まさに“クローズアップで観た喜劇”イタリア映画『離ればなれになっても』は、人生と愛の悲劇だった【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。

 年の瀬が迫る中、いろいろなニュースが飛び込んできています。毎年、年末になると急にニュースの密度が濃くなるような気がするのは気のせいでしょうか? 多分気のせいなんでしょう。きっといろいろなイベントなどが増えて、全体的に密度が濃くなってるからニュースもそう感じるんでしょう。

 なんてことを思いながら、寒い中、仕事に出掛ける毎日です。皆さんも体に気をつけて。

 では始めましょう。

12 月 30 日(金)TOHO シネマズ シャンテ他全国順次公開 配給:ギャガ (© 2020 Lotus Production s.r.l. – 3 Marys Entertainment)

 喜劇王チャップリンの名言として、よく紹介される「人生は近くで見ると喜劇だが、遠く離れて見れば悲劇である」

 今回、観た映画「離ればなれになっても」は、1982年から2022年という“40年間”の3人の男と1人の女の人生を中心に描いた映画なのですが、まさにこの言葉を映像化したような、素晴らしい作品。

 ストーリーはずっと恋愛を中心にコミカルというか、“イタリア喜劇”と呼ばれるジャンルがある様に、男女の愚かな部分を描いていくのですが、その中でベルリンの壁も崩壊するし、9・11も起きる。

 出会った頃は16才だった3人の男たちは、ここも、とてつもなく上手な状況設定なのですが、教師、弁護士、作家と、それぞれ視点の違う社会的な立場につき、家族や職場での人間関係を持つことによって「ただの恋愛のもつれ」に否応なしに“世界の情勢”が影響してきて、それがまた、笑えて悲しくて。

「大人の恋愛」という表現は、よく聞きますが本作は「人生と恋愛」といった感じ。

 イタリアの方々の国民性って「仕事はとっとと終わらせて、酒飲んで歌唄って絵を描いて」みたいな“陽気”な印象(筆者の個人的な感想です)が強いのですが、「イタリアという土地では、どうしてそういう生き方を、多くの人がしているか」が、人間性と文化や歴史的な背景の双方向から伝わってくる様な傑作でした。

 作中、モノローグを演者が、役として芝居をしたまま、カメラ目線で観客に語り掛けるというこちらも喜劇映画の巨匠ウッディアレン監督がよく使っていた手法が出てくるのですが、この「古典的な王道の手法を使って、現代の“イタリア”を撮る」も、死に際の誰かの思い出話を聞くような「笑えるのに、どこか悲しい」演出に効果的だったと思います。

 うわー!これぞイタリア映画!って思ったし、同時に、イタリアの映画界、進歩してんなー!とも。

 インド映画やフランス映画、ハリウッド映画の様に“文化的な区分”でのジャンル分けとして、日本ではあまり浸透していない気がするのですが、この映画を機会に“イタリア映画沼”に、ハマってみるのもいいかもしれません。

 ジェンマという“宝石”を意味する名前のヒロインが出てくる、冷たく寂しくもキラキラと美しい、どこか遠くの景色、年末の公開だそうなので、今年最後の一本に如何でしょうか?

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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23
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