「共感度ゼロ要素が多すぎるのに面白い」と話題の映画『本気のしるし』〈劇場版〉!“迷惑すぎるヒロイン”役・土村芳を直撃

撮影・蔦野裕 ヘアメイク:榎戸恵美 スタイリスト:百瀬 友花
 そんな浮世に振り回され、どん底へと転落していく会社員・辻一路を演じるのは『レディ・プレイヤー1』『蜜蜂と遠雷』の森崎ウィン。

「森崎さんは、初めてお会いしたときから周囲に壁を感じさせることなく、主演として撮影現場で細かいところまで気を配りながら、場を盛り上げてくださっていました。私に対しても普段からよく声をかけてくださって、芝居をしていてやりにくい部分はないか聞いてくださって、とても相談しやすかったです。カメラが回ると、本当に辻さんそのものになって、セリフだけでなく全身から感情が伝わってくるような表現力が本当にすごかったです」

 そんな森崎が演じた辻も、職場では優秀な会社員でありながら、2人の女性と恋人のような関係を持ちつつ、どちらにも本気になれずあいまいにしている男。そんな辻と秘密の社内恋愛をしている2人、先輩の細川尚子(石橋けい)と後輩の藤谷美奈子(福永朱梨)も、うっぷんを溜めている要注意人物。さらには浮世を探しに来る男・葉山正(宇野祥平)、有名企業家・峰内大介(忍成修吾)と、いずれもワケありな人物ばかり。

「一見、共感できない人物ばかりなのですが…(笑)。でもどの人物も皆、不思議な吸引力を持っているんです。私としては、共感とは少し違うかもしれませんが、作品を見ていて胸が締め付けられたのが細川先輩です。余裕を感じさせる裏で抑圧された感情を持つとても危うい細川先輩に感情が揺さぶられました。監督や森崎さんと一緒に作品を見ながらDVDのコメンタリー収録をしたのですが、細川先輩が部屋を出ていく際に、最後まであいまいだった辻に放ったセリフを聞いたときは“よく言った!”みたいな、スカッとした気持ちになりました(笑)。あと、正役の宇野さんとは、お互いの役の弁護をし合っていました。私が“浮世は強引さに流されてしまっただけだと思います”と言えば、宇野さんは“正は正なりに浮世を愛しているんだよ”と、キャラクターを弁護し合ったりして、面白かったです(笑)」