新型コロナ、流行シーズン前に都医師会が高齢者のワクチン接種率低下に警鐘「命に関わる」
秋から冬にかけて感染症が流行するシーズンを前に、10月27日に都内で「高齢者と家族を守る 秋冬の感染症最新事情」メディアセミナーが行われ、東京都医師会副会長で医師の川上一恵氏が登壇。新型コロナウイルスの現状や高齢者への影響、ワクチン接種の重要性について解説した。
川上氏は冒頭「本日お伝えしたいことは3点。新型コロナの報告数は今も増えていること。新型コロナに罹患すると生活が変わるということ。インフルエンザワクチンに比べて新型コロナワクチンは打たれていないということ」と切り出した。新型コロナウイルスは冬と夏に流行のピークを迎え、年間2回の流行の山があるという。
「“もうコロナは終わったんでしょう?” という言葉を耳にする。確かに流行の山は小さくなってきているが、人口動態統計月報年計(概数)によると、新型コロナウイルスの死亡者数は2025年の時点で年間2万人を超え、インフルエンザによる死亡の約6800人に比べて3倍近い。亡くなった方の98%が65歳以上、81%は80歳以上の超高齢者」と指摘。
2025年の新型コロナウイルスによる死亡者数は2万1497人、亡くなった人の98%が65歳以上、81%が80歳以上だったといい「若い人にとっては軽い風邪のような病気かもしれないが、高齢者にとっては命に関わる病気」と警鐘を鳴らした。
感染による影響は命の危険だけではない。東京都内で昨年報告された集団感染の約7割は高齢者施設を含む社会福祉施設で発生。川上氏は「高齢者が1週間近く療養することで筋力が落ちて寝たきりになったり、せきによる誤嚥性肺炎や認知機能の低下などで自立して活動することが難しくなったりする。入院や自宅療養で病気が治ったとしても、以前と同じ生活に戻れるかどうかは分からないということを理解してほしい」と訴えた。
一方、新型コロナワクチンの接種率は低下傾向にあり、2024年秋冬の19%から2025年秋冬には11%に低下。接種をためらう理由について「“コロナはもういいかな” とか “(接種するのに)飽きた”、筋肉注射の痛みや、発熱やだるさといった副反応が “嫌だ” という人もいる」と説明した。定期接種でも費用負担があることや、案内が郵送されないことも接種率低下の一因とみている。
川上氏は、高齢者本人だけでなく家族や介護者が情報を確認することも重要だと強調。「高齢者自身が調べることは難しいと思うので、ご家族や介護者の方には住んでいる自治体の公費助成がどうなっていてどこで接種できるのか、個別通知や予診票がきていないかなどを調べていただきたい。分からない場合は、私たちかかりつけ医に聞いてください。ワクチンについて正しい知識を持っていただきたい」と呼びかけた。

