フィギュアスケート 本田真凜『ひと粒の涙』【アフロスポーツ プロの瞬撮】

 スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。

撮影/文章:西村尚己(2023年12月22日 第92回全日本フィギュアスケート選手権)
昨年12月下旬、長野市のビッグハットで行われた第92回全日本フィギュアスケート選手権。
長い歴史を刻む国内最高峰のこの大会は、フィギュアスケーターたち憧れの大舞台だ。
それゆえ、この大会に賭ける選手たちの思いは強く、毎年、数々のドラマが生まれてきた。
 
そして今大会。
私はたくさんの感動的なシーンに出会い、その瞬間をカメラに収めたが、
その中で印象的だったシーンを一つを挙げるとすれば、それは本田真凜選手の“ひと粒の涙”だ。
12月22日に行われた女子ショートプログラム。
右骨盤の怪我を抱え、満身創痍の状態でリンクに立った本田選手。
通算9回目、そして大学生最後となる全日本の大舞台で、痛みに耐えながらも、
最後まで魂を込めて滑り切った。
演技後、感極まった表情を見せながら、右手で優しく氷に触れた。
そして左目からは“ひと粒の涙”が。
“やりきった”
“ありがとう”
そんな心の声が聞こえてくるような晴れ晴れとした表情であった。
 
それから3週間後の1月11日。
本田選手は記者会見を開き、今シーズンで21年間の競技生活から引退すること報告した。
 
■カメラマンプロフィール
撮影:西村尚己
 
1969年、兵庫県生まれ。大阪大学大学院工学研究科修了。
人間味あふれるアスリートの姿に魅せられ、学生時代にスポーツ写真の世界と出会う。
大学卒業後は、国土交通省に勤務しながらアマチュアカメラマンとして活動するも
どうしてもプロの世界で挑戦したいという想いが募り、2016年にアフロスポーツに転職。
現在は国内外のスポーツを精力的に撮影し、人間の情熱や鼓動、匂いなど五感で感じとれる作品づくりに励む。
 
2007年 APAアワード写真作品部門 奨励賞
2013年、2015年 写真新世紀 佳作 ほか
 
★インスタグラム★
アフロスポーツ

1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している。

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