長島昭久のリアリズム 新しい東京都知事の使命

 東京都では、3代続けて現職知事が途中でその職を投げ出すという異常事態が起こっています。2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会の開催まであと4年。招致や準備をめぐる不透明なプロセスが都民や国民の不信感を招いており、新しい都知事はそのモヤモヤ感を払拭し、誰もが心から応援できるような環境を整備することが喫緊の課題となります。さらに、30年以内に7割の確率で起こるといわれる首都直下型地震や、世界中を震撼させている国際テロやサイバー攻撃から都民の生命や安全をいかに守っていくかも重要な課題です。同時に、この20年ですでに立ち遅れてしまったグローバルな都市間競争に東京が勝ち抜いて行くため、東京の持つ魅力や潜在力にさらに磨きをかけて、投資や情報、そして創造性に富んだ人材(リチャード・フロリダ加トロント大学教授が「クリエイティヴ・クラス」と呼んだデザイナーやクリエイター、研究者、芸術家など)を世界中から惹きつける「新しい東京」を創造する先頭に立たねばなりません。

 それよりも何よりも、東京が抱える最大の課題は、我が国の国力を蝕む最大の元凶というべき人口減少問題です。超高齢化の進行とともに少子化や貧困化、格差の拡大が、まぎれもなく経済成長の足を引っ張り、社会不安を増大させています。人口減少時代にも活力を維持しながら、幸せを感じられる日本社会を構築するためには、未来を担うこども達の学びや育ちの環境を劇的に改善しなければなりません。


 10数年間、国会議員として働かせていただく中で、私は、地元の多摩地域はじめ東京における子育てや保育、学校教育の現場で発せられた切実な声を数多く聞きいてきました。保育園に落ちて仕事を辞めなければならない。妊娠を告げたら上司のマタハラに遭い、保育園を造ろうとすれば周囲が騒ぎ出す。貧困に苦しむひとり親家庭のこども達の学ぶ機会が奪われているという現実。せめて東京に暮らすこども達には、これまでとは違った未来、すなわち「新しい未来」がプレゼントされて欲しい。これまでの惰性や延長線上にある漠然とした「古い未来」ではなく、こども達にとって希望や可能性に満ちた「新しい未来」が。そんな思いを強く抱きます。


 したがって、今回の都知事選挙の最大の争点は、東京のこども達にどのようにして「新しい未来」を準備できるか、だと思うのです。


 そのためには、8000人に上る待機児童をゼロにする。年間8000件近い児童虐待をゼロにする。そして、16.3%と推計される「こどもの貧困」をゼロにする。このトリプル・ゼロを達成しなければなりません。なぜなら、これらは紛れもなく「東京プロブレム」だからです。そして、大事なことは、東京がこれら日本社会全体の直面する課題を克服するための先頭に立つということです。しかも、東京は、これらの課題を克服し得る人的資源、財政的安定性、日本の首都としての活力を潜在的に持っています。都政が的確な政策を打つことができれば、必ず克服できるのです。


 できるはずのことが、何故これまでできなかったのか? それは、政策のプライオリティが低かったからです。政治の本質が数ある政策に優先順位をつけることであるならば、次の都知事の使命は、こども・子育て・教育を東京政策のプライオリティ・ナンバーワンに持ってくること。トリプル・ゼロを実現するために、政策を総動員し、持てる資源を惜しみなく投入し、「子育て世代」を全力で応援することです。


 東京が変われば、絶対に日本が変わる。だから、新都知事には、東京のこども政策を劇的に転換してもらいたい。そして任期中に、東京のこども達に「新しい未来」をプレゼントする。こどもたちの親御さんやおじいちゃん、おばあちゃんには「こどもたちの笑顔」をプレゼントする。どんな家庭に生まれても、どんな環境に育っても、全てのこども達に正真正銘の「新しい未来」を届ける。これこそが、新都知事に与えられる唯一最大の使命なのです。

(衆議院議員 長島昭久)