バックトゥザフューチャーから35年!ここまで来た!『パーム・スプリングス』は、最先端の時間移動映画だ!【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。


 舞台「白豚貴族ですが前世の記憶が生えたのでひよこな弟育てます」が絶賛稽古中です。


 新型コロナ禍の昨今、多くの舞台ではお祝花をお受けできなくなったり、公演後の面会ができなくなったりしています。今回の現場では「差し入れサービス」ということで、」あらかじめ稽古場への差し入れをオンラインストアでいただいて、お礼札を公演期間中に劇場に掲載させていただくという形を取らせていただきました。


 いろいろと工夫できるところがあるのだなと思いました。プロデューサーさんはじめスタッフの方々もいろいろ工夫されている中、こちらも頑張らねばと思いながら稽古しております。


 では、今週も始めましょうか。



『パーム・スプリングス』プレシディオ配給 4月9日(金)より新宿ピカデリーほかにて公開 © 2020 PS FILM PRODUCTION,LLC ALL RIGHTS RESERVED.

 ゴールデングローブ賞のコメディ部門ノミネートや、サンダンス映画祭史上最高額の金額で落札など、国際映画祭界隈を賑わせているこの、新時代のタイムループコメディ映画4月には日本での公開も決まっている「パーム・スプリングス」を、一足先に観させて頂きました。


 砂漠のど真ん中にあるリゾート地で、とある1日を繰り返す話なのですが


 まずはここでおさらいです。タイムループとタイムトラベルって何が違うの!?タイムスリップとかタイムリープとかタイムパラドックスとかパラレルワールドとか!マニアの間では、カバとゾウとクジラぐらい違うのに、一般的には鹿とカモシカとトナカイぐらいの違いにしか受け取って貰えていないこのジャンル。まず、パラレルワールドは「時間」じゃなくて「世界線」っつーワケのわからないものを移動する(言及すると長くなる)ので、除外。一般的にトラベルの場合は「機械や乗り物などの道具を使用」、~リープは「超能力で移動」、~スリップは「偶発的な時間移動」といった感じで使い分けられています(間違ってたらごめんなさい、偉い人)


 じゃあ、今作のタイムループは、というと


「何度も同じ時間を繰り返す」ということが分類上の最重要項目。


 バックトゥザフューチャーの頃には「せいぜい3回」で、追いかけるのが精一杯だった人類が、「何度も」、作中では明言されていないけど100万回を超えかねない時間移動に、理解が追いつくようになったからこそ生まれた「新しく正しい時間移動映画」でした。


 前半の「アクの強いシーンの連続」は、これをしておかないと後半テンポが上がった時に「どの時間に戻ったのか」の理解が追いつかない。後半の「ループで起きる弊害との戦い方」が、人間ドラマと物理学と両面できちんと示されるので、観終わった後にギモンが残らない。


 理屈ばっかりだと矛盾が気になるし、ドラマばかりでも理屈が気になるのバランスを非常に上手く解決してました。


 よく見ると誰かがフラグを立てたら、全員同時に移動してるのか?とか、気になるところも探せなくはないんですが、その辺は「キン肉マン理論」ぐらいの気持ちで楽しむことをおススメします。


 いやあ、時間移動で少年の心を取り戻しつつ、その中のドラマは恋愛から家族関係、疑似不老不死の苦悩まで楽しめる、味のなくならないガムの様な大傑作でした。



© 2020 PS FILM PRODUCTION,LLC ALL RIGHTS RESERVED.

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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23
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