あこがれの職業? インスタグラマーの実態を「もろんのん」に聞いてみた

「個人力」という言葉を最近よく耳にする。企業名や会社に頼らず、自身のスキルを上げていくことで、どこにいても、どんな会社でもやっていけるという考え方だ。衰えを見せないSNS「Instagram(インスタグラム)」で、インスタグラマーという新しいカタチで個人で仕事をする人も増え、自己発信を職業にすることが子どもたちのあこがれの職業にもなってきている。しかし、「インスタグラマーになるためにどうしたらいいか」は学校の進路指導では聞けない。実際に現在インスタグラマーとして活動する「もろんのん(@moron_non)」さんに、インスタグラマーとして働くということについて質問してみた。

もろんのん

 もろんのんさんが「Instagram」を始めたのは2012年。大学生で、もともと写真を撮るのが趣味だったためはじめたという。当時はまだ、日本のユーザーは少なかった。

「もともと一眼レフで写真を撮るのが好きで。今でこそカメラを持っている人たちの姿を街で見ますが、当時は野鳥を撮る年齢層が高い方くらいで、しっかりした一眼レフを抱える人を見かけることはなかったような気がします。『Instagram』を通じてできた写真好きの友達が多かったので、毎週末どこかに撮影しに遊びに行っては、写真をアップしていました。友達や風景の写真をアップしていましたが、コミュニティ内にはもともとフォロワー数が多い友達などもいて、写真友達との撮り合いで人物タグつけ合いなどしているうちに、私が大学2年生くらいの時には3万人ほどのフォローをいただきました」

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Shooting for @rihwa_official 's 5th anniversary 🎉 【情報解禁】デビュー5周年記念で、シンガーソングライター @rihwa_official さんのアー写を担当しました📷✨ . 現在新宿「flags」のイメージキャラクターもしている、 Rihwaさんは篠原涼子さん、三浦春馬さん、藤木直人さんが出演していたドラマ「ラストシンデレラ」の挿入歌を唄われています✨ 私はリアルタイムでそのドラマを観てたからびっくりしました😳 . ロングヘアをバッサリ切った新たな彼女を故郷北海道で撮影😊 5周年おめでとうございます🎉 . #Rihwa_by_moron

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 3万人を越えた頃から、企業のインスタ参入も増え、写真仕事をする機会が出てきたという。

「趣味で写真友達と綺麗な景色やお店に行ってたことから、旅行系の企業のアカウントやメディアから、インスタのDMを通じて仕事が来るようになりました。WEBメディアでの写真撮影とライティングや、雑誌での連載の誘いなど…。好きな趣味で続けていたことが、見てくれる方が増えて、結果として仕事をいただく機会が増えました」

 現在、もろんのんさんのフォロワーは7.5万人に達している。

 写真の勉強は専門的には特にしておらず、趣味が高じただけだという。

「写真を撮る時には自然体で撮るように気をつけています。日常を切り取ったような雰囲気が私の写真の持ち味です。あとは、逆光でシャッターを切ることが多いかな。その方がドラマチックに写真が撮れて、好きだからです」

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秋が深まる。

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「投稿する時にも見え方をいろいろ気をつけています。ギャラリーは同じような写真が2枚連続で並ばないようにしたり、フィードの画面占有率を考えて縦の写真をアップすることが多いです」

 今でこそ「Instagram」出身の有名人やモデルも増えているが、SNSの発信活動を仕事にするためには、今からどんなことをすればいいのだろうか。

「既存の分野で既に有名人がいるなら、その人以上の影響力を持つのは至難の業かもですが、みんなそれぞれ個性があるので、まずは好きなことを継続的に発信することが大切だと思います。『Instagram』は流行遅れにならないように定期的な新機能を発表するので、このように長く流行していますが、その分もうほとんどの分野で有名人が出尽くしてしまっているように感じます。そこでもし狙うなら、”新しい分野”であることか、または別のプラットフォームの”新しいフィールド”でという選択肢もアリだと思います。例えば、今注目しているのは中国のSNS『Weibo』です。まだ日本人のユーザーは少ないですが、中国のSNSは人口数的にも市場規模が大きいので海外でもバズしやすいらしいので」

 Weiboは中国最大級のミニブログSNSである。個人アカウント数は2018年12月時点で7.2億人に達している。もろんのんさん自身も、WEIBOでの発信を始めている。( https://www.weibo.com/u/6741904808

「どんなSNSもいつか廃れるという覚悟はあります。『Instagram』もいつどうなるか分かりませんが、根本的なやり方さえ分かっていれば、どんなツールに代わったとしても、プラットフォームに依存しない実績を貯めて行けば、個人の仕事は出来ると思います。もし、今後仕事に繋げたい人がいるのであれば、理念やテーマをはっきりと持って、そのテーマに興味を持つ人たちにとって有用な情報を流すこと。競合の少ない場所で、パイオニアを目指すといいかもしれないです」

 もろんのんさんはこれからも自己発信の活動を進めていくという。今後は旅行だけでなく、旅行と親和性の高い分野として食の情報についても発信していきたいそうだ。

(文・ミクニシオリ)

【プロフィル】川北 啓加(もろんのん)……1993年、川越生まれ。明るくポップな可愛らしい世界観を切り取るトラベルフォトライター。写真が売買できるアプリ「スナップマート」のクリエイティブディレクター。Instagramで7万フォロワー。SNSや写真の活用や楽しさを、全国を巡って企業や生活者に伝える。雑誌Hanako、るるぶ&more.などでトラベルの連載を持つ。「そうだ京都、行こう。」の広告撮影実績。