元仮面ライダーが『シン・仮面ライダー』を観てみたら、監督の“ここ”への執着が素晴らしかった!【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。

 今年の最初のコラムでちょっと触れさせていただいたんですが、5月からTOKYO MX2で始まる新番組『J-BOT ケロ太』の監督をやらせていただいております。稽古とか撮影がぼちぼち始まっておりまして、面白い作品に仕上げるべく頑張ってますのでご期待ください。

 では今週も始めましょう。

黒田勇樹

 とりあえず「とてつもなく面白かった」のですが“どの目線で語ればいいのか”が、非常に難しい映画でした。

 筆者は1982年生まれで、物心つくころに仮面ライダーBLACKで入門し、その後平成ライダー迄の“10年ぐらい、あんまり仮面ライダーやってない”空白の間に大人になってしまい、ブレイドに出演するまで「ライダー離れ」をしてしまっていたので「ライダー博士」みたいな視点で語るのもおかしいし、エヴァのアニメぐらいから「庵野監督」を認知していた「庵野フォロワー」として映画を語るべきか、「“予備知識なしで観たとしての”1作の映画」として感想を述べるべきかが、とても悩ましい。

 ライダーファンとしては「シャドームーン」(カッコいい悪役)と「アンク」(敵だけど相棒)が、大好きで、演劇人としては森山未來くんの大ファンなので今回の役柄は、最高でした。殺陣もダンス要素を入れてたのが、すごく良かった。

 庵野フォロワーとしては「“シン”シリーズの中で一番“庵野作品”っぽかった」のが印象的。随分と前に「式日」という実写映画を撮られているのですが、あの時の手法から、近年の作品までの方法論が、全て効果的に使われていて「手癖で作ったの?」or「全力を出したの?」と、ご本人に聞いてみたい程「庵野味MAX」でした。

 映画としてみると「仮面」「バイク」「マフラー」への“執着”が、徹底されていたところが、最も取柄げるべき要素ではないでしょうか?

 ストーリーのアイテムとしても、映像のギミックとしても「そう、その3つがライダーだよね」と、思えるし、予備知識のない方でも「なぜ、この男たちは仮面を被ってマフラー巻いて、バイクに乗ってるのか」が、丁寧に描かれているので、後半は、誰しもが同じようにストーリーを楽しめたと思います。

 不思議だったのは“哀愁”があまりなかったこと。メインの(あえてぼやかしますが)ライダー“たち”が「若者!」って感じで描かれていて「熱さ」はあるけど「哀しさ」は「全部、浜辺美波にお任せ」に見えてしまったこと。今後、シリーズ化して成長ストーリーを描く伏線なのでしょうか? そうじゃないといいな、いや、そうだったらいいな!

 確実に、1800円以上の価値がある作品なので、とりあえず観て、朝まで語り合おうぜ! そんな作品でした。

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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
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