[インタビュー]岩田剛典 想像を超える展開が待ち受ける衝撃の話題作『名も無き世界のエンドロール』

新田真剣佑はアカデミー賞新人賞をともに受賞した縁が

 そんなキダとともに、10年の歳月をかけ、ある計画を進めていくマコトを演じるのが、岩田とは初共演となる新田真剣佑。

「カラオケボックスのシーンが最初で、そこで“初めまして”という状況でした。でも実は、まっけん(新田)とは2017年に日本アカデミー賞でお互い新人賞を頂いたときに会っているんです。あのころのまっけんは、まだ少年ぽさが残っていて。活発そうで、ビジュアルもさわやかで、フレッシュだなという印象でした。すごく元気な感じ。今もそういうところは変わってないかな(笑)。実際は8歳ほど離れてるんですが歳の近い幼なじみの役なので、現場でも敬語は使わなくていいから、と伝えていました。地方ロケも多かったので、一緒によくご飯を食べに行ったりして、とても仲良くなることができたので楽しかったです」

 初共演でありながら、別々の世界に生きながらも表裏一体の絆で目的を果たそうとするキダとマコトの特別なバディ感を築き上げた。

「この物語の仕掛けを楽しんでもらうためには、前フリがどれだけ効いているかが重要なので、前フリの部分、3人で過ごしていた学生時代のシーンなどで、彼らの仲の良さがにじみ出る様子をしっかり演じないといけないな、と思っていました。ただ、まっけんとは、芝居でこうしたら…みたいな話はほとんどしませんでした。2人とも、見えているゴールが一緒だったからじゃないかと思います。自然といいバディ感を築くことができて、かけがえのない親友同士の姿を表現できていたと思います。完成した作品を見ていて自分でも切ない気持ちになりました」

 3人の世界に変化が訪れたとき、果たしてキダは…。

「これは“前に進めない者”の物語であり、そういう人たちの気持ちを代弁できるのがキダの役割でもあると思います。かけがえのないものを見失ったり、いろんなことがあったとしても生きていくしかないという現実の厳しさを感じている人は多いと思うし、それはこの映画で語られていることでもあると思います。手遅れにならないうちに相手に思いを素直に伝えることや手を差し伸べることの大切さだったり、自分にとっては大したことがなくてもある人にとっては人生を変えてしまうものになりうるということだったり、いろいろと深いメッセージが込められた作品になっていると思います」

 そして待ち受ける、衝撃の真実。キダとマコトの“計画”の真の目的が明らかになったとき、切なさと感動に心がふるえるはず。

「序盤で“種明かし”になってしまわないよう、どちらにも受け取られる表情を意識するなど、お客さんの目線を常に意識しながら“このシーンはこういう見せ方でいいのか”と、監督と一緒に考えながら演じていました。もしかしたら、そこまで考えなくていいのかもしれないんですけど、僕はそういうことが好きなタイプで(笑)。普段から、基本的に監督の目的をできる限り汲み取りたいと思って現場に臨んでいます。やっぱりお客さんにどう届くかが一番大事なので、作品がより良くなればという一心でした」