タニノクロウ作・演出 2021年上演『虹む街』のその後を描いた『虹む街の果て』が5月13日から上演開始

(2021年初演『虹む街』より。撮影:田中亜紀)

 庭劇団ペニノの主宰で劇作家・演出家のタニノクロウは 2021年6月にKAATで『虹む街』という作品を上演した。同作は当初は神奈川県民と一緒に舞台を作ることを目指した作品だったのだが、折からの新型コロナウイルス感染症の感染拡大のため、県民を対象としたオーディションを断念。その中でタニノはオンラインで飲食店経営者、お寺の住職、葬儀屋、教職者といった人たちから話を聞いたり、横浜の飲食店街に足を運んだりとコロナ禍でもできる範囲で取材をする中で横浜の野毛をモデルにした飲食店街の一角を舞台とした作品を作り上げた。作品には実力者俳優に加え、神奈川県民を中心とした多様な国籍の人たちが出演し、多国籍な街の風景を表現。そしてコロナ禍という状況を逆手に取り、ほとんど台詞を発しない“寡黙劇”に仕立て上げた。 

  今回の『虹む街の果て』 はそのリクリエーションで、タニノ曰く「前回から10年、20年、100年と時間が経ったら街にどんな風景や時間が流れているのかを想像しながら作り直します。コインランドリーやスナック、パブ、飯屋、タバコ屋などの100年後、それらの果て、生活の果て、人間の果てを描き、破壊的なリメイクを目論んでいます」とのこと。 

 初演とは対照的な音や音楽であふれる世界を創造し、新たに公募で県民からの参加者を選出。また「この街の中にさまざまな人が出入りした痕跡を残したい」というタニノの思いから 4月中旬には稽古場でのイベントも開催した。作品作りの過程も含め、前回は成し遂げられなかった「県民参加劇」を作り上げた。公演中も開演前に舞台上のセットを中まで見学することが可能となっている。 

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『虹む街の果て』
【日時】5月13日(土) 〜21日(日)
【会場】KAAT神奈川芸術劇場〈中スタジオ〉
【料金】入場整理番号付 自由席 一般4000円、神奈川県民割引(在住・在勤)3600円、U24チケット(24歳以下)2000円、高校生以下割引1000円、シルバー割引(満65歳以上)3500円
【問い合わせ】チケットかながわ(TEL:0570-015-415=10~18時 〔HP https://www.kaat.jp/d/nijimumachi_no_hate
【作・演出】タニノクロウ
【出演】渡辺庸介(パーカッショニスト)、赤星満、神奈川県民を中心とした街の人たち(アウラ・イデタ、阿字一郎、アリソン・オパオン、小澤りか、川口麻美、木村志穂、児安俊重、ジョセフィン森、ソウラブ・シング、ビルラ・スニル、ファティマ悠、ポポ・ジャンゴ、馬双喜)