プロ6戦目井上が日本選手最速で世界王座獲得

 世界ボクシング評議会(WBC)ダブルタイトルマッチが6日、東京・大田区総合体育館で行われ、ライトフライ級4位の井上尚弥(20歳=大橋)が王者のアドリアン・エルナンデス(メキシコ)を6回2分54秒、TKOで破り、日本選手最速となるプロ6戦目での世界王者となった。これまでの記録は井岡一翔の7戦目。

 井上は1Rから右ボディー、右ストレート、左アッパーなど多彩なパンチにコンビネーションで王者を圧倒。4R終了時の途中経過ではジャッジ三者とも40−36で井上がフルマークで獲得した。

 しかしこれまで経験したことのない危機が井上の体を襲う。3Rが終わろうとしたころ、厳しい減量の影響で左足太もも裏がけいれんし始めていたのだ。

 インターバルで「足が死にそうです」とセコンドに訴えた。直後の4Rはそれまでの軽いフットワークが影をひそめ、足を止めて打ち合うことに。
「井上が仕留めにかかった」と会場は沸いたが、エルナンデスも5度の防衛を重ねた強豪。井上の異変を察知し、激しい打ち合いとなった。
 足の状況から逃げ切ることはできないと考えた陣営は「倒しにいくしかない」と井上にゴーサイン。

 あえて相手が得意とする接近戦で勝負をかけた井上は左右の連打で動きを止め、6回終了間際に右の打ち下ろしでエルナンデスをリングに沈めた。

八重樫は3度目の防衛

 フライ級王者の八重樫東(31歳=大橋)は同級8位のオディロン・サレタ(メキシコ)に9回2分14秒でKO勝ちし、3度目の防衛を果たした。
 前半はサレタにリードを許した八重樫だったが、最初から勝負所は後半と決めていた。9Rに右フックからの左アッパーを放つとサレタはリングに崩れ落ち、10カウントを聞いた。

 この勝利で八重樫の次戦は39戦無敗の怪物ローマン・ゴンサレスとのビッグマッチとなる。「ロマゴン」の愛称で呼ばれるゴンサレスは第16代WBA世界ミニマム級、元WBA世界ライトフライ級スーパー王者。「軽量級最強」と言われる男だ。

 試合後、リングに上がってきたゴンサレスに抱擁で祝福された八重樫は「きょうは力が入ってしまった。楽勝だとか言われるより、どっちが勝つか分からない状況のほうがいい。次はやりますよ、死にものぐるいで」と語った。