SNS発のイラスト短歌本『パラレル百景』は「僕の中の“エモい”部分」歌人・笹公人さん

 蛍光オレンジとシルバーに彩られ、宇宙空間に浮かぶ女の子の表紙カバーに、星座のように配置されたタイトル。まるで近未来を舞台にしたSF小説のようだが、『パラレル百景』(トゥーヴァージンズ)は短歌とイラストの連作歌集である。歌人の笹公人さんとイラストレーターの北村みなみさんがコラボレーションしたツイッター連載の書籍化。この本が誕生した経緯やじわりとブームが広がる短歌の魅力を笹公人さんに聞いた。

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『パラレル百景』(トゥーヴァージンズ)で短歌を担当した歌人の笹公人さん(撮影:蔦野裕)

「自分は音楽の道に行くと思ってた」からの歌人デビュー

 短歌を始めたきっかけを「実は、1998年にテクノポップバンドでCDデビューしてるんです」という笹さん。

「自分では音楽の道に行くと思ってたんですけど、全然売れなかった(笑)。同じ頃に友人から”どこかに送ったほうがいいんじゃないの”と勧められ、寺山修司に影響を受けて高校生の時に書きためた短歌を雑誌に投稿すると、いつも特選とかを取っちゃうわけです。バンドは売れないし、短歌しか褒められないから、“じゃあ、短歌をやってみようかな”という感じだったんですよ」 

 その頃は結社の存在すら知らなかったといい「どれだけ雑誌に投稿しても作品依頼がこないので、おかしいなと思ってよく見ると名前の下に(心の花)とか(未来)と書いてある。どうやらカッコの中の文字がないと載せてもらえないらしいことに気付いて、そこで初めて結社に見学に行きました」。

 最初に見学した「未来」にそのまま所属して岡井隆氏に師事し、後に手売りしていたコピー本がネットで話題となり、2003年に1000部限定の第一歌集『念力家族』でデビュー。同書は書籍『トンデモ本の世界T』や各界の著名人から絶賛され、翌年には新装版として改めて発売している。

「そうこうしているうちに雑誌連載が増え、ラジオ番組をやらせてもらい、『爆笑問題のススメ』でシモネタンカというコーナーを持ち……。現在は未来の選者になり、『念力家族』がNHK Eテレで連続ドラマにもなって、ようやく短歌とそれ以外の活動が一致するようになってきました」

『パラレル百景』誕生の立役者は、2017年に刊行したエッセイ『ハナモゲラ和歌の誘惑』をデザインした近田火日輝さん。この本のデザインも担当している。

「近田さんが、僕の短歌と北村みなみさんのイラストを合わせたら面白いんじゃないかと”ツイッターで何かやりませんか”と紹介してくれて。北村さんの絵を見てすごくいいなと思ったし、北村さんも快諾してくれたので、その年の10月から連載をスタートしたんです。当初は出版の予定もなく、ただただ隔週でツイッターにアップするだけだったのですが、トゥーヴァージンズの編集者と出会って5年越しで本になりました」

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