国連・グテーレス事務総長が会見「第3次世界大戦の防止につながっていることは明らか」
来日中の国連のアントニオ・グテーレス事務総長が5月20日、都内の日本記者クラブで会見した。日本が国連に加盟して70周年の節目となる今年。冒頭で「日本は70年前に国連に加盟して以来、着実かつ寛大な形で多国間主義への協力と連帯の力を擁護してくれた。国連システムは、国連大学の本部が東京にあることを含め、日本の中に30カ所ほど拠点を設けてきた。今週、幹部たちが国連システム事務局長調整委員会に出席するために集まっており、この会議がアジアで開かれるのは初めてのことになる」と挨拶。
北朝鮮による拉致問題についても言及し「日本が北朝鮮による拉致問題の解決を求めていることを支持する。拉致というのはまさに人権侵害に他ならず、到底受け入れることはできない。私は拉致被害者の方々と連帯を表明したい。国連は昨年の関西・大阪万博に参加し、私は国連スペシャルデーに会場に行ったのだが、その時に人類は一つにまとまってこそ最強であるというテーマのもとに結束できると感じた」と、改めて日本の取り組みへの支持を表明した。
さらに「今、我々が住む世界は紛争、気候カオス、格差によって揺れ動いている。インフラの高騰は、政権の危機が深刻化している中東の状況によってさらに悪化し、エネルギー・原材料価格は青天井の状態で高騰している。即刻ホルムズ海峡とその周辺において航行の自由を取り戻し、停戦違反をやめて真の解決のための条件を整えていく必要があるが、地政学的な分断が障害となって効果的な解決案を見出すことができていない。軍事支出が援助への支出を上回るペースで拡大しており、最も脆弱な人々にとって大きな打撃が与えられている」と危機感を募らせた。
「国連安全保障理事会(安保理)やグローバル金融機関はこの困難な時期において求められる実行力を発揮できてない」としたうえで「2024年には未来サミットで『未来のための協定(Pact for the Future)』を採択し、昨年『UN80イニシアチブ』を立ち上げた。急速に変化する時代において、人々や地球に対して国連がきちんと成果を出せるようにするためだ。日本の強力なサポートを得れば、現在直面している嵐を耐え抜き、みんなが一つにまとまることによって、我々が成果を出せるという世界の信頼を取り戻すことができると確信している」と提言。
「最も重要なことは、国連安保理の改革を進めなくてはならない。現在の体制は正当性と実効性を確保できていない。アジアは世界の人口のおよそ半分を占めているにもかかわらず、常任理事国のうちアジアは1カ国。さらに中南米およびアフリカ諸国は存在しない。これは正当性や実効性の深刻な問題で、常任理事国と非常任理事国の数を増やし、国連安保理が今日の課題に対応するよう変革しなければならない」とグテーレス事務総長。
最後に「国連は今でも不可欠な存在であり、平和、持続可能開発、人権を広めるための唯一無二の集合体。創設から80年が経った今、国連誕生が第3次世界大戦の防止に直接つながっていることは明らか」と強調し「(日本が加盟した)70年の間、日本の目標と国連の目標は完全に一致していた。国連は数十年にわたり日本の寛大さと多国間主義に対するコミットメントから多大な恩恵を受け、日本も国連における自らの役割を活用して外交上の影響力を強め、安定した協力に基づくグローバルシステムを通して経済繁栄と平和を構築してきた。改めて日本政府と国民の皆様に心温まる歓迎をいただいたこと、また過去70年にわたる卓越したパートナーシップに御礼申し上げる」とまとめた。

