ニュースの焦点 福島第1原発停電の原因はネズミが触れショート?

 東京電力福島第1原発で18日午後7時ごろ、停電が発生し、1、3、4号機の燃料貯蔵プール代替冷却システムなどが停止したが、20日未明までに9施設すべてが復旧した。東電は冷却システムに電源を送る配電盤に不具合が生じた可能性があるとみて、20日朝から25人態勢で本格的な調査を開始。午後0時半ごろ、3、4号機プールなどの仮設配電盤内部にある端子付近と壁面が焦げ、配電盤下部に小動物の死骸があるのを、調査中の作業員が見つけた。小動物の侵入対策はしていなかった。東電は小動物が接触し配電盤がショートした可能性があるとして、詳しい原因を調べている。

 仮設配電盤は原発事故直後に臨時的にトラックで運び込まれ、荷台に積まれていた。東電は順次、配電盤を屋内に切り替えたが、この仮設配電盤だけが最後に残り、今月中にも屋内に移す予定だった。
 仮設配電盤は臨時の設備で、万が一の際のバックアップ設備はなかった。

 4号機プールには、1533体と多くの燃料が貯蔵されている。プールが冷却されず水が蒸発すると広範囲に被害が及ぶため、燃料取り出しは安定化への最重要課題となっていた。だが、その冷却の心臓部は仮設のままだった。

 事故直後に臨時的に整備したままの設備は配電盤だけではない。放射性物質を含む汚染水を浄化する装置の配管も耐圧ホースから耐久性の高いポリエチレン製に切り替えているが、一部はまだ残る。
「仮設タンク」と呼ばれる汚染水タンクも多くは鉄板をボルトでつなぎ溶接をしていないもので、ボルトが緩み汚染水が漏れたこともあった。東電は信頼性向上へ耐久性の高いものに移しているが依然、課題が残ることを浮き彫りにした。

 今回のトラブルを受け、地元からは東電に対する批判や、安全対策の徹底を求める声が上がった。

 また今回の問題で東京電力が冷却停止を報道機関にメールで配信したのは、発生から約3時間後の18日午後10時すぎ。臨時会見を開いたのは、停電から15時間以上が経過した19日午前10時20分だった。公表の遅れについて東電は「状況確認に時間がかかった。停電による設備への影響もまとめてお知らせするのがいいと判断した」と釈明。「今後、住民、地域の心配の材料となる案件は、早い段階での情報伝達に努めたい」としている。