今より後の世を如何にせむ…「未来に誇れる日本」へ!【長島昭久のリアリズム】

 お蔭さまで安倍晋三元総理の国葬儀も無事終わり、第210国会(臨時国会)が召集されました。国葬儀では、菅義偉前総理による友人代表弔辞、とりわけ暗殺によって先立たれた盟友伊藤博文を偲んで山縣有朋が詠んだ歌「語り合いて尽くしし人は先立ちぬ 今より後の世を如何にせむ」が多くの国民の心を打ちました。臨時国会では、安倍総理の好敵手だった野田佳彦元総理による追悼演説受諾が、分断深まる国会から暗く重たい空気を一掃しました。

 私は、今国会、東日本大震災復興特別委員会委員長を拝命しました。これで3国会連続で委員長(安全保障委員会、拉致問題特別委員会)を務めることとなり、その重責に身の引き締まる思いです。とくに、これまで「こどもの未来保障」に取り組んできた立場から、東日本大震災で親御さんを亡くし幾多の苦難に直面する震災遺児の皆さんに対する支援に力を尽くして参りたいと決意を新たにしております。

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緊急に取り組む「こども政策」2大懸案

 こども政策では、来年度予算編成につながる今国会では、二つの緊急課題に取り組みます。第一は、こどもの貧困の大きな要因となっている離婚に係る「養育費」問題です。養育費を受け取る母子家庭は24.3%にとどまっており、諸外国では、行政による立て替え払いや強制徴収の制度が設けられています。全てのこどもに栄養と健康を保障するため、親の面会交流と共に養育費確保支援に全力を挙げて参ります。

 こども政策で実現させたい第二は、子育て支援策に伴う所得制限の撤廃です。与党内の反対の声を押し切って、政府はこの10月から一定の所得以上の家庭の児童手当の特別給付を廃止してしまいましたが、このような所得制限は中間層の子育て世帯を直撃し、その結果少子化を加速させています。政府は、それでも中学卒業までの児童の約9割が対象になっているから問題ないとの説明をしていますが、東京都に限ると対象児童は25%まで縮小されてしまいます。あと1割(100兆円を超す予算のうちのたった20億円程度!)を出し渋る財務省を断固説得します。

安全保障こそ国家の要

 年末に向けて実現すべきもう一つの喫緊課題は、安全保障です。とくに、軍事的安全保障とエネルギー安全保障に重点を置かねばなりません。前者をめぐっては、7月末に台湾を訪問し、台湾有事をめぐる情勢緊迫化を踏まえ、蔡英文総統以下台湾政府の要路と突っ込んだ意見交換ができました。帰国後の8月上旬には、民間シンクタンク主催の「台湾有事シミュレーション」に参加し、我が国の安全保障上の課題について実態に即して検証することができました。その一端を、月刊誌『正論』10月号に「机上演習が抉り出した日本防衛の構造的欠陥」と題して寄稿しました。

 来年度予算を皮切りに5年間で40兆-45兆円を防衛力の抜本的増強に注ぎ込んで、ロシアがウクライナに対して行ったような武力による一方的な現状変更の暴挙を抑止し、抑止が崩れた際には確実に対処し、反撃できるような能力を保有しなければなりません。防衛費のGDP比2%目標をめぐっては、財務省筋から“数字合わせ”のような議論が聞かれますが、防衛力の整備は単なる予算の増額ではなく、戦争を抑止し国民の命と平和な暮らし、主権と領土を守り抜くものでなければなりません。与党として政府を督励して参ります。

現実的な「脱炭素」実現のカギ握る原発再稼働

 最後に、ウクライナ戦争で逼迫するエネルギー分野の安全保障も重要です。福島の原発事故以来、再生可能エネルギー偏重のアンバランスな電力政策の失敗により、不安定な再エネを調節する大事なベース電源の役割を担ってきた火力発電の撤退が相次ぎ、原発の再稼働も決定的に遅れてしまいました。今後の産業競争力の核心であるDXを中心としたデータ駆動社会に不可欠な電力が不足し、節電を呼びかけるような体たらくに陥ってしまいました。差し迫った冬の電力需要を支える安定供給を確保するためにも、世界一厳しい基準を満たし安全性が確認された原発の再稼働を積極的に考える必要があります。

 脱炭素社会をリードしてきた欧州でも原発の効用が再認識される中、再エネと天然ガス火力、そして原発をバランスよく組み合わせることにより、ロシアなど安全保障上懸念のある国へのエネルギー依存を減らし、現実的にカーボン・ニュートラルを達成して参ります。

【長島昭久プロフィール】
自由民主党 衆議院議員7期・東京18区(武蔵野市・府中市・小金井市)。
1962年生まれ。慶應義塾大学で修士号(憲法学)、米ジョンズ・ホプキンス大学SAISで修士号(国際関係論)取得。2003年に衆院選初当選。これまで防衛大臣政務官、総理大臣補佐官、防衛副大臣を歴任。2019年6月に自由民主党に入党。
日本スポーツ協会理事、日本スケート連盟会長。