大河ドラマ『青天を衝け』は明治編へ 吉沢亮「本領発揮の渋沢栄一を見て!」

 大河ドラマ『青天を衝け』がおもしろい。日本の近代資本主義の父とされる渋沢栄一を吉沢亮が演じる物語は明治編へ。栄一の本領が発揮される時代に突入する。直情的で真っ直ぐな青年だった栄一は、いろいろな意味で“大人”になっていくと吉沢は語る。

 

 日本が生まれ変わろうとしている。幕府は倒れ、最後の将軍となった徳川慶喜は駿府(静岡)にて謹慎。親しみのある登場人物たちのなかには志半ばで世を去った者も少なくなく、その代わりにというわけではないが、新しい時代を紡いでいく強烈な個性を持つ人物たちが登場している。

「明治になり、江戸が東京という名前に変わり、さらに廃藩置県が行われるなど、本当に多くの事が変わっていきます」と、吉沢。「それこそ銀行だったり、今の時代を生きるうえでなじみのあるいろんな言葉が飛び交うようになり、普段何気なく使っているものがこういうふうに生まれたのかという楽しみもたくさん出てきます。栄一的にはここからが本領発揮。みなさんが知っている渋沢栄一の功績が積みあげられていくところです」と続ける。

 撮影がスタートしてから1年超。吉沢が渋沢栄一、篤太夫として生きる時間も長くなった。

「1カ月ほどで映画を1本撮るのとは全然違っていて、僕の体の中のどこかに栄一がしみついています。ずっと栄一として居ますから自分の意識とは別のところで、栄一が出てくるんです。僕は演じている瞬間とそうではない瞬間、オンとオフをきっちりできるほうだと思っていましたが、NHKに入ってセットにきて、そこにいるだけで自然と栄一になれる。そんな感覚は大河ならではだと思っています。(栄一を演じるまでは)こういうことはありませんでしたから、おもしろい経験だなと思っています」

 放送スタート前に行われたインタビューでは、主人公の人生をジェットコースターのようだと話した。ここまで、ドラマではまさにその通りの展開が描かれてきた。豪農とはいえ自ら畑を耕して藍を生産し、手を青くして藍染に使う藍玉を製造。仲間と切磋琢磨しながら成長し江戸に出た影響から攘夷を掲げ、横浜を焼き討ちする計画を企てたものの頓挫し、今度は追われる身になる。そんな攘夷の志士がひょんな縁から京都で一橋家に仕官することになり、気づけばかつての敵方ともいえる幕府の一団としてパリ万博にも参加した。

 栄一の人生をジェットコースターのようにしたのは、いくつもの出会いと別れだ。中でも、何者でもない栄一を「おかしれぇヤツ」と一橋家に取り立てて、篤太夫の名を与えた平岡円四郎は最重要人物。堤真一が演じた。

「円四郎は栄一にとって特別な人。尊敬もしていて、栄一が理想としているお武家様だったのだろうと思います。彼が暗殺されたあとは、栄一がその魂を受け継いだというか。演じるうえでも、円四郎が亡くなってから20回ぐらいまでは、そのしゃべり方が若干うつっているんです。江戸っ子口調というのかな、強めな口調を意識的に取り入れていました」

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