右手がブロッコリーに!? 世にも奇妙な韓国文学『ブロッコリーパンチ』著者、イ・ユリとは
今回の来日で初めて日本の読者の前でトークイベントを行ったユリさん。
「初めて日本語に翻訳された『ブロッコリーパンチ』を見た時 “表紙がきれいだな” と思ったのですが、日本の読者や出版社の方々と直接会うことができて本当に感慨深いです。“物語を作る” ということが、どれほど大きな重みを持つことなのか改めて考えるようになりました。物語の持つ力がどこまで届くのか、書き上げた瞬間には分からなかったので、日本の読者に会って不思議な感覚を何度も味わいました。
そして、翻訳がどれほど素晴らしい仕事なのかということも考えました。私が書いた小説を翻訳家の方が読んでくださり、そのうえで翻訳された作品は日本語と翻訳家の方が作り上げた芸術だと思います。とにかく小説を書くことが面白くて、私が面白いと思った物語を読者も面白いと受け入れてくれることが本当にうれしいです。人間ができる営みの中で最も楽しいことの一つではないかと思うくらい。
小説を書くことが価値のある仕事なのだと分かって本当にうれしい一日でした。多分、これからも日本に来る度にこの日のことを思い出すと思います。サイン会の時にそれぞれの名前をハングルで書いたのですが、多くの方が韓国語を少し理解していてとても驚きました。反対に、日本語を勉強していない韓国人でも “こんにちは” “ありがとう” くらいは分かるんですよ。改めて韓国と日本が多くの文化を共有していて身近な国なのだと思いました。これからも、私が書く小説がたくさんの日本の読者と出会ってくれたらうれしいです」
最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
「“私の本を読んでくれてありがとうございます” と伝えたいです。数えきれないほどの物語があふれているこの世界で、私の作品を選んでくれてありがとうございます。これからも力を尽くして、より多くの面白い作品を通して読者の皆さんと出会っていきたいです。書くことが苦しくなった時は、遠い国にも読者の皆さんがいてくださることを心に留めておきたいと思います」
(TOKYO HEADLINE・後藤花絵)

