ユースケ・サンタマリア × ムロツヨシ インタビュー

あの伝説のミュージカルが帰って来る!

ミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT featuring SPAM』
2012年、日本に初上陸を果たし、大爆笑の中で幕を閉じたギャグミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT featuring SPAM』の再演が決定! 話題が話題を呼び、千秋楽には立ち見も続出したという伝説の舞台だ。初演時に主役をつとめたユースケ・サンタマリアと初演に続き出演のムロツヨシが再演にかける意気込みをゆるーく語る。
 今回再演される『モンティ・パイソンのSPAMALOT featuring SPAM』は、1970年に“コメディー界のビートルズ”と称されたイギリスの代表的なコメディー・グループ“モンティ・パイソン”が『アーサーと王と円卓の騎士』をモチーフにした映画『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』を元に作られた爆笑コメディー・ミュージカル。世界20都市以上で公演された同作品が2012年に日本で上演された時は大きな話題を集めた。初演時を見た観客はもちろん、見逃した人も待ちに待った再演決定の知らせだが、主演のユースケ・サンタマリアとムロツヨシはどんな心境だったのか。

ムロツヨシ(以下、ム)「オファーをいただいた時は、逃げようと思いました(笑)。再演って本当に難しいんです。実際舞台の再演は経験があるんですが、身にしみて難しいと感じていたので、正直やりたくないって思いました」
ユースケ・サンタマリア(以下、ユ)「その舞台って何だったの?」
ム「ここまで大きな舞台ではなく、自分の書いた本だったんですけど、お客さんの前で何にも生まれなかったんです。というか、稽古をやっても何も手応えがない。その恐怖が多分トラウマになっているんじゃないかと。つまり、以前やったものをそのままなぞるのか、前回と違う新しいものをやるのかっていうジャッジに迷いがあり…。自分が演出をやっていたっていうのもあるんですが、すごく怖いっていうイメージが残ってしまった」
ユ「すごい言っているよね。再演に関して、怖い怖いって。確かに言われてみるとそれもある気はするけど…」
ム「でも今回は演出に福田(雄一)さんがいるので、それに乗っかろうと」
ユ「この作品って、フォーマットがちゃんとあって、その隙間に福田さんがその時流行っているものを入れてくるじゃない。だから今しかできない舞台なんだよね。3年前の初演でもその時の流行りを入れたから、それを今やると古いんだよ。だからそこは割り切って新しいことをやるつもりでやればいいんじゃない? 確かに台本みたら一緒なんだけど、でもまた違うことになると思うよ」
ム「確かにそうですね。全体もところどころ違ったし」
ユ「それに今回はアドリブをやらなきゃいけないんだっていう強迫観念もなくていいと思う(笑)。前回は誰かがやりだすとやっぱり火が付いちゃって(笑)。こいつがやるなら俺もやるしかないって、やらざるを得ない状態だった(笑)。だってそこで自分が沈むのは嫌だから、各自がバチバチな感じで稽古をやっていたよね」
ム「やっていましたね(笑)」
ユ「だって稽古のためにあれこれ考えてこなかった?」
ム「そうそう。でも僕のシーンはあまりなかったですけど。でも皆川(猿時)さんとか、池田(成志)さんを見て、ここまで持ってくるんだ…って思っていました」
ユ「それでどんどん伸びていくんだよね、時間が(笑)」
ム「最初は2時間45分ぐらいだったのに、最後は3時間超えてましたよね」
ユ「人間の集中力なんて続かないんだから、今回はちゃんと2時間45分におさめようよ」
ム「分かりました、分かりました(笑)」
ユ「でもみんな今いろいろ考えていると思うよ。どうやるんだろう、やっぱり考えていかなきゃいけないんじゃないかって、頭の中で渦巻いていると思う。僕は何にも考えて無いけど(笑)」

 2人の初共演は10年前のユースケ・サンタマリア主演の映画『交渉人 真下正義』。

ム「初めてお会いした時の印象は、カメラと人前に立った途端にスイッチが入ることにびっくりしたし、自分はそうなれないなと思った。スイッチ入ってないときはすごく静かでぼんやりしてるんだけど(笑)」
ユ「ムロ君はね、最初から結構グイグイきてたよね。お芝居とかでもすごく前に出ることを考えてグイグイと。芝居としてはちょっとおかしいんだけど(笑)。だから後ろでじっとしているほうがいい時でも、“なんっすか?”みたいに出てきて(笑)。でもやっぱりそういう人が活躍するんですよ。結局」
ム「ありがとうございます(笑)」
ユ「顔もね、特徴的だし」
ム「個性がなくてコンプレックスでしたけど…」
ユ「いやいや、でも地味な人間が最終的には勝利するんだから。僕なんかも地味だから(笑)。地味な人が人気者になるって痛快じゃない。それがこの仕事の醍醐味というか」
ム「結局僕、地味って言われてます(笑)?」
ユ「俺はそれを地味の勝利って言ってるんだけど(笑)」
ム「ユースケさん真面目な話は嫌いだと思うんですけど、10年前に映画の現場でユースケさんとお会いした時は、僕はほぼデビュー作みたいなものだったんですよ。もちろんユースケさんが主演で、僕は端役というか、後ろにチョロっといるみたいな役で」
ユ「俺のチームの一員だったんだよね」
ム「そうです。交渉人のチームで。その時ユースケさんを見て、僕はどうやったらこの人に近づけるんだろうってずっと考えていた。たまにご飯に連れて行ってくれて、そういう時に何か盗み出そうって思ってたんですが、何も盗み出せなくて…」
ユ「それは空っぽだっていうこと(笑)?」
ム「そうじゃなくて、この感覚は盗めないっていうことです。同じことをやろうと思ってもできない。で、這いつくばるしかないなっていろいろやって来て、10年経った時に、こうして2人で取材を受けられるってちょっとうれしいなっていう話をしたかったんです、今回」
ユ「それ、前も同じようなこと言わなかった? 2人で取材受けたとき」
ム「言わないで下さい(笑)」
ユ「でもそういうふうに言ってくるのはうれしいですよ。本当にそんなことを思ってるんだったら」
ム「本当に思っていますよ。何で1回疑いをかけるんですか(笑)」
ユ「僕もね、今回すごく楽なのが、前回この舞台をやった時は、プロモーションですごく忙しかったんですよ。みなさん舞台とかで活躍されていたりしていましたけど、僕はバラエティーとかをやっていたので、どうしても自分が出ることになって。でも今回はムロ君もそうだけど、ほかの人も活躍の場がすごく広がっているので、プロモーションとかも分担できるというか。そこがムロ君が前回と違うんだなって思うし、その分この舞台の価値も上がると思うから、いいなと思っている」
ム「ありがたいです。確かに3年前はプロモーションに呼ばれることはなかったですから…」
ユ「なかったよな(笑)」

 ムロをはじめ前回の舞台に出演した、マギー、皆川猿時、池田成志などの芸達者に加え、今回は新キャストとして、平野綾、松下優也、貴水博之といった実力派ミュージカル俳優たちも参加。

ユ「新しいキャストの方もみなさん実力があるから、きっと歌もダンスもすぐできると思うんですよ。芝居は僕らと合わせなきゃならないけど、みんなが苦手な歌や、僕が一番手こずったダンスとかはすっとやっちゃうと思うよ」
ム「それはあり得ますね(笑)」
ユ「でもこの前(平野)綾ちゃんが、すごくインタビューでおびえてたんですよ。噂がすごく盛られて、全編アドリブをやりまくらなきゃいけないと思って(笑)。でもそこまでじゃないじゃない」
ム「そこまでじゃない(笑)。でもキャストをみたら、そんなことをやりそうな人ばかりだから、信じちゃったんですかね。最近、福田組のイメージもそうなってますし(笑)」
ユ「なってる、なってる(笑)。でも、知らないものの強みってあると思う。だから腹をくくって飛び込めばいいでんすよ。もう開き直って。逆に僕たちは僕たちで、1回やっている分難しいし。だって最初は新しいものを求められるじゃない。で、いろいろなことをやって、中には前のが一番面白かったなってなったら、同じことやるかもしれない。でもそれが決まるのは本番直前だからね」
ム「でも稽古が普通の稽古と違うじゃないですか」
ユ「ある意味勝負の時間だよね」
ム「そう、演出の福田雄一が笑うかどうかの勝負。ずっと笑ってますよね。うちの演出家は(笑)」
ユ「でもつまらないと笑わない。作り笑いもしないからね」
ム「スンってしてますよね(笑)。で、本番1週間前になって、急に演出家の顔になって、演出をつけ出す。今回も多分そうだと思います。それまで自由に泳がせて、ワハハハって笑って、本番1週間前に急にスンって(笑)」
ユ「なんか、ちゃんと見てないんじゃないかって思う時もあるんだけど、多分面白かったらワハハって笑うんだよ。だからある意味分かりやすいし、残酷でもある。でも一番に笑ってくれるので、それが指針にもなっているよね」
ム「そうなんですよ。なんだかんだ、同じところで、同じタイミングで笑うんです。そしてそこがちゃんとお客さんも笑ってくれるので、信用できるんですよね。でも初演で、福田さんしか笑ってないところが、僕のシーンで1カ所あって(笑)。お客さんも笑ってないし、共演者も笑ってない。なぜそこをやらせるんだろうって思っていました(笑)」
ユ「それは、これをやらせたらムロは受けないだろうなって思って笑ってたんですよ(笑)」
ム「客席で1人だけ笑い声が聞こえる。演出家なのに」
ユ「そこで受けなくて、多分今相当あいつの心の中渦巻いているんだろうっていうのを笑っている(笑)。演出家の特権だね」
 気心知れたチームワーク抜群なキャストに魅力的な新キャストが加わり、さらにパワーアップしそうな今回の舞台。どんな舞台になるのやら。

ム「バカバカしい舞台ですからね。チラシをみると、時代もので西洋もので、難しく思う人もたくさんいるみたいで…。とにかくすごく分かりにくいです。パッと見は」
ユ「タイトルが、“モンティ・パイソンのスパマロット”って、モンティ・パイソン好きは分かりますけど。でも今の若い人でモンティ・パイソンを知っている人って少ないと思うし、しかもスパマロットって意味が分からないでしょ。しかもこんな衣装だし。だから僕らも説明しづらいんですよ。イギリスでは誰もが知っているアーサー王が聖杯を探しに行く物語で、日本で言うとお伽ばなしみたいな」
ム「桃太郎ですよね」
ユ「そう。それぐらいポピュラーな話なんだけど、日本ではあまり知られてない。だから何て言っていいか分からないけど、“絶対面白いから見てください”っていうのも、あれじゃない。だからいっそのこと見に来なくていいと(笑)。ただ、後悔するぞと言いたいですね」
ム「言い切りましたね(笑)。でも来てさえくれれば、ぜった後悔しませんよね」
ユ「初演の時も、なんだかよく分からないっていう感じで来たお客さんが、見ているうちに度肝を抜かれて、最終的に熱狂して帰るという不思議な現象が生まれていたし」
ム「最後の歌でお客さんがみんな笑っているんですよね」
ユ「ニコニコで、ハッピーオーラが半端じゃない。で、どこっていうんじゃなくて、とにかくすごかったって言ってくれるんです」
ム「見てもらったら、こんなにすぐ再演するっていう理由が分かりますよね」
ユ「だからあえて言います。来ないなら来なくていい(笑)。でも後悔するぞと。その目でぜひ、目撃してほしい。目撃系の舞台です!」    
(本紙・水野陽子)
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『モンティ・パイソンのSPAMALOT featuring SPAM』

【出演】ユースケ・サンタマリア/平野綾、ムロツヨシ、松下優也、 貴水博之/マギー、皆川猿時/池田成志 ほか【公演期間】2月16日〜3月1日【会場】赤坂ACTシアター【入場料】S席1万1000円、A席9000円(全席指定/税込)【問い合わせ】サンライズプロモーション東京 TEL:0570-00-3337(全日10〜19時)