安倍晴明はドラえもん!? 三宅健が『陰陽師 生成り姫』で安倍晴明役に挑戦

木場勝己

脚本の5分の4は原作通り。最後の5分の1はマキノ氏のオリジナル

 ベテランの木場は夢枕のエッセイ集を読み、その中で生前世話になっていたという立川談志のことが書かれていた部分で号泣していた時に出演オファーの電話が来たというエピソードを明かし「運命的だと感じ、お断りすることはできないと思いました」と出演に至った思いを語った。

 脚本を担当したマキノノゾミ氏は「いまだに続く長いシリーズからいろいろと作品を探したが、この『生成り姫』が演劇にするには一番しっくりくる、人間を見せるという意味では一番ふさわしいのではないかということになった。だいたい脚本の5分の4くらいは原作通りの展開。最後の5分の1が私のオリジナルになる。最後にオリジナルの生成り姫とは少し違う展開をして物語が着地するという工夫を凝らしている。これは舞台で上演するために必要なことを話し合いながら考えた結果。舞台ならではの生成り姫がお見せできると思う。ただ夢枕先生の作品世界は大変面白いし、素晴らしいし、深い。その世界観だけは壊さないつもりで執筆した」と語るように今回の作品は人間ドラマを重視した作品であるよう。

 また演出の鈴木裕美氏も「もしかしたらLEDなどを使った派手な演出の作品を思い浮かべたり、それを期待する人もいるかもしれないが、今回は人間の情といったところにフォーカスした『陰陽師』にしたいと思っている。いろいろな表現をすべていわゆる“人力”でやっていきたいと思っている。音楽に関しても“古楽、アーリーミュージックというヨーロッパの中世以前の音楽の生演奏に歌唱が入るアコースティックな形でやっていこうと思う”ということを三宅さんに説明したら、三宅さんが“つまりアンプラグドということですね”とおっしゃった。すごくいいなと思ってそこからその言葉を使っている。非常にアンプラグドな演出方法、表現方法、人力でお見せする陰陽師にしていきたいと思っている」などと続いた。