カンニング竹山と古谷経衡が「平成30年をぶった斬る!」

 いよいよ平成が終わる年末、今年もさまざまなニュースが世間をにぎわせた。という事で、芸人のカンニング竹山と評論家、文筆家として活躍中で、今年初の小説も出版した古谷経衡が、平成30年を振り返るスペシャル対談を行った。ワイドショーでコメンテーターも務める2人が、社会、カルチャー、メディアなどについて語りつくす。
カンニング竹山(撮影・蔦野裕)

おじさんだって気を使ってる(竹山)



 昨年の年末に起こった相撲界でのパワハラ問題。それに続くように今年に入っても、レスリング、アメフット、ボクシング、女子体操とたびたびパワハラのニュースがメディアで取り上げられた。

竹山(以下、竹)「昔はそれが指導だという世の中だったから、やられていたほうも我慢していた部分があったんだと思うんですね。でも当時は当たり前だったものが、世の中的にはもうそういう時代じゃないという、進んだ文化に入ってきた。例えば貴ノ岩の問題では、モンゴルでは日本と真逆な反応なんですよ。どうして先輩が後輩を殴っちゃダメなのって。なんか昔の日本を見ているようでした」

古谷(以下、古)「まったく同感ですね。僕が中学の時なんか体育の先生とか、女子生徒をぶん殴っていましたから。今の時代だったら懲戒免職ですよ。そういう意味で、社会的に人権意識が変化してきたように思います。今年はスポーツ界で多く取り上げられましたが、これからは一般企業でも出てくるんじゃないですかね」

竹「パワハラと一口に言っても、実は表に出ないような事実っていうのがあって…。もちろん、行為自体はパワハラですし、手を出した時点でダメなんですけど、すべて真実とは限らない。その辺が歯がゆいところではあるんですけど…。一回世論が動いちゃうと、被害者と被疑者がキャラクター化されちゃって、修正するのが難しい。そのうちに新しいニュースが登場してきて、みんな忘れちゃう」

古「貴ノ岩も刑事告訴を取り下げましたけど、真実を明らかにするには、取り下げないほうが良かったですよね」

竹「ただ、パワハラというものが世に出てきた事に関しては悪い事じゃないと思う。苦しんでいる人が声をあげられる世の中になったんですから」

古「文化の進化とともに、いろいろな意見を言えるようになったという流れは間違っていないと思いますね」

竹「ただ個人的には、後輩に簡単に注意とかアドバイスをしにくくなりましたね。昔だったらワーって言ってたのを、ちゃんと説明するようになりました(笑)。それはサラリーマン社会でもあるんじゃないですか。50歳の部長は新入社員を注意するのに気を使ってると思いますよ。おじさんだって気を使っているのよ(笑)」
古谷経衡(撮影・蔦野裕)

そのうちルパン三世も禁煙しますよ(古谷)



 今年7月東京都受動喫煙防止条例が制定。たばこへの規制がさらに厳しくなり、スモーカーはますます肩身が狭くなってきた。

古「バカバカしいですよ。アルコールや塩分、食品添加物、もっというと放射線廃棄物は野放しで、たばこだけをやり玉にあげるのが理解できないですね。それに外国のほうがたばこのマナーに厳しいっていうのは嘘ですよね。平気でポイ捨てとかしてるし」

竹「そう、日本に住んでいるとドキッとするぐらい捨てちゃう(笑)」

古「日本のマナーや規制の水準ってめちゃくちゃ高いんですよ。世界でもトップレベルだと思う。だからこれ以上厳しくする必要はないと思いますけどね。僕はたばこは吸いませんが、たまにふかす時はあるんです。バーとかに行って間が持たない時に、スマホをいじるわけにはいかないし、たばこをふかして余裕を出す(笑)。だから従業員のいる飲食店は禁煙とか、そこまで規制されちゃうとどうしようって」

竹「実際、日本人はルールを守っている人は多いと思いますよ。それは周りが煙や臭いを嫌がるから。僕も去年の夏まで紙巻きたばこを1日3箱吸っていましたが、加熱式たばこに変えたら、たばこの臭いが気になって吸えなくなりましたもん。だからある程度規制はあってもいいとは思いますが、分煙がきちんと守られていたらいいのかなという気はします」
(撮影・蔦野裕)
古「受動喫煙も害があるというのは否定しませんが、先ほども言いましたが、分煙やマナーに関してはかなりちゃんとしていると思うので、これ以上やらなくていいんじゃなかな。昔のモノクロ映画なんかは、たばこの煙が陰影を出して、雰囲気のある映像になっていたりとかもありますし、規制が進み過ぎるとそういう表現に規制が入りかねない。実際に宮崎駿監督のアニメにも苦情があったりしましたし、そのうちルパン三世もたばこを吸わなくなるんじゃないかな(笑)」

竹「ドラマはもうダメですよ。たばこを吸うシーンはNGだから。細かい話になるけど、加熱式たばこも規制の対象なんだけど、プルーム・テックっていう加熱式たばこは許してやれと思いますね。本当に何にも臭わない。それがたばこ吸いには物足りないところでもあるんですけど、そのぐらい臭わないんですよ」

古「非喫煙者の僕も持ってますよ。間を持たせるのにちょうどいい(笑)」

竹「たばこの臭いが嫌でプルーム・テックを吸っているとか、他の人に迷惑をかけないように変えたという人が、一律的な規制が入る事によって、モクモクの喫煙ルームにいって紙巻きたばこを吸っている人と一緒に加熱式たばこを吸わなきゃいけないという逆転現象が起きてるわけですよ。だから、加熱式たばこもひとくくりにしないほうがいいんじゃないかな」

古「いったん悪だと決めたら歯止めがきかない。ほかの税金は上げないけど、たばこ税は上げちゃえとか、加熱式だろうがなんだろうが規制してしまえと。そういう社会はちょっと怖いと思いますね」

(撮影・蔦野裕)

今メディアは過渡期にきている(竹山)



 今年を振り返って、古谷が一番気になったのは自然災害。

古「僕は出身が北海道なので、地震や台風の自然災害が多かったなというのが今年の印象です。南海トラフとかずっと前から警戒していた地域ではなく、北海道の胆振東部で地震が起きるとは信じられなかった。あと岡山県真備町の土砂災害とか、関空を直撃した台風とか、予想できない天変地異が多く起きた年だったかなという印象です」

竹「それに加えて、テレビなどの報道では、災害が起きた時に、被災地と関係がない地域の人が見たい画ばかり流していましたよね。北海道の地震の時も崖崩れのところばっかり流していたし」

古「そうなんですよ。そのおかげで、まったく影響のない旭川とか札幌とか小樽の観光客が全部キャンセルされた。風評被害ですよ」

竹「それが必要な時もありますが、しばらくしたら、別の方面から掘り下げなきゃいけないのに、その画に飽きたら次の話題にいっちゃう。テレビはどこの局もそんな感じです」

古「出版界ではまだ他社を出し抜こう、スクープを取ろうという気概があるんですけど、どうしてテレビって同じ事やるんですか?」
竹「もうテレビではスクープは取れないんです。社会的な事はいいけど、芸能とかその辺は取っちゃいけない。だから基本的に雑誌や新聞を引用した番組になるんです。責任転嫁と言ったらそうなんですけど」

古「それは自主規制という事ですか?」

竹「そうですね。今は自主規制とかコンプライアンスという言葉が先行しちゃってる気がしますね。それでテレビがおとなしくなったのに加え、インターネットとか、いろいろ分散されてきている。そういう意味でも、メディアはちょうど過渡期にきてるんじゃないかな」

古「ネット番組は地上波では言えないタブーが言えると言われてましたが、今はそんな事ないですし」
(撮影・蔦野裕)
竹「昔はテレビが流行を作ったけど、今は世の中で流行っているものをメディアが食いついて流していますから。結局テレビでも雑誌でも本でも世論が選ぶ。好きな番組を好きな時間に見るっていうのが当たり前になってきてますよね」

古「過去の番組でも見られますし」

竹「テレビ屋も我々もどうやったら見てもらえる番組になるだろうって悩むんだけど、実際自分も見ていない番組をティーバーで見てるし(笑)。40代後半の俺がティーバーで見てるんだから、60代になってもティーバー的なもので見ると思う。若い人はもっといろんなもので見るから、視聴率が合わない時代になってきてますよね」

古「逆に言ったらスポンサーが気にしないって言ったら視聴率は意味を持たなくなりますよね。本当に届けたい層に確実に届いていれば、視聴率が2.5%でもいいって事になるかも知れない。一人ひとりが多様化し過ぎて、視聴率では測れなくなってきている」

竹「主導権は視聴者や読者にあるという傾向がますます強くなってきますよね。でもそれって、生き方が難しくなっているようにも思うんです。今までは情報は与えられてたけど、これからはいろんな情報を吟味して、最終的には自分で考えなさいって。しかも、その中にはフェイクニュースもありますし、報道のされ方もいっぱいある。情報の選択を間違えて、誤ったまま覚えると大変な事になる。すごく便利な世の中になったようで、実は本質はものすごく難しい世の中になっているんじゃないかな」

古「個人とメディアの関係が多様化していますからね。だからこそ、本当に正しい情報を伝えなきゃいけないんですよ。テレビとかネットとか関係なく、ふるいにかけられていきますよ。そうやって淘汰され、玉石混交の玉が残っていくんじゃないでしょうか」
〈取材協力〉TEPPAN “ODASHI” BAR 赤蔵
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