この秋、美の”巨匠たち”が東京に集結! 巨匠の美学に出会う、秋

歴史が語り継ぐ至高の芸術が東京に大集結! 今年の秋はレア&豪華な展覧会が目白押し。“芸術の秋”を堪能できる、極上の美術展を一挙紹介。

 今年の秋は”巨匠”の美術に注目だ。歴史ある美術作品の展覧会には、現代アートとはまた違う楽しみがある。まず、作家や作品にまつわるトリビアを知る楽しさだ。美術史の教科書に名を連ねる巨匠たちの意外な秘話やエピソードを知れば、作品への関心も高まるというもの。展覧会によっては、新たな視点による検証などを紹介することもある。そして、巨匠たちが生きた時代を感じる楽しさがある。作家たちがどんな世界に生き、どんな環境で創作活動を行っていたのかを知ることは、作品により深く迫る重要な鍵ともなるのだ。最後に、歴史ある美術作品を自分の目で見るという感動だ。写真や映像で見るのとはまったく違う迫力を体感することにこそ、美術鑑賞の意義がある。この秋は、巨匠たちの作品で、美術の醍醐味を満喫してみよう。

話題の展覧会チケットを読者にプレゼント!

『京都–洛中洛外図と障壁画の美』、『ターナー展』、『システィーナ礼拝堂500年祭記念 ミケランジェロ展–天才の軌跡』の 展覧会チケットを、各5組10名ずつ読者にプレゼント! (係名:『京都展』チケット、『ターナー展』チケット、『ミケランジェロ展』チケット)

特別展『京都–洛中洛外図と障壁画の美』60014.jpg

 戦国時代末期から江戸時代初期、約400年前の京都を彩った多彩な文化を、国宝や重要文化財などの貴重な名品の数々、そして最先端の映像技術で体感する、この秋、大注目の展覧会。会場では、国宝・重要文化財に指定されている『洛中洛外図屏風』全7件すべてを展示。 しかもそのうち、当時の風俗を緻密に描いたことで知られる『洛中洛外図屏風 舟木本』を高精細画像で巨大スクリーンに拡大投影する。さらに、アメリカから初の里帰りを果たした襖絵を含め、龍安寺を飾っていた襖絵18面を一堂に展示。また龍安寺の石庭の四季を撮影した映像を超高精細映像4kで大スクリーンに映し出す。他にも二条城や京都御所の魅力を、それぞれの名品ととともに紹介。

【期間】10月8日(火)〜12月1日(日)※前期:〜11/4 後期:11/6〜12/1【会場】東京国立博物館 平成館【時間】9時30分〜17時 ※金曜と11/2、3は20時まで。11/4は18時まで(入館は閉館の30分前まで)【休】月曜 ※10/14、11/4は開館、10/15、11/5は休館【料金】一般1500円 大学生1200円 高校生900円【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル)【交通】JR上野駅公園口・鶯谷駅南口駅より徒歩10分【URL】http://www.ntv.co.jp/kyoto2013/

『列子図襖』 江戸時代・17世紀 メトロポリタン美術館蔵 
©The Metropolitan Museum of Art. Image source: Art Resource, NY
『洛中洛外図屏風 舟木本』(部分)岩佐又兵衛筆  江戸時代・17世紀  東京国立博物館蔵
二条城二の丸御殿 大広間 四の間障壁画(南より北側を望む)撮影:福永一夫

『システィーナ礼拝堂500年祭記念 ミケランジェロ展–天才の軌跡』60015.jpg

 ルネサンスを代表する芸術家・ミケランジェロ。その創造の軌跡と、彼が与えた影響を、彼の子孫のコレクションを引き継ぐカーサ・ブオナローティ(フィレンツェ)の所蔵品60点によって紹介する展覧会。
 ミケランジェロといえば、フレスコ画や巨大な石彫といった持ち運び不可能な作品が主に知られているが、今回カーサ・ブオナローティの全面協力によって、大規模な回顧展を開催することが可能となった。なかでも注目は、ミケランジェロが15歳前後で制作したとされる初期の大理石浮き彫りによる傑作『階段の聖母』。この作品はこれまで門外不出とされており、長期貸し出し展示されるのは本展が史上初の機会となる。素描やレリーフ、彫刻作品の他にも、ミケランジェロの手紙や自筆手稿類なども紹介。偉大な芸術家の人間的側面も感じることができる。

【期間】開催中〜11月17日(日)【会場】国立西洋美術館【時間】9時30分〜17時30分 ※毎週金曜および11/2、3は20時まで(入館は閉館の30分前まで)【休】月曜 ※9/16、9/23、10/14、11/4は開館、翌火曜休館【料金】一般1400円、大学生1200円、高校生700円【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル)【交通】JR上野駅公園口より徒歩1分【URL】http://www.tbs.co.jp/michelangelo2013/

写真左:マルチェッロ・ヴェヌスティに帰属 『ミケランジェロの肖像』1535年以降 写真右:ミケランジェロ・ブオナローティ『階段の聖母』1490年ごろ フィレンツェ、カーサ・ブオナローティ所蔵©Associazione Culturale Metamorfosi and Fondazione Casa Buonarroti

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 英国絵画の地位を飛躍的に高めた風景画の巨匠・ターナー。ロンドンのテート美術館が所蔵する油彩画30点以上に加え、水彩画、スケッチブックなど計約110点を展示し、その栄光の軌跡をたどる展覧会。本展では、作品とともにその魅力を紹介。その人生をたどりながら、巨匠・ターナーの神髄に迫る。才能を開花させた10代のころの習作から、かつてない絵画表現に到達した70代の作品まで、代表的作品が一堂に介した、またとない大回顧展となっている。英国に留学した明治の文豪・夏目漱石が愛した画家としても有名な、巨匠の魅力に触れてみたい。

【期間】10月8日(火)〜12月18日(水)【会場】東京都美術館 【時間】9時30分〜17時30分 ※金曜と10/31、11/2、3は20時まで(入室は閉室の30分前まで)【休】月曜 ※10/14、11/4、12/16は開室。10/15、11/5は閉室【料金】一般1600円 学生1300円 高校生800円 65歳以上1000円【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル)【交通】JR上野駅公園口より徒歩7分【URL】http://www.turner2013-14.jp/

『ヴァティカンから望むローマ、ラ・フォルナリーナを伴って回廊装飾のための絵を準備するラファエロ』 1820年発表 テート美術館蔵 
©Tate 2013-2014

『モローとルオー — 聖なるものの継承と変容 –』
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 フランス象徴主義の巨匠、ギュスターヴ・モローと、20世紀最大の宗教画家といわれるジョルジュ・ルオー。互いを”我が子ルオー””偉大なる父”と呼び合った彼らの師弟愛と芸術への情熱に触れることができる展覧会。汐留ミュージアム開館10周年を記念する本展は、ギュスターヴ・モロー美術館館長監修により企画され、パリに先駆けて開催される世界初のモローとルオーの2人展となる。展覧会では、油彩画や素描などそれぞれの作品に加え、書簡など約70点を展示。モロー晩年の未公開作品やルオーの美術学校時代の作品など、フランスから出品される作品の半数以上が日本初公開。師から弟子へと伝わった芸術がさらに昇華されていく軌跡をたどることができる。

【期間】開催中〜12月10日(火)【会場】パナソニック 汐留ミュージアム【時間】10〜18時(入館は閉館の30分前まで)【休】水曜【料金】一般1000円 65歳以上900円 大学生700円 中・高校生500円【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル)【交通】都営大江戸線汐留駅3・4番出口より徒歩約5分 【URL】http://panasonic.co.jp/es/museum/

ギュスターヴ・モロー『ユピテルとセメレ』ギュスターヴ・モロー美術館蔵 ©RMN-GP/Rene-Gabriel Ojeda/distributed by AMF

『アンリ・ルソーから始まる素朴派とアウトサイダーズの世界』
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 シュールレアリスムの巨匠、アンリ・ルソー。実は彼は、パリの入市税関に22年間勤めながら、幻想的な独自の世界を創造した芸術家だった。本展では”税官吏・ルソー”の作品4点を出発点に、美術の専門教育を受けなかったにも関わらず、芸術への情熱そして衝動によって創作へと突き動かされた”素朴派””アウトサイダー”たちの作品を紹介。開館以来、彼らのアートに注目してきた世田谷美術館のコレクションの中から、約140点を展示。山下清やジャン=ミシェル・バスキアなどの作品を、いくつかのキーワードをもとに紹介し、何が彼らを創作へと導いたのかを探っていく。美術を専門とするわけでもなくごく普通の日常生活を送る我々にとっても、美術とともに生きることの意義を感じさせてくれる展覧会だ。

【期間】9月14日(土)〜11月10日(日)【会場】世田谷美術館【時間】10〜18時(入館は閉館の30分前まで)【休】月曜 ※9/16、23、10/14、11/4は開館。9/17、24、10/15、11/5は休館 【料金】一般1000円 65歳以上800円、大高生500円、中小生300円 【問い合わせ】03-3415-6011【交通】東急田園都市線「用賀」駅 美術館行バス「美術館」下車 徒歩3分【URL】http://www.setagayaartmuseum.or.jp/

アンリ・ルソー『サン=ニコラ河岸から見たシテ島』1887-88年頃

『印象派を超えて–点描の画家たち ゴッホ、スーラからモンドリアンまで』60018.jpg

 ファン・ゴッホの優れたコレクションで知られるオランダのクレラー=ミュラー美術館の特別協力のもと、スーラ、ファン・ゴッホ、モンドリアンを中心に、フランス、オランダ、ベルギーの画家たちによる色彩の探求を追う展覧会。国内機関の所蔵作品もあわせ、油彩画、水彩画、素描など、印象派を出発点に点描の画家たちの作品約90点を一堂に展示。”色彩の独立”の萌芽となった印象派の筆触分割、そこから科学的な知識をもとに独自の点描技法を開拓したスーラ、新印象派の技法に着想を得たゴッホ、点描を経て三原色に分割された抽象絵画にたどり着いたモンドリアン…19世紀末から20世紀前半のヨーロッパ絵画において、色彩が”外界の事物を再現する”という役割から解放され、ひとつの表現としてとらえられていく過程を、豪華な作品によってたどっていく。

【期間】10月4日(金)〜12月23日(月・祝)【会場】国立新美術館 【時間】10〜18時 ※金曜は20時まで(入場は閉館の30分前まで)【休】火曜【料金】一般1500円 大学生1200円 高校生800円【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル)【交通】地下鉄 千代田線乃木坂駅 青山霊園方面改札6出口(美術館直結)【URL】 http://km2013.jp/

フィンセント・ファン・ゴッホ『種まく人』 1888年 クレラー=ミュラー美術館 ©Collection Kroller-Muller Museum, Otterlo, the Netherlands

『フィレンツェ ピッティ宮近代美術館コレクション トスカーナと近代絵画 もうひとつのルネサンス』60020.jpg

 ルネサンス芸術発祥の地として知られる現在のトスカーナ州とその州都であるフィレンツェ。しかし、この地が1861年のイタリア王国建設や激動の19〜20世紀においても、重要な芸術活動の拠点となったことはあまり知られていない。本展では”もうひとつのルネサンス”をテーマに、ピッティ宮近代美術館の絵画約70点を展示。フィレンツェとトスカーナに焦点をあてたイタリア近代絵画の展開を日本で初めて系統的に紹介する。今回は、トスカーナ大公の宮廷画家だったアンドレア・ピエリーニや、戦争画や肖像画で知られたジョヴァンニ・ファットーリらの他、20世紀初頭のイタリア絵画を代表する画家として、ジョルジョ・デ・キリコやマリオ・シローニらの作品も展示。まさにもう1つのルネサンスと呼ぶにふさわしい近代イタリア芸術の息吹を感じることができる展覧会だ。

【期間】開催中〜11月10日(日)【会場】損保ジャパン東郷青児美術館 【時間】10〜18時※金曜は20時まで(入館は閉館30分前まで)【休】月曜 ※9/16、23、10/14、11/4は開館【料金】一般1000円 大・高校生600円 65歳以上800円 ※10/1は無料観覧日【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル)【交通】JR新宿駅西口より徒歩5分【URL】http://www.sompo-japan.co.jp/museum/

アンドレア・ピエリーニ『煉獄におけるダンテとベアトリーチェの出会い』1853年
©Galleria d’arte moderna di Palazzo Pitti