doingではなくbeingであり続けるには!? 「SDGsとWell- being」をテーマにトークセッション

ファシリテーターを務めた堀潤氏

「健康経営」「働き方改革」というようにWell-beingにまつわる用語もいろいろ増えている。

 高山氏は「健康経営ということで、うちも“ホワイト500”を目指して、とかいろいろやっている。ただWell-beingの一番の特徴はSDGsとも関係するが、サステナブルということ。Well doingで1回だけいいことをやるのではなく、いい状態がずっと続いているのがとても大事。doingではなくbeingであるのが一番のポイントと思っている」と“継続”の大事さを説く。

 堀氏の「腑に落ちるが、doingになりがちでは?」という問いかけに高山氏は「企業も目先の売り上げといった評価も大事だが、持続的にいいことをやって稼げるという評価を得ることも大事。SDGsで“貧困の人がいます”となるとつい助けたくなる。そこはdoingだが、それを継続しなければ意味がない。ということで最近出てきたのがWell-being。サステナビリティ―と非常に関係が深いと考えている」と答えた。

 この「doingではなくbeing」という言葉を軸にトークが進む。

 組織という中でWell-beingな状態であり続けるためにデロイトが取り組むことを説明する中で藤井氏は「傾聴」という言葉を使い、聴くことの大切さと、相手に話してもらうために「心理的安全性」を持ってもらうことの重要さを挙げる。

 高山氏は「SDGsは共通の目標を出している。日本は“ジェンダーギャップが何位だからなにかやらないと”となる。経営者とか政治家はいいかもしれないが、一般の人は“やりたくないな”となってしまう。Well-beingの特徴は“今のままでいいんだよ”ということをまず認めてあげる。傾聴も心を開くというのもそうだと思うが、上から目標を掲げられて“頑張れ”ではなく、今の状態より悪くせずに徐々に上げていこうというアプローチの仕方が寄り添い型。そこが特徴だと思っている。“甘くしてどうする?”という昭和的な考え方も出てくるが、そのほうが効果が高い、結果が出てくるということがだんだん分かってきている。Well-beingを高めるほうが企業経営にも国にもいいという認識が共通認識になりつつある」とbeingであり続けるためのヒントを語る。

 また高山氏は自らの仕事を説明する中でSDGsのおなじみの表を使い「相互依存関係を表す図を解説すると一番上はビジネス、ビジネスをちゃんとやるためには教育や契約といった社会基盤がちゃんとなければいけない、社会基盤がちゃんとするには地球環境がちゃんとしていなければできないという順番になっている。なので、17枚のカードの並べ方には意味がある。上段の1~6は国連や政府の役割、下段の13~17は気候変動・パリ条約の要素。今までは国とか政府だけでいろいろなことを決めてきたが、結局実現しないのは民間企業が協力してくれないから。ということで真ん中の7~12に民間企業活動(ESG)を並べた。なので一般企業の目標はだいたい真ん中になる」と解説。そして「この民間の活動を評価してあげようと、ESG投資ということで、こういう活動をしているところにはちゃんとお金が回る仕組みを同時に国連が作った」などと続けた。