がくる』を見る理由は揃った。あとは、放送時間が来るのを待つだけだ。  

(TOKYO HEADLINE・酒井紫野)

『麒麟がくる』1月19日スタート!初回は75分の拡大放送

斎藤道三に見いだされ、たぐいまれなる知識と勇猛果敢な性格で戦場を駆け抜けた明智光秀。織田信長の盟友となり、多くの群雄と戦うようになった。謎めいた光秀の前半生にも光をあて、光秀の生涯を中心に戦国時代の英傑たちの運命の行く末を描く。タイトルにある麒麟は、王が仁のある政治を行う時に必ず現れるという聖獣。麒麟は一体、いつ、誰のもとに「くる」のか。毎週日曜【総合】午後8時、【BSプレミアム】午後6時(初回のみ午後5時30分)、【BS4K】午前9時。再放送もある。

□大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」:https://www.nhk.or.jp/kirin/
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