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VERBALのヴィジョン「気になっちゃって、ネットパトロールしてますよ。 誰かなんかしゃべってないかな、とか(笑)」

2011.03.14 Vol.501

m-floやTERIYAKI BOYZィのVERBALが3月16日に初めてのソロアルバム『VISIONAIR(ビジョネア)』をリリースする。アーティスト仲間も待望していたというソロ作品をついに完成させた彼に今の心境を聞いた。

気になっちゃって、ネットパトロールしてますよ。
誰かなんかしゃべってないかな、とか(笑)

 ワクワクとドキドキ、そしてちょっとした怖さ。VERBALは今、それらの感情がミックスした状態にあるという。m-floとしてデビューして10年超、それ以前も含めれば決して短いとはいえないキャリアと輝かしい実績を持つ彼が、今更なぜそんな心境なのかというと、これから“初めて”を経験するからだ。

 16日に、自身初のソロアルバムをリリースする。プロデュースや他アーティストの作品への参加などもともとソロでの動きも多かったが、自分だけの名前で音楽をアルバムという形にするのは初めて。「やっぱり気になっちゃって、ネットパトロールしてますよ。誰かなんかしゃべってないかな、とか(笑)。m-floやTERIYAKIのときはそういうことは全然しないのにね」と、照れくさそうだ。

 ソロ作品に手をつけたのは理由がある。

「薦められたことも何度もありましたけど、(ソロを作ろうなんて)全然思ってなかったですよ。その方向に気持ちが向いてなかったというか。でも、3〜4年前になるかな、来日したファレル・ウィリアムスにも同じことを言われて、とりあえず曲を作ってみるかと思ったんです。そのなかで、自分のクリエイティブな部分が引き出されてきて、(ソロ作品を作る)気分になりましたね」

 タイトルは『VISIONAIR(ビジョネア)』。夢は叶うために見るもの、ヴィジョンを持てば不可能も可能になる。そんなメッセージを込めた造語だ。

「書いたリリックを読み返したとき、僕、怒ってるなって思ったんですよ。自分が抱いているヴィジョン、理想や夢と言い替えてもいいかもしれないけれど、それと今ある現実とのギャップに対して、何でこうじゃないんだっていうフラストレーションがあるなって。同時に、そのヴィジョンを形にしたら、こんなおもしろいことができるんだってことも感じて、ヴィジョンって不可能を可能にするアートだって気付きました」

 ソロ作品になったことで制作スタイルは激変。「ラスト1カ月はもう二度と経験したくない時間(笑)」になったと言う。

「たくさんの人と会話することがない、っていう(笑)。もちろんプロデューサーとのディスカッションはあるんだけど、曲の世界観とかリリックとかは、自分ひとりでやらなければならない。サウンドも、自分が青春時代に聴いていたナインティース(90年代)のゴリゴリのHIPHOPも違うし、ポップに寄ってしまうのも自分じゃないと思ったし。これまでだったら仲間たちがいたけれど、彼らに頼ることはできない。自分で自分を突き詰めていく作業は大変でした」

 これまでの作品に比べて、彼のパーソナルな面が出たのもこの作品の特長だ。

「リリックに関しても、表現する量がこれまでは何分の1だったものが全部自分に降りかかってくるので、自然と自分と向き合って、自分のやりたいこと、伝えたいことを作品に落とし込んでいくことになりました。その時に、それをラップしたり歌うのが、かっこいいのかどうか判断するのも悩みどころでしたね」

 そのせいだろうか、この作品はスッと流れて誰のライフスタイルにもフィットするだとか、ワイワイと時間も忘れて騒ぎ続けられるというタイプの作品とは一線を画する。ダンサブルで気分がアガるチューンも洗練されたトラックももちろんあるが、心地よい不安定さや不器用さ、人間味、今まで感じなかった土臭さみたいなものがある。

「僕は、自分でいうのも何なんですけど、器用貧乏なところがあって、この時間までにって言われれば、ちゃっちゃとラップできちゃうようなところがある。でもこの作品は、そこで終わりにしないで、自分らしさとか自分の思想とかを織り交ぜてうんちくくさくしないようにするっていう、自分のなかではかなりハードルを上げた作品なんです。Swizz Beatzプロデュースの「BALL N BOUNCE」は完成に至るまで7曲分歌詞を書きました。英語で、日本語でって迷走しながらも、最後には自分が夜遊んでいるような雰囲気が出たんじゃないかな」

 アルバムではまた、「歌う」という、VERBALのパブリックイメージとは違う部分も聞ける。「自分の中から奏でたものをそのまま作れたと思うし、恥ずかしい部分をおおっぴらにした部分。でも、それを見せられたというところもこの作品を作って良かったと思えるところです」

 久しぶりの“初めて”は、彼の創作意欲にさらに火をつけたよう。これからの展開も気になるところだが、ソロはやりつつも他のプロジェクトも進めていくと話した。さらには今とは違った形で、海外と日本のアーティストを始め、人やモノをつなげ、紹介するようなこともやっていくそう。

 次は何をやってくれるのか。もう今から期待してしまう。

(本紙・酒井紫野)

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New Release『VISIONAIR』

「BLACK OUT feat. Lil Wayne & Namie Amuro」をはじめ全14曲を収録。マライア・キャリーやジャネット・ジャクソンを手がけたジャーメイン・デュプリ、ビヨンセなどを手がけるスウィズ・ビーツ、大沢伸一らプロデューサー陣も豪華。Rhythm zoneより3月16日(水)発売。3059円。詳細はhttp://m-flo.com/

 

10周年を迎えるEXILEが建てた『願いの塔』

2011.03.07 Vol.500

EXILEの躍進が止まらない。歌とダンスを組み合わせたパフォーマンスを武器にセンセーショナルなデビューを飾ると、着実にキャリアと実績を重ね、今では誰もが認める国民的グループに成長、確固たる地位を築いている。そんな彼らが今年、10周年イヤーを迎えた。今年元旦に発表した5大プロジェクトのなかで、トップに掲げたニューアルバム『願いの塔』のリリースが9日に迫った。この作品について、今回特別にATSUSHIにアルバムに込める想いをきいてみた。

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