観戦者にも対戦相手にも共犯者にもなれる至極のエンタメシリーズ最新作『コンフィデンスマンJP 英雄編』の仕掛けに迫る!【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。
 ニュースがコロナとオリンピックばかりで、なんか毎日同じものを見ている気がします。
 いや、真剣に見ろ、俺。
 とりあえず映画館が開いていてくれてホッとする毎日です。
 最近は映画絡みでなんか面白いことできないかな、と考えてます。乞うご期待?

 では今週も始めましょう。

黒田勇樹

「詐欺師たちが、悪者をハメて大儲けする」
 まぁ、もう、言ってしまえば、ずっと同じことをやり続けている「ルパンIII世」か「水戸黄門」の様に“フォーマット”がしっかりしているコンフィデンスマンシリーズ。
 現在、最新作の英雄編が公開されているのですが、

 何が凄いって「まだ、やれるの!?」

“フォーマットがある”とは言ったものの、連続ドラマ、SPドラマ、スピンオフ、映画3本と“観客をだまし続ける”なんて、制作側の目線で見ると並大抵のことではない離れ業なんです。
 だって、手の内がバレている相手をだまし続けるのって、単純に考えて、スゲー難しいじゃないですか。
 更に、この作品は「前半で問題を出して、後半で種明かしをする」構成の中で“問題”だけを見てもストーリーになっているし“種明かし”にもドラマがある。
 大体の流れが「描く部分」と「描かない部分」を“巧妙”に織り交ぜる「叙述トリック」ですよね。

 詐欺師と悪者の対決をプロレスの様に観戦することもできるし、シリーズのファンであればメタ的な視点で「今度は騙されないぞ!」と、“制作側VS観客”としても観れる。

 更に、全ての仕掛けを知った2回目の鑑賞では「主人公たちの共犯者になれる」

 最高に楽しいエンタメじゃないですか!

 推理モノって基本的に「犯人が変わるからシリーズが続く」んですよ。犯人の“人物像”か”トリック”を変えていけば、主人公が、同じ手段で捜査しても必ず別の物語になっていく。
 なのに、このシリーズは「犯人が“主人公側”(もしくは制作側)」で、「捜査官は観客」なんですよね。
 僕ら観客は、同じ手口の犯人を、毎度捕り逃がす銭形警部の様な気分にされているワケです。
 詐欺師を主人公にしたことで、主演陣が毎回“別のキャラクター”を演じる場面を作れるのも、観客を飽きさせない、フォーマットの強みですよね。

 最新作は、過去作のキャラクターたちやエピソードをふんだんに交えつつ、きちんと前述したような構成をやってのけていて「ここから観始めて過去作を遡っても」「これまで追いかけ続けていた人でも」全員、楽しめる内容。
“お約束”と“ファンサービス”を入れながら“ミステリー”もやるなんて、もはや達人技。

 シリーズの完結を匂わせるプロモーションや内容ですが、さてさて、このチームのことですから「終わる終わる詐欺」に、思いっきりだまされることを期待しながら、次回作を待っていたいと思います。

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