北京パラリンピック ウクライナ選手が伝えていた平和の姿【アフロスポーツ プロの瞬撮】

 スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。

試合後にチームメイトと抱き合うルキヤネンコ選手(2022年 北京パラリンピック)撮影/文章:長田洋平
鬼気迫る表情で追走するシシュコバ選手(2022年 北京パラリンピック)
口を使ってストックを固定するブイ選手(2022年 北京パラリンピック)
カリーナ・エドリンガー選手の盲導犬と笑顔で写るシシュコバ選手(2022年 北京パラリンピック)
先月の投稿に引き続き、北京パラリンピックのウクライナ選手の写真を掲載したい。
1枚ずつ説明していきたいと思う。
 
1枚目の写真はバイアスロン・視覚障害・男子スプリントで優勝したビタリー・ルキヤネンコ選手。
レース後に見せた複雑な表情は今回のウクライナチームを象徴するようなものだった。仲間と健闘を称え合いながらも、感情をどう表現したらいいか分からない。僕はそのように受け取った。ルキヤネンコ選手は北京では2つの金メダルを獲得し、ウクライナ選手の強さを表現していた。
 
2枚目の写真は、バイアスロン・クロスカントリーで計3つの金メダルを獲得した視覚障害・女子のオクサナ・シシュコバ選手。
前の選手をどんどん追い抜いていく滑りはまさに鬼気迫る姿だった。大会を通じて何度も突き上げた拳には、特別な力を感じた。
 
3枚目は、クロスカントリーで活躍したイリーナ・ブイ選手。
腕に障害がある選手であるが、全身を大きく使ったフォームがとてもダイナミックで表情も豊かなとてもフォトジェニックな女性だ。表彰台の真ん中で国家を聞いている時に流した涙が印象的だった。
 
4枚目は表彰式の写真だ。オーストラリアのカリーナ・エドリンガー選手が優勝した際に表彰式に盲導犬を連れて登場した。
隣にいたウクライナのシシュコバ選手は盲導犬の姿を見て微笑んでいた。優勝しても笑顔を見せることがあまりなかったシシュコバ選手のこの時の表情を見て、平和とはこういうことだと感じた。
 
自分の感情のままに喜べることは当たり前じゃない。全ては平和の礎の下に成立している。
ウクライナの選手達は大切なことをその身をもって伝えていた。
 
【カメラマンプロフィル】
撮影:長田洋平
1986年、東京出身。かに座。
早稲田大学教育学部卒業後、アフロ入社。
2012年ロンドンパラリンピック以降、国内外のスポーツ報道の現場を駆け回っている。
最近では平昌オリンピック、ロシアW杯を取材。
今年の目標は英語習得とボルダリング5級。
 
★インスタグラム★
アフロスポーツ

1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している。

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